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シンガポールでかかりやすい病気とその対処法

ヘルスウェイジャパニーズメディカルセンター 佐藤健一医師

シンガポールと日本では気候が全く異なります。日本はほとんどが温帯地域で四季がありますが、シンガポールは熱帯雨林気候に分類され、気温と湿度、紫外線量には大きな差があります。そのために住んでいる動植物にも違いがみられ、流行しやすい病気にも違いが出てくるのです。

デング熱

 シンガポールで一番気を付けるべきなのは「デング熱」でしょう。発症数こそ多くはないものの、命に関わるので注意が必要です。

 デング熱は、ネッタイシマカやヒトスジシマカという蚊によってウイルスが体に入ることで症状が出てきます。大部分は高熱や頭痛、関節痛・筋肉痛、全身に広がる発疹とかゆみが出たあと1~2週間程度続いて落ち着く「デング熱」になります。しかし、より重篤な「デング出血熱」になることもあります。成人よりも小児に多いとされ、発熱中に不安・興奮状態となったり、出血(鼻血や皮下出血、血尿、吐血、下血)が見られるのが特徴です。

 症状だけで診断するのは困難で、採血で行います。当クリニックでは発症早期から診断できる検査キットを導入して体制を整えています。

 治療は入院して行われます。特効薬がないため脱水には点滴で水分を補ったり、解熱剤を使用します。出血がある時は出血を抑える治療を行います。治療によって死亡率は1%以下になりますが、治療しないと15%程度になりますので、できるだけ早めに治療を受けることが重要となります。

 デング熱にを防ぐには蚊に刺されないことしかありません。ワクチンはまだ実用化されていないので、蚊よけのスプレーやパッチを出かける際には使うようにしましょう。

 デング熱は4つ型があるので一度かかったとしてももう一度かかる可能性もあるので油断はできません。

眼の病気

 シンガポールでは太陽が常に真上にあるため、紫外線量は日本と比べ物にならないほど多くなります。紫外線というと「日焼け」を思い浮かべるでしょうが、実は結膜炎や角膜炎の原因にもなっています。これはビーチや雪山で長時間遊んだ後に目が痛くなるのと同じことです。

 結膜炎は、白眼の部分に炎症が起きた状態で、症状としては、目が赤くなったり、痛みやかゆみが見られてきます。数時間、長い時は数日続くこともあります。

 また、建物内はエアコンが強烈に効いており、その風も強くあたるので、目の乾燥によるドライアイも起こります。症状としては、目の違和感、ゴロゴロ感、乾燥感が多くみられます。

 結膜炎・ドライアイどちらの治療でも、症状に応じた点眼薬を数種類使用したり、痛み止めの内服を用いたりします。きちんと診断を受けた上での治療をお勧めします。

 

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