海外生・帰国生へのヒント
University of Queensland Bachelor of Arts, Psychology 2年 山下 千尋 さん「将来はシンガポールで心理カウンセラーに」

2度目のシンガポール

 シンガポールで生まれ、3歳までの幼少期を過ごした私にとって、シンガポールは第二の故郷でした。

 9歳の時、二回目のシンガポール生活が始まりました。海外で暮らせるということが楽しみで仕方がなかった一方で、日本の友達と離れてしまう寂しさもかなりありました。しかし、まだ幼かったことや日本人小学校という環境だったお陰で、シンガポールでの生活にすぐに馴染むことができました。

 中学に上がる時、まだ父の赴任期間が何年かありそうだったので、以前から興味があったインターナショナルスクールに行くことに決めました。キャンパスがOrchard にあるという立地の良さと、スタッフの方のきめ細やかな対応などからISSに決めました。

 インターに通い始めてからは塾に通い、中学生の数学クラス、インター生向けの英語クラス、小論文を受講していました。

 英語学習に関しては、小3からG10まで家庭教師についてもらったり、小学校時代には夏休みを利用してインター校のサマースクールで勉強したので、ISSに入った際もあまり不便は感じませんでした。

 

大学の友人たちと

 

オーストラリアでの大学生活

 Grade10の頃から海外の大学に行き、心理学を専攻したいとずっと思っていました。日本の大学に通った先輩たちから、日本に帰ると英語を忘れてしまうという話をよく聞いていたので、せっかく長い間インター校に通ったのに、英語を忘れてしまうのはもったいないと思ったからです。日本とシンガポール両方から近いということと、気候や生活スタイルがシンガポールに似ているという点からオーストラリアの大学を選びました。

 Grade12のMock Test頃から、学年全員が緊張した雰囲気になり、IBを意識して勉強し始めました。IBで苦労した点は、文系の科目ばかりをとっていたため、沢山の読み物を読まなくてはならなかったことです。宿題の量も一気に増えたので、締切りまでに終えるのが大変でした。周りの友人たちと励まし合いながら課題に取り組んでいたのを覚えています。

 現在は、オーストラリアの大自然に囲まれながら、大学生活を満喫しています。勉強面の大変さは、IBをやっていた頃とあまり変わらない気がします。あの頃はとても大変で投げ出したくなった時もありましたが、IBでディプロマを取るために、先に大学生のような勉強をしてきて良かったと思っています。私の大学では、シンガポール人が沢山いるので、以前よりもシンガポール人の知り合いが増えました。クレメンティ校時代に、シンガポールの歴史を学んだり、課外授業でローカルの人達との交流があったりと、シンガポールについて学ぶ機会があった事が大変役立っています。

 インター校に通っていたことで、いろいろな国籍の人と会うことにまったく抵抗がありませんでした。国籍や見た目で判断せず、誰とでも対等の関係を自然と築けるようになりました。これまで広い世界で生活をしてきたお陰だと実感しています。今は、将来シンガポールで心理カウンセラーになりたい、という夢に向かって頑張っています。

シンガポールのみなさんへ

 シンガポールで暮らしている間は、「小さくてつまらない」など、日本での生活と比べてしまい、不満もあると思います。けれど、シンガポールは多民族が集まり様々な文化の体験が出来るとても良い国です。海外に出たり、日本に帰った際に必ずそう思うときが来ると思います。

 日本を出て他の国に暮らすということは、必ず将来役立つ日が来ると思うので、日本では出来ないような貴重な経験をして、シンガポールのことを沢山学んでください。

お母様より

 娘が小学校3年生の時に、2 度目のシンガポール転勤となりましたが、親子共に不安はなく、むしろ楽しんでいたように思います。

 インター校に入った当初は、英語力が十分でなく自己主張ができにくかったせいか、苦労したこともあったように思います。しかし、ハイスクールに入る頃には、すっかり馴染み、国籍に関係なく色々なお友達が出来ていました。

 シンガポールという小さな国で、日本人社会も小さなコミュニティーだったため、学校や塾の情報も集めやすく、人とのつながりも強かったようです。

 現在の大学生活では、世界中から留学に来ている人がいて、知り合いの幅も更に広がったように思います。

 今後は就職という、困難な壁にぶつかりそうですが、今まで経験したことや、これまで知り合った人とのつながりを活かして、活躍してくれれば良いと願っています。

『海外生の今』バックナンバー
https://spring-js.com/global/global02/kaigaisei/

※本文は2011年12月23日現在の情報です。

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