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「絵を描く事は思考すること」高橋 万弥さん / スタジオ ミュウ シンガポール主宰

~アートとの出会い~

シンガポールで16年、日本での絵画教室指導年数も合わせると25年の指導経験をもつ高橋さんが、子どもとアートの関わりを考えます。

絵を描くことは思考すること

デッサン(素描)は、絵を描く技術を向上させるためだけではなく、実は物事に対する理解力を深める訓練でもあります。たとえば、リンゴの色や形を表現するにはその感触や香り、味までも考慮して、リンゴが実った過程や光、風などにも想いを馳せることが必要です。日常の中で洞察と想像をする習慣を持ち続けることが、子どもたちの将来にとって大切なことは言うに及びません。立体の、見えない向こう側の形を予測して表現する作業は数学的概念の成長を促しますし、観察して表現し続けることは文章を書く時にも役立つでしょう。また、情報が氾濫して様々な知識が手に入る現代だからこそ、子どもに物事の本質とは何かを問い実在感をしっかりと持ち続けさせることが大切です。人との比較ではなく、また、どれだけ写実的に描けているかということでもなく、毎日の生活上の出来事や身の周りの物を360度の視点から独自の観察眼で描くことを促し尊重しましょう。

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