学校・幼稚園コラム
第24回 幼小一体化で入園競争が進む?!

日本では、来年秋から始まる幼稚園無償化のニュースが注目されていますが、シンガポールでも今年、就学前教育が大きな話題になりました。


これまで民間に任せていた就学前教育に、シンガポール教育省が積極的に取り組み始めたのは、つい2014年のことです。同年シンガポール初の公立幼稚園5園がオープンし、その数は徐々に増え現在は18ヵ所になりました。それら全てが公立の小学校に併設されており、私立に比べて学費が安く、低所得家庭には優先入園枠が設けられているのが特徴です。同省では就学前教育の予算を22年までに2倍に増額し、23年までに公立幼稚園を50園にまで増やす計画で、園舎の建設や教師の研修を進めています。


当初から公立幼稚園は人気でしたが、昨年「公立幼稚園の園児は、併設される小学校への入学を優先的に許可する」という方針が教育省から打ち出されると、全国的に保護者の関心が一気に高まりました。

シンガポール公立学校の広場 写真提供:Ministry of Education Singapore


シンガポールの小学校には学区制がなく、卒業生の子女の入学が優先されます。人気校には入学希望者が殺到し、多くの学校で抽選による選抜が行われるなど、公立でも入学は熾烈な競争です。このため、併設小学校への入学が優先される公立幼稚園は、保護者にとっては大きな魅力なのです。

人気ぶりを反映して、来年度の入園志願者数は昨年の650名を大幅に上回る2,000名以上を記録しました。小学校入学のための競争が、今後は幼稚園入園のタイミングに前倒しになるのではないか、という新たな懸念も高まっています。

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