学校・幼稚園コラム
シンガポール日本人学校50年の歴史

シンガポール日本人学校創立50周年記念
変わる学校、変わる教育、次の50年に向けて

文部科学省の学習指導要領の柱は、「生きる力」を育むこと。海外にある我々日本人学校は、グローバルという言葉が実感できる環境にあり、「生きる力」はまさに「海外でも通じる生きる力」として、その育成が期待されています。従来の教育に加えて、当地の環境を活かしたグローバル教育の強化を次の50年に向けて実施していきます。

先般、文科省は在外教育施設グローバル人材育成強化戦略を打出しました。その中にある提言には、本校が20年前から取組んでいるイマージョン教育、或いは構想しているグローバル人材育成の先進的なカリキュラムなどがありました。ようやく本校に追い風が吹いてきた、という状況になっています。これからのグローバル社会に向けて、シンガポール日本人学校は緩やかに、そして大きく変わっていきます。

シンガポール日本人学校50年の歴史

シンガポール日本人学校50年の歴史

【1966年~ダルベイエステート時代】
1966年9月、校舎は小さな民家を改造して児童27名、教員3名でスタート。1つの教室で2学年が一緒に勉強し、先生は同時に2つの学年を教えるスーパーマンのような存在でした。

【1968年~スイスコテージ時代】
児童数が爆発的に増え、小さい校舎では間に合わなくなりました。そのため、1968年スイスコテージの新校舎に移転し、1970年には中学部も開校しました。

【1971年~ウェストコースト時代】
1971年ウェストコーストに学校移転。校舎や校庭が一気に広くなり、今まで無かった家庭科室や図書室などの特別教室ができました。周囲にはカンポンと呼ばれる集落があり、のどかな環境で子どもたちはマレー語の歌も習っていました。

【1976年~クレメンティ時代】
1976年クレメンティに新校舎完成。ようやく体育館、プール、運動場がある日本の一般的な学校になりました。現在のクレメンティ校は増改築を重ねて迷路のような校舎です。

【3校時代】
1995年チャンギに新校舎が完成。アジア通貨危機で児童が激減するも、小学部クレメンティ校・チャンギ校・中学部の3校体制となりました。今はスクールバスの台数が多く、バス委員さんのご苦労も偲ばれるほどの生徒数となっています。

日本人学校中学部の「イマージョン教育」

「イマージョン教育」とは、通常の教科学習を、第2言語で行う教育方法を意味しています。「Immersion」が持つ「浸す」という意味の通り、生徒たちは英語に浸ることでその言語の習得を目指します。当校では英語によるイマージョン教育を1996年から美術、音楽、体育、家庭科で始めました。経験豊かな教員たちは言語、教科の理解だけでなく、異文化に対する関心や理解をより深める役目も担っています。

「日本人教員と英語ネイティブ教員が協力して日本の学習指導要領に沿った計画を立案」
   ↓
「授業は英語ネイティブ教員が中心で進め、重要事項は日本人教員もサポート」
   ↓
「英語でも日本語でも教科の内容をしっかり習得」

これからの日本人学校の教育方針とは
学校運営理事会 理事長 山下 康次郎 氏

ボーダレス化する国際社会の中、近年日本ではグローバル社会で活躍できる人材の育成が急務とされています。これまでは大学を中心にその取り組みが行われてきましたが、これからは「より幅広い能力」、「より幅広い層」、「より早期から」が育成のキーワードになると考えられます。シンガポール日本人学校は、日本語の確実な習得や日本の歴史などを正しく理解するための日本式の教育を行い、海外においても「日本人」としての基礎をしっかりと学ぶことを大きな目的と考えています。一方、シンガポールで頑張っている子どもたちに「より早期から」グローバルな感性を持てるような教育機会を作ることも、もう一つの大きな目的と考えています。

この考え方のもとシンガポール日本人学校中学部では、来これからの日本人学校の教育方針とは学校運営理事会 理事長山下 康次郎氏年度から新たに「グローバルクラス」を開設することにしました。同クラスでは、グローバルな感性を磨くことに特化した独自のカリキュラムを実施することを想定しており、今までのイマージョン教科に加え、理科、数学を英語で学びます。同クラスは、子どもたちの将来の選択肢を増やすだけではなく、社会に出た後も国際社会で活躍できる礎になるものと確信しています。

国際社会で活躍し、国と国とを有機的につなげていく「日本人」を育てること、それがシンガポール日本人学校の大きな役割であり、そのために今後も進化を続けていきます。

シンガポール日本人学校中学部「グローバルクラス」

シンガポール日本人学校中学部 校長 齊慶 辰也

本校の卒業生は、早稲田渋谷シンガポール校を始め筑波大学附属駒場高校、早稲田大学及び慶應義塾大学の各附属高校、開成高校などの有名校に進学し、将来世界で活躍する可能性を秘めた、貴重な金の卵たちです。グローバル化がさらに進み、本校生徒にとっても今以上の高いレベルで必要とされるのが「英語運用能力」です。本校は「英語ネイティブ」を目指す前に、日本人のアイデンティティを確固たるものにし、英語をツールとして自由に使いこなす「日本語ネイティブの国際人」を育てることが大切だと考えています。

そこで来春新たに開設するのが「グローバルクラス」です。日本人学校の強みである、日本国内への進学、編入学の有利さ、日本人としての感性の育成をそのままに、イマージョン教育を拡充し生徒たちの英語でのコミュニケーション力を「自由に使いこなせるレベル」まで引き上げます。同時に思考力、柔軟性、行動力を強化し、世界で通用する日本人に育ててまいります。日本人学校は皆様の要望に応え、グローバル時代に必要な教育を提供してまいります。

シンガポール日本人学校中学部「グローバルクラス」

「グローバルクラスの特長」

「インター校で培った英語力を、さらに伸ばせるの?」
世界に羽ばたくための、ハイレベルな「英語運用能力」を目指す

●英語の授業は英語ネイティブ教員が担当。知識や意見を自在に伝える「英語運用能力」を養います。
●クラスは英語ネイティブ教員と日本人教員との二人担任制で、ホームルームの基本言語を英語とし、生徒が日常的に自然に英語で話す環境を作ります。

「どの科目を英語で教わるの?」
数学と理科も英語で学習、イマージョンプログラムの充実

●数学と理科の2科目は、英語ネイティブ教員が英語の教材を使って教えます。
●週に1回は日本人教員が日本語でも同じ単元の演習を行い、理数2教科を2言語でマスターします。
●美術、音楽、体育、家庭科の英語イマージョン教育も、従来通り実施します。

シンガポール日本人学校中学部「グローバルクラス」

「日本に帰国して進学するときに、国語力や未習領域で困らない?」
日本への進学も視野に、全学習領域をカバー

●国語と社会は、一般クラス同様に日本語で授業。定期考査は全科目一般クラスと同じ日本語の試験を実施することで、高い国語力を維持していきます。
●全ての科目を日本の学習指導要領に沿って学習するため、将来日本の高校や大学に進学する際にも未習領域の心配がありません。

「身につくのは、英語力だけ?」
世界に通用する「思考力」と「発信力」を鍛える

●特別授業「国際教養ゼミ」を通して、ボランティア活動などの体験的な学びやプレゼンテーション、ディスカッションなどによる論理的・批判的思考力、発信力を鍛える学びをします。
●生徒の主体性やチームワークを重視する日本人学校ならではのさまざまな行事を通して、一人だけでなく協働してやり遂げる力やリーダーシップを磨き、総合的な人間力を高めます。

シンガポール日本人学校中学部「グローバルクラス」

「グローバルクラス」開設に寄せる期待

早稲田大学付属早稲田渋谷シンガポール校
理事・事務局長 平野 泰氏

日本は、非常に便利な社会です。それゆえ、わざわざ海外へ出向かずとも居心地の良い状況となっていることが、若者の内向き化の要因の一つと考えられています。早稲田大学では日本人学生に少しでも多く海外における経験を持たせたいと、「地球市民の育成」の一環として長短さまざまな留学プログラムを提供しています。
人種のるつぼであるシンガポールにおいては多民族、多文化の共生が実現されており、そこで生活を送る日本人学校の生徒は、その状況を日々体感しながら成長することができます。「グローバルクラス」において、語学力と共にその感覚を更に磨きながら、「地球市民」として世界での活躍を目指す生徒が多く輩出されることを期待しています。

在校生・卒業生から

グローバルクラス以外にも、日本人学校中学部はこんなに良いところ!

濱谷遥さん 中学3年生
シンガポール歴:5年目 小4の終わりからシンガポール日本人学校

濱谷遥さん

英語の映画を観て内容をまとめる宿題はとても苦労しましたが、美術や音楽のイマージョン授業があるのでリスニングの力や単語力がかなりついたと思います。English Hubという部屋は、いつでも外国人の先生に質問でき、英語の書籍やボードゲームなどで楽しめます。部活動はバスケットボール部です。インター校との親善試合など海外生活ならではの経験も良かったです。

多橋 和輝さん 早稲田渋谷シンガポール校 高校1年生
シンガポール歴:小2から2度にわたり、通算で5年目

多橋 和輝さん

日本人学校の生徒たちは主体性・自主性がとても強く、体育大会などの行事は自分たちで創り上げます。転校生が多く同じ気持ちを共有し合え、絆がとても強くなるように思います。
僕は塾に通わなかったのですが、先生方がいつも声をかけてくださり、とても親身に受験対策などの指導をしていただきました。希望者が取り組んだ国際教養ゼミでは、特定のテーマについて調べ、まとめて発表をしました。授業の枠を超えた「プラスαの力」がつく貴重な学びだったと思います。

入学案内

対  象
●平成29年度4月に中学1、2年生であること
●日本人学校の在籍者または編入学が認められる者
●一定以上の英語力・数学(算数)・理科の学力を有する者(英語は、新中学1年は英検3級相当以上、新中学2年は英検準2級相当以上)
※クラス定員 各学年30名程度(希望者多数の場合は選考あり)

入級審査
●日本語で書いた「志望理由書」と「自己推薦文」の提出
●確認テスト(算数・数学及び理科)、英語のスピーキングチェック、日本語面接を予定
●日本人学校以外からの入級の場合は、事前に通常の編入試験有り(日本語作文等)
※詳細は当校ウェブサイトにて、7月末までにご案内します

学  費
一般クラスの学費に加え、別途月額 $200~$300程度
※外部検定試験料、特別なテキスト代等は別途徴収があります

入級までのスケジュール
10月22日(土) 第2回説明会・募集要項配布
11月初旬~ 新中学1・2年生 入級希望受付
12月初旬~ 入学適性検査実施予定(面接・スピーキングチェック・確認テスト等)
※個別のご相談にも対応しております。お気軽にお問い合わせください

シンガポール日本人学校中学部「グローバルクラス」

10月22日(土)
「グローバルクラス」説明会および募集要項配布

お申し込み・お問い合わせ:シンガポール日本人学校中学部
201 West Coast Road, Singapore 127383 Tel: 6779-7355

「グローバルクラス」詳細についてはウェブサイトでご覧ください。
ウェブサイト:http://www.sjs.edu.sg/secondary/

- 編集部おすすめ記事 -
渡星前PDF
Kinderland