海外生・帰国生へのヒント
慶應義塾ニューヨーク学院11年生(高校2年生) 齋藤 陽英さん「今の私を育ててくれた多文化の国シンガポール」

海外への興味

父の仕事の都合で、11歳からシンガポールに滞在していた私ですが、中学校は日本での中学受験を考えていました。しかし、海外への好奇心を抱いていたことと、英語を習得できるチャンスは生かしたかったこと、そして父の薦めもあったことで、悩んだ末にシンガポールのインター校に進むことを決めました。

シンガポールでの学生生活は特に言語の壁が高く、当初は友だちや先生とも全く言葉を交わすことができずにストレスが溜まっていました。最終手段として、話せなくてもジェスチャーでどうにか言いたいことを伝えていました。日本人クラスメートからの助けを受けながら、さまざまな国籍の生徒とも徐々に親しくなり、学校生活が少しずつ楽しくなっていったことを良く覚えています。当時、家族が悩みを聞いてくれたり、学習のサポートをしてくれたりしたことは大きな心の支えとなりました。

学校生活の中で一番印象深く残っているのは、友だちと協力した「Drama Night」です。グループで演技力を競い合うイベントなので、長文で英語のセリフを覚えることに苦労しました。演技の楽しさや友人たちと一つのものを作りあげ、成功させる達成感を味わったことは、一生涯の思い出です。

シンガポール時代に始めた空手 シンガポール時代に始めた空手

ニューヨークの学生生活

シンガポールでの学校生活を満喫していた私は、さらに他の国で学びたい気持ちと好奇心が芽生えていました。カナダへの短期留学や同学院の説明会を経て、私が選んだのは米国への進学でした。

慶應ニューヨーク学院の授業は、英語が6割、日本語が4割のバイリンガルで行われます。バイリンガルの授業とはいえ学院生の殆どが日本国籍であり、自然に日本語の使用量が増えるので日本語の強化が出来ます。また、授業だけでなく、英検やTOEFLの自主勉強をしたり地域の人とのボランティア活動などに前向きに取り組んだりすることも、英語力維持と向上にプラスになっていると思います。

放課後は部活動と勉強がおもな日課です。私は通年空手部に所属していますが、他にシーズン制で選べるクラブもあります。秋季は水泳部、春季にはゴルフ部など幅広いスポーツにも打ち込むことで、違う仲間とチームを組み視野を広げられたと思います。学習面では必要であれば補習も受けられ、夕食後の寮では2時間ほどの学習時間が設けられています。寮の先生が声をかけてテストに向けて激励してくれることもあれば、先輩による後輩のための学習サポートなどもあるので、みんなで盛りたてて勉強を頑張れる環境があります。週末には、時には友人と食事や買い物にも出かけ、適度にリフレッシュすることも出来ています。親元を離れて寂しいと思うこともありますが、改めて両親の存在のありがたみなどを感じることもでき、充実した生活を送っています。

全学院挙げての体育祭 全学院挙げての体育祭

シンガポールの皆さんへ

私がシンガポールとニューヨークという二つの地で異なる多文化経験をできたことは、とても恵まれていたと思います。アジアの地では多国籍・多人種の異なる仲間と共に英語力を身につけながら、あらゆる文化を吸収しました。さまざまな環境への適応力・対応力が育まれたことは大きな財産です。また、北米の地では、世界各国や日本各地から集まった多様な仲間と切磋琢磨し、多国籍でユニークな経験を持つ先生方からも刺激を受け、英語と日本語でさらに一歩前進して各領域を学んでいると実感しています。まだ具体的な将来の目標を決めることはできませんが、この経験は、グローバルな視点を持った社会人になるための根幹になると確信しています。

皆さんは、シンガポールの地で文化・気候・歴史の全てが日本とは異なる生活をし、その中では楽しいことも辛いことも沢山あると思います。私の場合は「色々な経験をしたい」「英語力を身につけたい」という強い思いから、シンガポールではインター校を、そして高校生活はアメリカでの進学を選択しました。当初はその言葉でとても苦労しましたが、さまざまな国籍の先生方や同級生との学校生活により、多様性を自然に受け入れ、今の自分ができたと感じています。

皆さんも日本を外から見ることで、日本という国を改めて評価し理解することができるでしょう。せっかくの機会です。現在の環境を活かして、スポーツや課外活動でも国際交流を図りつつ、シンガポール生活を満喫していただきたいと願っています。

 

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