海外生・帰国生へのヒント
慶應義塾ニューヨーク学院 12年 大野 哲平さん「言葉の壁を乗り越え、世界に羽ばたく」

初めての海外生活

私の海外生活は、小学校3年生の時に始まりました。「シンガポールに行くよ」と両親から伝えられ、驚きと不安な気持ちでいっぱいだったことを今でも覚えています。日本から多民族社会のシンガポールに移り、人々の見た目や言語の違いに戸惑いを隠せず苦痛に感じたこともありました。しかし、5年後に帰国する頃にはシンガポールから離れることを名残惜しく感じたほど、シンガポールという国を好きになっていました。

慶應義塾ニューヨーク学院 12年 大野 哲平さん「言葉の壁を乗り越え、世界に羽ばたく」
シンガポール日本人小学校の運動会の様子

 

言葉の壁を越えて

小学校6年生の時、日本人小学校からStamford American International School に進学しました。最初の1年は勉強面で大変苦労をしました。授業では先生の言っていることが全く理解できず、ただ出席するだけの苦痛な日々でした。それでも日々の授業に集中し、帰宅後は分からない単語を調べ宿題は人一倍時間をかけるなど努力をしたところ、英語力は自然と向上しました。友だちや先生が根気強く分からないところを何度も説明してくれたお陰もあり、2年目には、成績優秀者として表彰していただくことができました。

部活動では、クロスカントリーとゴルフ部に所属しました。チームにはシンガポール人だけでなく、外国から来たメンバーも多く、多様なバックグラウンドを持つ仲間たちとともに汗を流したことは、貴重な思い出です。

慶應義塾ニューヨーク学院 12年 大野 哲平さん「言葉の壁を乗り越え、世界に羽ばたく」
毎週末取り組んたゴルフ

 

帰国後、慶應義塾ニューヨーク学院へ

日本へ帰国する際は、自由に学べる雰囲気に魅力を感じインターナショナルスクールに編入しましたが、2年後にはニューヨークに移ることになりました。

慶應義塾ニューヨーク学院へ進学を決めた理由は2つあります。1つ目は、日・英両言語で学べるユニークなカリキュラムがあることです。日本語力の低下をひしひしと感じつつも、英語力も完璧というレベルではない中途半端な状態であったため、「バイリンガルカリキュラム」はとても魅力的でした。2つ目は素晴らしい環境が用意されていたことです。受験後に学校全体のツアーに参加しましたが、広大で自然豊かなキャンパスや学習設備の整った環境に驚きました。「ここで学習することができるのか」と考えると、ワクワクしたことを今でも覚えています。

現地ならではの学校生活

学校では、自分と似た境遇の人たちが多く集まっており、友人との付き合い方に戸惑うことはありませんでした。授業の約9割は、英語で行われています。放課後や週末は新しいことに挑戦したいと考え、ラクロスという北米発祥のスポーツを始めました。分からないことばかりでしたが、先輩の指導を受け仲間と切磋琢磨することで、ラクロスというスポーツをどんどん好きになっていきました。部活動を通して、一生続く友人関係を築くことができたのは、最大の財産だと感じています。

慶應義塾ニューヨーク学院 12年 大野 哲平さん「言葉の壁を乗り越え、世界に羽ばたく」
慶應義塾ニューヨーク学院のラクロス部にて

 

今年はコロナ禍でオンライン開催となりましたが、毎年5月にはModel United Nations(模擬国連)に参加するためマンハッタンにある国連本部に行き、世界中から集まる高校生たちと国際問題について議論します。これは、NY州に学校があるからこそ得られるユニークな体験でした。卒業間近となった今では、慶應義塾ニューヨーク学院に入学して良かったと思います。

将来の夢

将来は、今までの海外生活で培った英語力・コミュニケーション能力を更に伸ばし、グローバルに働きたいと考えています。シンガポールでの生活を通して、世界は自分が感じている以上に広く、繋がっていることを認識しました。これからは、今まで自分を支えてくれた社会への感謝を忘れずに、自分自身の更なる成長を目指していきたいです。

海外生へのメッセージ

治安の良さ、美しい景観、最先端の学習環境など、シンガポールという国は魅力に溢れています。しかし、実際に生活していると、このような魅力には気づかないものです。食事や友人関係など、現地で得られる全ての経験が皆さんのアイデンティティを形成します。現在海外で生活する学生の皆さんには、毎日を大切に過ごしていただきたいです。私も同じ帰国子女として、皆さんを応援しています。

 

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