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グローバル教育

企業からの声

損保ジャパン日本興亜 シンガポール法人 Sompo Insurance Singapore Pte. Ltd. Managing Director 石垣 吉彦 氏

2019.06.25

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不確定要素が多いこの時代には、「トライ&エラー」の姿勢で前に進めていく決断力と行動力が必要なのです

シンガポールのスピード感の背景には、「やってみてダメだったら方向修正すれば良い」という前提があるのです。このような点は、完璧主義で慎重になりがちな日本人が学ぶべきことだと感じます。

グローバル時代を迎えた今、企業が求める人材、教育とは何でしょうか。
企業の方からお話をうかがいました。

Q. 御社の紹介をお願いします。

当社は、1888年に創業会社の一つである東京火災が日本で初めて火災保険の販売を始めた会社です。「人々を罹災から守る」という強い使命感から社内に私設の消防団まで結成するなど、保険会社としての枠組みを超えてお客さまを守ろうとする姿勢は、まさに「世のため、人のため」という志を体現していました。現在のSOMPOグループはその後身である安田火災・日産火災・大成火災の3社を源流とする損害保険ジャパン、そして日本火災・興亜火災を源流とする日本興亜損害保険の2社が2010年に共同持ち株会社として設立しました。組織としては新しく構成された形になりますが、その本質は「お客さま本位」を貫いてきた130年におよぶ歴史と信頼の上に築かれています。

グループ全体では現在、「国内損害保険事業」「国内生命保険事業」「介護ヘルスケア事業」「海外保険事業」の4つの柱があります。その内の国内損保事業の中核として、損保ジャパン日本興亜が2014年に誕生し、自動車保険を中心に幅広い商品を提供しています。

海外事業の歴史は、日系企業のお客さまの海外進出に伴い「海外でも日本と同等のサービスを提供すること」を目的に始まりました。現在、グループ全体の利益で海外事業の占める割合は30%程度ですが、近い将来40%を目指しており、今後もグループの事業の中核になってくると認識しています。シンガポールには建国の4年前、1961年に最初の支店を設立しました。地元に根ざした保険会社として現地の企業や一般の方々向けにも保険を提供し始め、現在は主力の自動車保険をはじめ、火災保険、そして海外旅行保険も主力商品の一つとして注力しています。

損保ジャパン日本興亜 シンガポール法人 Sompo Insurance Singapore Pte. Ltd. Managing Director 石垣 吉彦 氏

Q. グローバルに展開する上で工夫されている点は。

企業にとって最も重要な資産は人材です。企業の発展には、優秀な社員が高いモチベーションを持って創造性を発揮しながら仕事をしてくれることが欠かせません。当グループには海外30の国と地域、218の都市も含め約8万人、損保ジャパン日本興亜だけでも2万6千人の従業員がいます。シンガポールの当社では現在280人ほどの社員がおり、この内日本人は私を含めて9人です。

当地では特に、若い社員は転職してステップアップするキャリアパスが当然のような風土があります。優秀な社員に長く勤めてもらうためにも、やりがいを感じて働きやすい会社であることを心がけています。社員のエンゲージメントを高めるために、例えば現地法人の社員が日本の本社で一定期間働く「育成プログラム」を充実させています。参加した社員はSOMPOグループの一員としての意識も高まり、モチベーションが確実に上がります。3週間程度のものから1年間の長期に渡るコースなど、研修の目的に応じてさまざまなプログラムを実施しています。

また、グローバルに活躍するスタッフの育成にも力を入れています。2012年に損保ジャパン日本興亜はシンガポール国立大学(NUS)のビジネススクールと提携し、人材育成拠点「SOMPO Global University」を設立しました。「経営知識の習得」と「多様な人材との協働の経験」を目的とし、座学だけでなく、「アクション・ラーニング・プロジェクト」を通じて各国のCEOから与えられた課題に解決案を提案したり、実際に一般の企業に入って働く機会もある実践重視のプログラムです。毎年20~30人の世界各地の若手社員が参加しており、基礎的な経営知識を習得すると同時に、グローバルに活躍するための幅広い視野を培っています。

海外展開する上では、多様な社員一人ひとりが個性と能力を発揮できる働きやすい職場環境が欠かせません。損保ジャパン日本興亜では「Diversity for Growth」をスローガンに、多様な考え方や価値観を尊重し合い、それぞれの個性を活かして協働していく企業文化を推進しています。特に女性の活躍という面では、これまでもさまざまな賞を受賞していますが、今年は東京証券取引所が「女性活躍推進に優れた上場企業」として選定する「なでしこ銘柄」にも選ばれました。女性の管理職は、来年度末までに30%まで増やしたいという目標を定めています。

Q. グローバルに活躍するための資質についてお聞かせください。

シンガポールで仕事をしていて日々感じるのは、この国の「スピード感」です。行政も民間も、シンプルでスピーディに物ごとを決めて実行していきます。会議は短時間で、事前に配布資料を読んだ上で、さっと議論して結論を出します。当初は「こんなに速く決めてしまって大丈夫だろうか」と心配に思うこともありましたが、裏を返せば「やってみてダメだったら方向修正すれば良い」という前提があるのです。日本の社会では「ミスは許されない」という完璧主義的なところがありますから、何かを決める際には非常に慎重になりがちです。しかし、新しい取り組みには「やってみないと分からない」ことがつきものです。頭の中や机上でシミュレーションを繰り返して最初の一歩を踏み出せないでいるよりも、不確定要素が多いこの時代には、「トライ&エラー」の姿勢で前に進めていく決断力と行動力が必要なのです。このような点は、慎重になりがちな日本人が学ぶべきことだと感じます。

一方で日本人として誇れる点も多くあります。サービスの品質や細部へのこだわり、勤勉さ、誠実さ、恩義を大切にする点などの国民性は大事にしたいものです。しかしグローバルにビジネスを展開していく上では、これらの特長が過剰に働くと弊害につながる可能性もあります。世界で活躍するビジネスパーソンとしては、これらの日本人としてのアイデンティティを大切にしつつ、早い段階から世界に出て経験を積むことでこの辺りのバランス感覚を身につけていってほしいと思います。

Q. 御社で求められる人材とは。

不安定で不確実性が高く、複雑で曖昧な今の時代を生き抜くために、企業も変革を求められています。この時代に必要なのは、「行動力」「自ら考え学ぶ姿勢」「高い目標へのチャレンジ精神」「誠実さと倫理観」など、人間としての総合的な力です。従来通り、与えられた課題に対して素早く正確に正解を導き出せる能力も大事でしょう。しかしそれだけでは社会の変化の波に対応できません。どのような状況でも自立して考えて行動をおこし、周囲とも自らコミュニケーションをとって、物ごとを進める力が求められています。

以前は日本人の社員は主に幹部社員として海外駐在するケースが多かったのですが、近年、特に若年層は海外で一社員として働くケースが増えています。外国人の上司や同僚に囲まれた環境でも、物怖じせずに自分の考えをまとめて、他者と協働できることが必要なのです。

当社では採用段階で海外に派遣される部署や職種を分けていませんし、英語力の条件なども設定していません。それでも最近は入社時点で英語力の高い人や、学生時代に短期留学などの海外経験を何かしらしてきた人が増えています。また、インターンシップなどで職場を経験してもらうプログラムに参加する方も増えています。そのような場で学生の話を聞く機会がありますが、中には大変優秀で志の高い学生もいて、頼もしく感じます。スキル的な能力だけでなく、「この人と一緒に働いてみたい」と思われるような人間性を磨くことは大切だと感じます。

Q. 海外で暮らすご家族へのメッセージ

どこの国でも、現地でしか経験できないことがあります。日本人学校に通われているお子さんでも、機会を見つけて現地の人たちと触れ合うような活動に参加することをおすすめしたいです。私自身も家族連れで米国に駐在した際に、異文化の中で地域のスポーツの大会やハロウィンのイベントなど、家族でさまざまな経験を共にしたことは大変良い思い出となっています。子どもを車で送り迎えして付き添う内に親同士の交流も深まり、家族ぐるみの付き合いもできました。そんな交流がきっかけで、その人の背景にある文化や歴史に興味を持ったり、互いの違いを尊重しながら共存する術を自然に身につけられるのは貴重な成長の機会でしょう。

海外生活ならではの学びとしては、語学力、特に英語をしっかり身につけることをおすすめします。シンガポールの人は小学生の時から公用語の英語に加えて中国語などもう一言語を学んでいて、非常に言語能力に長けています。そしてこの言語力を駆使して、プレゼンする力や交渉する力など、コミュニケーションスキルにも秀でています。国としての歴史が浅いシンガポールが短期間でこのような進歩を遂げることができたのも、英語を公用語化して大多数の国民が世界で伍していく力を身につけたことが大きな要因だと感じます。海外で暮らすお子さんたちは、英語の必要性はすでに肌で感じていることと思います。日本でも小学生から英語科目が必修化されましたが、それに一歩先んじて、海外で実際に異なるバックグラウンドの人たちと英語でコミュニケーションを取る経験をどんどん積んでいただきたいと思います。

最後に、海外で暮らすお子さんに限りませんが、学校で与えられた課題や受験対策などではない、自分の関心や趣味、心からの情熱を注げるような活動に思い切り取り組むことも大切だと思います。スポーツや音楽、生徒会の活動や自由研究のようなテーマに沿った調査でも良いと思います。何かに夢中になって打ち込み、徹底的に追究するような経験をしてきた人というのは、自分で目的を定めて行動する力が養われています。ぜひお子さんの特性や興味に合った活動に、じっくり取り組む機会を作ってあげてください。

会社概要

損害保険ジャパン
日本興亜株式会社

損害保険ジャパンと日本興亜損害保険が2014年に合併して発足。SOMPOホールディングスグループの中核会社で、「保険の先へ、挑む。(Innovation for Wellbeing)」をスローガンに、日本国内のみならず世界各国で「安心・安全・健康に資する最高品質のサービス」を届け続けている。

石垣 吉彦 氏

1988年早稲田大学卒、安田火災海上保険株式会社入社。

本社企業営業部門、広島支店、損保ジャパンアメリカ(ニューヨーク)などを経て、2016年損保ジャパン日本興亜海上保険室長。

18年より現職。

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