～音楽との出会い～

音楽には人それぞれの関わり方があります。専門家のように深く 関わらなくてはならないとか、音楽の実践的な効果を得なくてはならないなどと、難しく考える必要はありません。私たちの言動は感 情によって支配されますが、この感情は多くの要因によって引き起こされています。音楽もその 要因の一つです。健康、睡眠、 食欲、学習といった生活全般 の満足度や幸福感は、音楽によっても高まります。また、音楽が記憶を呼び起こすこともあります。 実際に音楽が私たちの生活 に与える効果には、どのようなものがあるのでしょうか。

〈健康〉 医療分野では、患者を精神的に癒し治療効果を上げるために、音楽がよく利用されます。クラシック音楽の心を穏やかにする旋律は、 疲労回復作用があります。これは、音楽が「幸せのホルモン」と呼ば れるエンドルフィンの体内分泌を増やすためです。

〈睡眠〉 テンポが速く大音量の音楽がかかっていると寝付けないものです。 反対に、心をリラックスさせる音楽を気分転換にかけると、穏やかな気持ちになり眠りに誘われます。ゆったりとした音楽には、不眠 を引き起こすとされているノルアドレナリンの分泌を抑制する働き があるからです。

〈食欲〉 食事をするときは、料理を味わうだけでなく(味覚)、目で楽しみ(視 覚)、匂いも楽しみます(嗅覚)。では、聴覚はどのように食事に作用 するのでしょうか。2006 年に専門誌「appetite」に掲載された研究結 果によると、テンポが速い音楽は食欲を刺激し食べるスピードを上げ ることがわかりました。レストランは、お店の雰囲気に合わせた音楽 を選びます。音量にも配慮しながら音楽を活用することで、料理をた だ味わうのではない「食の体験」を創り出すことができるのです。

〈学習〉 カリフォルニア大学による調査では、音楽のレッスンを日課にす る幼稚園児は、そうでない園児よりも早くパズルを完成させるなど、 音楽の学習能力における効果が報告されています。

〈記憶〉 聞き覚えのあるメロディーを耳にしたとき、ふと思い出がよみが えってきたことはありませんか。大好きだった曲や人生の節目にあっ たメロディーをきっかけに、歌詞だけでなく、そのときの感情や経 験もひきだされることがあります。 このようにさまざまな音楽は、異なる方法で私たちに影響を与え ます。大切なことは「体の声を聞く」ことで、リラックスして前向き になれる音楽のジャンルを見つけることでしょう。