特集記事
東京大学 推薦入学から英語コース、FLYプログラムまで

日本の教育改革の必要性が声高に叫ばれて久しい今日、高等教育機関である大学は、さまざまな挑戦をしています。「世界で活躍できる人材」の育成・獲得に向けて、東京大学の取り組みをご紹介します。

東京大学前理事・副学長 学生担当
長谷川 壽一氏(現大学院総合文化研究科教授)にお話をうかがいました。

社会のあらゆる分野で急速にグローバル化が進展する中、時代の要請に応え国際発信力を強化し、総合研究大学としての国際的プレゼンスを高めることが喫緊の課題です。東京大学は「学部教育の総合的改革に関する実施方針」(2013年7月策定)により、ワールドクラスの大学教育を実現するために、学部教育の総合的改革を推進しています。

グラフで見る東京大学

東京大学の名前はご存知でも、その規模はイメージしずらい方も多いことでしょう。ここでは、東京大学の規模をいくつかの角度からグラフでご紹介します。137年の歴史が育んだ、リアルな姿をご覧ください。

狙いと結果

2016度の入試から後期日程を廃止し、初めて推薦入試を導入しました。その狙いは、学力偏重の打破という意味ではなく、各学部の推薦要件に合った「尖ったものがある人」に入学してもらうことです。また、近年東大を目指す人が首都圏の中高一貫校に偏りがちなため、より多様性に富み、全国津々浦々から優秀な人に来てもらうことが狙いです。

100名程度の募集に対し173名が出願し、77名が合格を手にしました。今までの後期日程の合格者とは異なり地方出身者や女性の比率も高くなっており、多様性を広げるという意味では当初掲げた最低限の目標は果たせたと感じています。

4ターム制

平成27年度より、全学部で4ターム制を導入しました。授業期間を単位ごとに細かく区分することで、学生の履修の自由度を高めています。また、週複数回同じ授業を開講するなど、履修方法に柔軟性を持たせることで、短期間で集中的に必要な課程を学ぶことができます。また、長期の夏季・冬季休業期間を設け、海外への短期留学や社会体験への参加やターム単位の留学がしやすくなります。

FLY(Freshers Leave Year)プログラム

入学した直後の学生が自ら1年間の特別休学を取得したうえで、本学以外の場でボランティア活動や就業体験活動、国際交流活動など長期間にわたる社会体験活動を行うプログラムです。「日本版ギャップイヤー」とも言える当プログラムには、毎年10~15名ほどの参加があり、自らを成長させる機会と位置付けています。

英語コースPEAK(Programs in English at Komaba)

PEAKは、「グローバル・キャンパスの形成」というテーマを具体化するために2012年秋から始まった、教養学部において英語の授業のみで学士号が取得できる東大初の学部コースです。教養学部前期課程に設置される「国際教養コース」、および、教養学部後期課程に設置される「国際日本研究コース」、「国際環境学コース」があり、現在までに世界25ヵ国・地域から131名を入学者として受け入れました。なお、日本国籍でも入学は可能ですが、小学校から高校までの12年教育のうち、前半6年中4年以上、後半6年中5年以上を日本語以外の言語で教育を受けていることが要件となります。

長谷川氏からのメッセージ ~これからの東京大学~

世界の趨勢を見ると、かつては日本の社会全体が高度成長期であった国内で完結し、世界に対して「Madein Japan」のものを送りこむという構図でした。しかし、現代は、世界各国で現地の人と共に協働、協調して働くことが基準になっています。つまり、「Made inJapan」から「Made with Japan」になったのです。言うまでもなく、共に働き良いパートナーシップを築くには、お互いの文化について知り尊重できるような姿勢を養うことが大切です。

これからの東京大学は、伝統として守るべきものを守りながら、時代のニーズに柔軟に対応し、これまで進めてきた学部の教育改革を定着させていきます。

お問い合わせ

東京大学本部入試課
〒113-8654 文京区本郷 7-3-1
03-5841-1222
http://www.u-tokyo.ac.jp/index/k00_j.html

※2016年11月25日現在の情報です。最新情報は各機関に直接ご確認ください。

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