~アートとの出会い~
シンガポールで16年、日本での絵画教室指導年数も合わせると25年の指導経験をもつ高橋さんが、子どもとアートの関わりを考えます。
大切にしたい幼児期の感性
「私はラファエロのような絵を描くのに4年かかった。しかし、子どものような絵を描くには一生かかるだろう」というピカソの言葉をご存知ですか。幼児期の絵には、大人にはない人間としての本質を見つめるための行為や環境の中で自分の存在を確かめる営みがあります。たとえば、小さな子どもがプールで手足をばたつかせてキラキラ光る水しぶきをあげて遊んでいます。すると、そこから美しい光と音が湧き出て、飛び散った水が地面に模様を作り、濡れた足が乾いた地面に足跡をつけます。そうやって、子どもは全身を使って環境の変化を受け止め、自分の行為が形となることを体験しながら飽きることなく遊びの探求を続けます。このような日常の行為が子どもの感性を刺激して、イメージする力や創造する力が徐々に養われていくのです。