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企業からの声

三菱商事株式会社 シンガポール支店
HRDセンターアジア分室 室長 松田豊弘 氏

2012.03.23

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グローバル時代を迎えた今、企業が求める人材、教育とは何でしょうか。企業の人事担当者に聞きました。

商社はグローバル・ビジネスの最先端を行く業界だと思います。すでにグローバル化が徹底している商社でも社内のグローバル化に人事の面からどのように配慮されているのでしょうか。

いえ、ビジネスモデルが極めて多様化しているので、会社のすべてのビジネスがグローバル化しているわけではありません。むしろ、「日本発のビジネス」が主流なので、まだ道半ばというのが現状です。人材についても、東京本社では外国人というか「非日本人」はまだまだ少数で、漸増してはいますが、グローバル化はこれからです。このような状況の中、私は駐在員の研修に長く携わってきました。弊社の社員でも大学卒業後、入社して10 年くらい日本の本社にいると日本人だけに囲まれて「普通の人」になってしまうケースも多かったので、それを変えようという試みを2000 年からやっています。例を挙げれば、新人教育にグローバルな視点を入れるということですが、単に英語研修だけでは真のグローバルにならないので、簡単なケーススタディを入れるなど試行錯誤しました。未だ業務経験がない人が研修を受けるので、なかなか理解促進が容易ではなかったです。赴任前研修は20 年以上継続していますが、5 年前から赴任「後」研修も鋭意やっており、アジアパシフィックでは、毎年25 名程度がシンガポールで集合研修します。

具体的にはどのような研修ですか。

若い人がどんどん海外駐在する時代になっていますが、日本在勤時に「マネージャー」としての修行が十分かというと必ずしもそうではありません。アジアでのビジネスは増えており駐在員が更に必要な状況ですが、一方、本社での管理職としての経験もない、未熟な駐在員が海外に行くとなると現地の優秀なスタッフから不満が出るケースもあり、それはとても恥ずかしいことです。実際、駐在してからの実務研修だけでは追いつかないので、駐在後のケーススタディを中核としたマネジメント研修をここ3年間新たな内容と形式で実施しています。人事スキルをつけるためだけではなく、グローバルマネージャーに近づくというセミナーです。同時にアクションラーニングとプレゼンテーションを重視しており、実務と研修から「グローバル人財(人材と区別し、特別に育てる必要がある)を観る視点」を養います。ロールプレイイング、グループディスカッション、英語でのプレゼンなど手法も多様です。現在の課題は、日本語はあまりできないが英語ベースで優秀な人をどう採用して活用していくかといった点です。

今後現地採用の優秀な外国人は、出世して本社の役員になるのでしょうか?

外国人も優秀であれば、日本に逆駐在している間に正社員になるケースは、2000 年以降一定数出てきました。能力があれば雇用ステイタスは変わります。ただそれは100 人単位でないとインパクトがないと思うので、今後優秀な非日本人を組織として多数採る方向性に会社が変わると思います。その中で、より多くのグローバル人財が輩出されることを期待しています。

すなわち、日本人が英語を話し、非日本人が日本語を話すことで1+1=3 にする。各国事情を知っている外国人と駐在員の日本人を掛け合わせればグローカル(グローバル+ローカル)・インテリジェンスになりますが、高度な言語能力は不可欠です。そこでは、突然英語になったり日本語になったりする。バイリンガルの環境の中で、日本人も非日本人も相互に啓発し合って大活躍するというのが、私のイメージです。その中でどのような日本人が求められているかというと、「バイリンガル」「バイカルチャー」以上となります。このような環境の中で、役員は長期的にマルチナショナルになってゆくでしょう。

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