「塾を相談所に、お子さんに合った対策を」
海外では、日本人学校に通いながら放課後は現地でしかできない習いごとや英語の個人レッスンに没頭するお子さんもいれば、現地校やインター校に通いながら、日系の塾で受験勉強を継続しているお子さんも多いことでしょう。忙しくて疲れてしまっているお子さん、思い通りにいかずにストレスいっぱいのお母さん、それに寄り 添う時間のないお父さんもいらっしゃるかもしれません。
帰国入試対策の指導者という立場から、中学・高校受験において、 海外生が陥りがちな傾向をお伝えします。
【国語】 滞在が長くなると「漢字練習の意味」を忘れ、「学年相当の 文章に触れる機会」も少なくなります。放っておくと英語の本しか 読まなくなり、兄弟間の会話も英語のみになります。
【算数/数学】 現地校やインター校ではよくできるのに、日本の受験算数/数学では通用しないことはよくあります。海外にいると計算練習や文章問題に取り組む絶対量も激減します。
【英語】 学年や滞在年数にもよりますが、シンガポールの場合は欧米と比べると力不足のお子さんも見られます。生活の中の日常会話 はできるものの、「受験英語」に歯が立たないことも多いようです。
【理科・社会】 理科・社会の学習まで手が回っているお子さんは少なく、塾に通っていても「いつまで理社を続けるか」を気にしている保護者様、お子さんも多いようです。
せっかく行きたい学校に出会えても、準備をせずに受験直前に日本に帰ってから対策をするのでは間に合わないことになります。英語、作文、面接、書類などに限定した帰国生入試に挑戦するにしても、「海外で夢中になって頑張ったことが特にない」「英語も中途半端」「受験勉強にも出遅れた」という状態では、苦しい戦いが待って います。(そもそも科目を絞った分だけ選考が厳しくなることもあ ります)
近年は海外でも日系の塾に通われるお子さんが増えています。 一般受験と同程度の勉強をする塾、帰国入試に特化した塾、日本人学校の総合考査が得意な塾、インター校生のニーズに柔軟に応える塾、低学年の教育が上手な塾、個別指導塾、日本にも帰国生専門の校舎を持つ塾など、目的や対象も多岐にわたります。現地の塾の先生方は、長年の経験と情報が豊富な「腕利き」ですので、些細なことでも親身に的確に相談に乗ってくれるに違いありません。ぜひ気軽な「相談所」として早い段階から塾を活用されることをお勧め します。
ena 国際部 東京校 校長
永田 久貴先生