グローバル教育
小学生から大学生まで必見!「英語4技能」試験特集 Vol.1

文部科学省が2013年に公表した「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」や、2020年に変更される大学新センター試験などをきっかけに、「英語の運用力」の重要性が見直され、「英語4技能」試験への注目も高まっています。Spring編集部では、英語の各種試験の現状を、開発者・主催者にお話をうかがいながら、シリーズでご紹介します。

小学校低学年でも受けられる?
大学受験に必要な試験は?
受験するのは日本で?海外で?
うちの子にあっているテストは?

6歳から大学院入試まで
ステップアップしながら英語運用能力を伸ばすための試験
Cambridge English Language Assessment
(Part of the University of Cambridge)
ケンブリッジ英検・ケンブリッジ国際児童英検

Cambridge Young Learners English
「ケンブリッジ国際児童英検」

初級レベルのYoung Learners Englishのテストはさらに3つのレベルに分かれており、カラフルなイラストをふんだんに使った、子どもにも取り組みやすい「4技能試験」です。試験時間は最も基本のStartersレベルの試験で、スピーキングのテストも含めて合計45分間。英語を学ぶ世界中の子どもたちがケンブリッジ児童英検のステップアップを励みに、楽しく取り組んでいます。

上位レベルは「英語検定の最高峰」

大学入学や学生ビザを申請する際、英語を使う仕事に応募する際などに幅広く活用されているCAE試験(CEFR C1レベル)は、ケンブリッジ大学やオックスフォード大学をはじめ、オーストラリアや米国の大学でも認められています。最上位CPE試験(CEFR C2レベル)は、大学院入学などにも活用されており、その難易度から「英語検定試験の最高峰」と言われています。

世界中の学校の英語標準テスト。
小中高を通してステップアップ。

ケンブリッジ英検の中で、もっとも受験者が多い3つのレベルのCambridge English for Schoolsのテスト、KET、PET、FCEは、小学校から高校生までの子どもたちを対象とした試験です。ドイツや南米のチリ、ベトナムなどで、国や自治体政府がすべての中高生の英語力を診断するための共通テストとして導入しています。4技能が一歩ずつ確実にレベルアップしていくプロセスを促します。

ケンブリッジ英検は、時代のニーズに合った「国際共通語としての英語力」を判定し、「英語4技能」の力を段階的に向上させるための道標として、英国ケンブリッジ大学の英語教育学の専門家が開発した試験です。英語力の世界的な標準指標「ヨーロッパ共通参照枠CEFR」(CommonEuropean Framework of Reference for Languages)に完全準拠した検定試験で、広く実施・認知されています。

ケンブリッジ英検(およびIELTS)とCEFRとの対照

担当者に聞きました

ケンブリッジ大学英語検定機構 東南アジア支部
Senior Marketing Manager
Nick Lim氏

ケンブリッジ大学英語検定機構(Cambridge English Language Assessment)は、英国ケンブリッジ大学の一部門の非営利組織で、世界中の英語学習者や指導者のための資格試験を開発、提供しています。当機構の英語資格試験の受験者は世界130ヵ国で年間約500万人以上にのぼり、試験の結果は大学・企業・省庁など2万を超える世界中の機関により、英語力の証明として認定されています。Cambridge Englishの試験の開発は、世界トップレベルの言語研究者チームによる大規模な研究に基づいています。
ケンブリッジ英検の採点はすべて英国本部で行われ、ライティングの回答には一人ひとりの受験者に対してきめ細かなアドバイスをもらえます。お子さんにも受けやすく、目標をもって英語学習に取り組むきっかけにしていただけたらと思います。
なお、国際児童英検(YLE)とKET、PET、FCEは、シンガポールではまだ受験できません。現在導入の準備が進められていますので、ウェブサイトで最新情報をご確認ください。

ウェブサイト:http://www.cambridgeenglish.org/
Email: SingaporeEnquiries@CambridgeEnglish.org

※日本ではいずれのレベルも受験できますが、実施時期などが不定期の テストもあるため、詳細は直接お問い合わせください。

ケンブリッジ大学英語検定機構日本支部
電話: +81(0)80 5545 8969
Email: InfoJapan@cambridgeenglishreps.org
URL: http://www.cambridgeenglish.org/jp/

日本での受験者が急増中
世界の大学で認められている「4技能試験」は、日本人が受けやすい試験形式
IELTS

IELTS (International English Language Testing System)は、海外の大学など高等教育機関への入学の際に必要な英語力を証明するために、4技能のレベルを正確に測ることができる試験です。IELTSは16歳以上の受験を推奨していますが具体的な規定はなく、中学生でも受験できます。ブリティッシュ・カウンシル、IDP Education、ケンブリッジ大学ESOLが共同で、また日本ではブリティッシュ・カウンシルと公益財団法人日本英語検定協会が合同運営しています。

担当者に聞きました

ブリティッシュ・カウンシル・シンガポール
Examinations Business & Partnerships Manager
Abraham Cheah氏

~IELTSで4技能アップへの道筋を~

世界中で認められている英語試験

IELTSは世界140ヵ国で年間250万人以上が受験する国際的な試験です。従来は「イギリス留学のための英語試験」というイメージが強かったかと思いますが、現在では「英語コミュニケーション力」を適正に測るテストとして、特にイギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドで はほとんどの大学で出願基準として認められている他、最近では米国の大学でも、アイビー・リーグをはじめ全米トップ100の大学などIELTSを認定する大学は3,300校を超えました。このような動きに伴い、日本人の受験者数も増加傾向にあります。
IELTSの試験の特長は、自分の英語力を世界的な尺度で測れること、そしてSpeakingのテストが試験官との一対一の対話形式で行われ、コンピューターに向かってではなく、自分のペースで会話できることも、その一つです。
また、スコアは2年間有効なので、今すぐ留学を計画していない方でも各技能における自分の実力を知り、苦手分野の克服に取り組むきっかけになります。大学によってクリアしなければいけないスコアは異なります。目標が決まっている方は、一度早めに受けておくことで、目標達成までの道筋を計画できるでしょう。

留学目的と社会人向けの2種類のモジュール

IELTSには2種類あり、主に留学のための英語力を測る「Academicモジュール」と、イギリス、オーストラリア、カナダなどへの海外移住申請に必要な「General Training モジュール」があります。学生だけでなく、海外では転職や昇進に必要な英語能力を示すベンチマークとしてGeneral Trainingモジュールを利用している会社も多く、受験する社会人も増えています。ぜひ、気軽に受験して英語力アップの目標設定に役立てていただきたいと思います。また、学校や学部によっては、要求するモジュールが異なる場合もありますので、事前に確認しましょう。

スコアアップのための準備コース

ブリティッシュ・カウンシルでは、学生向け、社会人向けに、夜間や週末のコースや短期集中コースなど、それぞれのニーズに対応するIELTSの準備コースを用意しています。また、受験の申し込みをした方には無料のオンラインコースや教材、ワークショップへの参加が無料です。この他、IELTS対策準備のためのスマホ用アプリ「IELTS Word Power」はどなたでも無料でダウンロードできますので、これらを活用して効率よくスコアアップを図っていただくことをおすすめします。

詳細・お申し込みはこちら
www.britishcouncil.sg/springielts
レベルチェックの予約はお電話で
+65 6807 1577

世界中の大学がIELTSを認めています。

世界中の約9,000の教育機関、国際機関、政府機関がIELTSを採用。英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどだけでなく、現在は米国の大学でもIELTSの採用が広がっています。

IELTSスコアを採用している米国大学表

日本の受験者数が急増中

日本の2015年の受験者数は36,000人に達し、過去5年間で3.5倍に増加。国内の高等学校や大学ごとの集団受験も増えています。
※なお、日本での受験については、こちらをご覧ください。https://www.eiken.or.jp/ielts/IELTS.sg

日本の大学入試でも、すでに活用が進んでいます。

東京大学、京都大学をはじめとする国公立大学、および早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学を含む私立大学など、文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援」「経済社会をけん引するグローバル人材育成推進事業」に採択された大学の約9割が、入試の一部にIELTSを採用しています。
また、近年全国の大学などが続々と発表している一般入試およびAO・推薦入試における4技能の外部試験活用においても、IELTSの採用が加速しています。

日本人に「受験しやすい試験」

IELTSはシンガポールでは毎月3~4回実施されており、年に何度でも受けることができます。テストは日本人にも馴染みやすいペーパーテストで、スピーキングの試験では面接官と実際に対話して行われます。また、スペリングについても、英国式、米国式のいずれでも正解とみなされます。

担当者に聞きました

~20年の実績を持つ、国産の英語試験~
ベネッセコーポレーション 英語・グローバル事業開発部
GTEC 事業全体責任者 込山 智之氏

スコア型検定として高校生受験者数トップを誇る
GTEC for STUDENTS

中高生を対象にした英語試験GTEC for STUDENTSでは、従来の「読む」「聞く」「書く」の3技能試験に、タブレット式端末によるSpeaking Test(特許出願中)を新たに加えました。現在では全国の国公立・私立の中学・高校1,400校以上で、81万人の中高生が受験し、英語試験の代表的地位を確立しています。
合否でなく絶対評価によるスコアで結果を確認できるため、継続して受験することで、伸びが数値で示され、英語学習の意欲を向上させることができます。

学校単位で受験、中高生の「実生活に近い」内容

特徴は、受験者が擬似留学をしたような会話や、留学生を受け入れた際に起こりうるやりとりなど、中高生の「実生活に近い」内容に焦点を当てている点です。テストを受けること自体が英語を使った生活体験に感じられるよう、工夫されています。

生徒のライティング答案は海外で採点・添削

当社の進研ゼミでおなじみの添削とフィードバックのノウハウを生かし、ライティングの評価は、海外の英語話者が的確に添削とコメントをするのも大きな特徴と言えます。フィードバックで弱点を把握し次につなげることで、受験者のモチベーションを上げることが可能です。

大学入試として導入が進む
GTEC CBT

圧倒的な受験生数を背景に、GTEC for STUDENTSを土台に開発されたGTEC CBTは、62大学で導入が広がり※さらに国内での拡大が進むことが予想されます。今後は海外大学進学にも広く通用する試験を目指し、アメリカの大学など海外展開への取り組みがすでに始まっています。
また、当社では「英語4技能試験」に関連する業務において、行政へのサポートにも注力しています。例えば2020年に予定されている大学入試センター試験の改革に関連して、文部科学省「英語教育改革のための英語力調査」を2014年度から3年度連続で、2013年度には東京都「英語力判定統一試験」に関わる業務を受託しています。

※スコアの入試活用は「出願資格・書類審査として活用」「センター試験・大学個別試験の代用」「みなし得点・得点が加算」など、各大学により異なります。

世界最大の語学学校「Berlitz」でのノウハウ

特徴は、 個人ベースで受験可能な点と、世界12,000社で導入されている語学学校Berlitzグループのノウハウを活用している点です。内容は大学教授とのアカデミックなやりとりやキャンパスでの会話を想定するだけでなく、グラフなどの情報を読み取り、思考力・判断力を表現するタスクが課されています。
CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)ではA1(初学者)~C1レベル(上級者)に該当し、語彙数では5,000語までの高レベルを測ることが可能です。

世界唯一のCAT型として、受験者の能力に適した問題のみ出題

受験者の実力を正確に測るためには、幅広いレベルの問題を出題する必要があり、問題数が増え試験時間も長くなりがちです。しかし、「英語4技能」の検定としてCAT(Computer Adaptive Testing)型を導入している世界唯一の当試験では、最初の数問でコンピューターが瞬時に受験者の英語力を判別し、その後の問題は受験者のレベルに合わせた難易度で効率的に出題されます。 受験時間は175分と他の英語試験に比べて短いため、受験生にも「もう一度受験したい試験」として定評があります。

概要 比較一覧表

出題意図・語彙数等 比較一覧表

* 6:English Vocabulary Profile Wordsに基づいてカウントした概算
* 7:BNC(British National Corpus)
* 8:BNC/COCA word family lists 〈第1回連絡協議会資料より〉
* 9:2006年以降のセンター試験。グローバル・コミュニケーション&テスティング独自調査(2014年)
* 10:外部リサーチャーが独自に行った調査結果「英検2級より多いがテレビ、ニュース番組よりは少ない」からの推計値

より詳細な項目の比較検討をされたい方はこちら
関連リンク:主な英語の資格・検定試験に関する情報一覧(2016年5月31日現在)
http://4skills.eiken.or.jp/qualification/pdf/20160531.pdf

Spring編集部より
「英語運用力」については、大学入試改革に関連することもあり、近年ますます注目されています。教育現場や報道で耳にするたびに、それぞれの検定試験の違いや、どのように役立つのかなど、疑問を持つ方も多いと思います。
「英語4技能試験」には上記の通り、実にさまざまな種類があります。今回の特集を、お子さまの年齢や学習環境にあった取り入れ方をするきっかけにしていただければ幸いです。次号でも引き続き各試験の詳細をご紹介していきます。

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