教育の現場から　vol.8　田園調布学園中等部・高等部校長　清水豊先生｜海外生・帰国生へのヒント

海外生・帰国生へのヒント

教育の現場から　vol.8　田園調布学園中等部・高等部校長　清水豊先生

「海外での生活は、一生を左右する」

教員になって30年以上が過ぎましたが、教育に関心を持つことになったのは、私自身の海外での生活経験からです。半世紀近く前、まだ日本人が海外で生活することが珍しかった1970年代に、父親の海外赴任のため家族はオランダのロッテルダムで生活をすることになり、私は小学校の3年間を現地校で過ごしました。

高校の時に、大学で何を学ぶかなかなか決められず将来について悩み続けました。その時、オランダの現地校で過ごした3年間を何度も思い出し、帰国後の日本の学校生活と比較をして、「教育とは何か」ということに関心を持つようになりました。そして、教育という視点から社会に関わっていこうと決め、今日に至っています。

海外で生活をしていると、帰国後のお子さまの教育のことが心配になると思います。しかし、海外での生活は、私のように一生を左右するような経験にもなります。帰国後に日本の学校での学習に追いつくことだけをお考えになるのではなく、お子さまが現地で充実した生活を送ることができるよう見守ってください。異文化での生活の中で学ぶ意義は言葉では言い尽くせません。現地校、インターナショナルスクール、日本人学校、どんな学校であれ、そこで精一杯過ごすことが大切です。帰国後は日本の学校に馴染むこと、勉強についていくことに苦労するかもしれませんが、現地で頑張れた子どもは、必ず日本の学校でも頑張ることができます。帰国生には、海外での経験を通して学んだことを日本の学校で存分に発揮してほしいです。

本校は中高一貫の女子校で、生徒たちは互いを尊重し、一人ひとりの生徒が活躍の場を見つけることができる環境があります。日本の社会でますます多様性が求められる中、海外でさまざまな経験を持った子どもたちが、日本の学校を活性化していく力になってほしいと強く願っています。

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