後悔のない人生を送るために。もう一度「歯」について考えましょう。
歯科医は憧れの職業？
アメリカでさまざまなランキングを公表しているUS NEWS誌が2019年に発表した「BEST JOBS（職業ランキング）」※では、歯科医が4位でした。ここ数年でも常に上位にランクインされており、憧れの職業と言えます。一方、日本では「子どもたちがなりたい職業ランキング」などで、残念ながら歯科医は100位にも入っていないのが現状です。
※求人数・失業率・年収などを総合して「BEST JOBS」を算出。
なぜアメリカでは「歯科医」が憧れの職業なのでしょうか。これは文化の違いもありますが、歯を取り巻く環境と考え方の違いが大きいと言えるでしょう。特にアメリカではキスが挨拶代わりとなることもあり、「ハリウッドスマイル」「カリフォルニアホワイト」という言葉もあるほどで、「歯はその人となり、育ちや地位までをも表す」と考えられているのです。日本人の多くの方は「歯が1本くらいなくても大丈夫」と思います
が、アメリカ人にとってはその重みが全く違うのです。
大型客船クルーズで愕然 ～日米の歯科治療の違い～
実際にあったお話です。ある日本人ご夫婦が、長年の夢だった大型豪華客船クルーズの旅に出発しました。美味しい食事が楽しみのはずですが、ご主人には楽しめない事情がありました。「入れ歯」のため、食事を楽しむことができなかったのです。ステーキの場合、最初の一口は良くても、食事が進むにつれて入れ歯が歯肉にあたり、痛くて食べられません。世界中から参加している船旅では、柔らかいものが多い和食とは異なり、歯ごたえのある西洋料理が主に振る舞われます。ご主人は入れ歯による痛みが数日消えず、旅行中の食事が憂鬱でたまらなかったそうです。
そんな中、自分たちよりも高齢のアメリカ人のご夫婦がステーキをパクパク平らげているのを見かけました。「どうして食べないのか？」と聞かれ、ご主人は入れ歯が合わないことを話しました。すると「アメリカで入れ歯を入れている人はいない」と言われました。アメリカでは高齢でも自分の歯を大切に維持できている上、入れ歯ではなく「インプラント」が一般的です。男性が食事を楽しめたのはそのためだったのです。ご主人は、こうして豪華
客船の旅で「日米の歯科治療の違い」を目の当たりにしたのでした。
歯に対する意識改革を
「人生100年時代」と言われる現代、年を重ねた将来の楽しみを想像してください。それは、毎日の食事を美味しくいただき、友人や家族みんなと楽しく語り合うことではないでしょうか。残念ながらいずれの楽しみも、「入れ歯」では叶いません。どんなに工夫しても食材を選ばなければならず、話すこともままならなくなるのです。
では、「入れ歯」にならないためには、どうすれば良いでしょうか。それは「1本でも抜けたら大変」という意識を改めて持つことです。そして年に3～4回は、歯科でクリーニングを実施し歯周病を予防することです。
80歳まで20本の歯を
まずは自分の歯を守ること、少なくても80歳で20本という「8020」を遵守することです。ご自分の将来を楽しむために、今一度「歯」に関心を持ちましょう。
前述のクルーズ旅行の日本人のご主人は、その後1年かけて治療を受け、口内環境が改善されたそうです。しかし、それまで予防に関心がなかったため、高額な治療費を払うことになり、とても後悔したそうです。
皆さんも同じような後悔をしないために、定期的なクリーニングで予防に心がけ、自分の歯を守りましょう。
日本デンタルセンター
北原 信也 先生
日本大学・昭和大学歯学部客員教授
TEAM 東京ノブレストラティブデンタルオフィス総院長
1976年シンガポール日本人小学校卒業
過去の歯科コラムもぜひご覧ください。
「歯の外傷」「 歯周病とからだの病気」「 ブラキシズム」「 日頃のブラッシング」「 咬むことと、お顔のバランスの関係」「歯のクリーニング」「歯を守ることが健康のカギ！」https://www.spring-js.com/expert/5999/
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