海外生・帰国生へのヒント
教育の現場から vol.5 聖学院中学校高等学校 本橋 真紀子先生

「男の子を育てるヒント」

男子校の教師になって24年、中学1年生から高校3年生まで受け持ち、卒業生として3回送り出した経験があります。その経験から、私が考える「男の子を育てるヒント」をお伝えしたいと思います。

保護者会では、お子さんを心配する保護者の方の言葉をよく耳にします。「何をやっても遅い」「将来の進路が定まらない」「反抗期で何もしゃべらない」などさまざまです。私から見ますと男の子は元来とても素直ですから、「何も心配はいりません」と自信を持ってお伝えしたいです。

お子さんには必ず「やる気スイッチ」があります。特に男の子は、自分で決めたことに向かう力がとても強いものです。実際に、中学生までまったく宿題を提出しなかった生徒が、高校生になった途端に「宿題出します宣言」をし、学習態度がガラリと改善したことがありました。変わるきっかけはそれぞれです。本校では「糸魚川の農村体験」や「タイ研修旅行」など、生徒自身が経験した非日常の体験がきっかけになることが多いように思います。

どんな時でも「保護者の方の目線」はとても大切です。反抗期であまり話さない時期でも「親にどう見られているか」を気にしている様子は、生徒の言葉の端々で強く感じます。態度で示せなくても、特にお母さんにはきちんと認めてもらいたいものなのです。保護者の方にはぜひ、いつでも「しっかり見ているよ」というメッセージを、お子さんに発していただきたいと思います。

最後に、男の子には「あまり関わり過ぎない」ことをおすすめします。少子化が進み一人っ子のお子さんも多くいらっしゃるので、特にお母さんが過干渉な場合が増えていると感じています。思春期の男の子さんには「あえて見守る」という態度が必要で、そうすることでお子さんは自分で物ごとを考え、自分でできることを模索していきます。反抗期で不安になる保護者の方もいらっしゃいますが、それまでしっかりつながっているお子さんであれば、必ず「感謝」をしているものです。会話もままならない時期では想像できないかもしれませんが、今その瞬間だけを見つめず、少し先の目線を持って安心していただきたいと思います。

卒業生と話す時「彼らの成長過程で一緒に過ごせた」という喜びを改めて噛み締め、教師冥利に尽きると実感しています。子どもの成長は頼もしく、素晴らしいものです。これからも生徒一人ひとりに寄り添いながら、広いアンテナを張り豊かな人生になるよう、導いていきます。

聖学院中学校高等学校
本橋 真紀子先生

教育の現場から vol.5 聖学院中学校高等学校 本橋 真紀子先生

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