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グローバル教育

企業からの声

三菱UFJ銀行 執行役員 アジア法人営業統括部長 兼 シンガポール支店長 田中 琢哉 氏

2020.11.25

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不確実性に対処するには、「視点の多様性」や「俊敏性・柔軟性」が大切だと感じています。

事業環境が大きく変化し、不確実性が高まっている今こそ、多彩なメンバーから新しい発想が出てくることは強みになります。同僚一人ひとりの主張や考え方の背景、価値観をよく理解したうえで、意思決定をするように心がけています。

グローバル時代を迎えた今、企業が求める人材、教育とは何でしょうか。
企業の方からお話をうかがいました。

Q. 御行について教えてください。

当行は2006年に東京三菱銀行とUFJ銀行が合併して誕生した銀行で、前身である東京銀行、三菱銀行、三和銀行、東海銀行のそれぞれの強みを活かして統合発展してきました。現在は日本を中心に、米国のMUFGユニオンバンクや、「第二のマザーマーケット」と捉えているアジア地域においてアセアン4ヵ国のパートナーバンクやGrab社への出資を通じ、アジア太平洋をまたいだグローバル金融機関随一のネットワークを構築しています。

銀行の業務というと主に「融資」を行うイメージがあるかもしれませんが、近年企業から必要とされる金融サービスは多様化しています。例えば、資本効率を上げるための多角的な戦略を提案して企業の価値を高めていく「ソリューション」型のサービスが増えています。具体的には経済成長著しいアジアでの企業買収や事業提携の可能性について情報を提供・提案したり、さらにそのための最適な資金調達の方法をご提案します。また自社株買いや株主への配当などの資本政策についても戦略を練り、総合的に企業価値を高めグローバルな競争力を高めるためのサポートも行っています。

このように単なるファイナンスだけでなく多様化するお客さまや社会のニーズに応えていくために、当行ではグループの信託銀行や証券、シンクタンクなど各社の専門家とチームを組み、MUFGグループ一体で協働し日々活動しています。

三菱UFJ銀行 執行役員 アジア法人営業統括部長 兼 シンガポール支店長 田中 琢哉 氏

Q. アジアでの事業展開についてお聞かせください。

アジアでは計19ヵ国に50拠点以上を有し、総合的な金融サービスをご提供しています。加えて、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシアの銀行に出資・提携を行い、事業を展開しています。アジアは人口もGDPも引き続き増加基調であり、長期にわたり経済成長が見込めるため、日系企業の開発・生産・物流拠点も数多く、それらを安定稼働させるための産業基盤インフラの整備や、人が集まることによる都市機能の改善も求められています。そこには、環境に優しい技術や施設の運営管理に関する高いノウハウを持ち、ガバナンスも優れている日系企業が貢献できる余地が十分にあります。私たちはそういった日系企業と地元の企業を結びつけるような役割を担い、金融サービスを通じてアジアの発展と環境整備に貢献していくことを目指しています。

Q. 海外で事業展開する上で工夫していることは。

海外では、多様なチームの「強み」を活かすことが鍵です。例えばシンガポール支店では約1,400名の社員の内、日本人は180名程度です。残りの1,200名強の社員の国籍は20ヵ国程に及び、その多くが世界各国の金融機関をはじめ、さまざまな業界・組織で働いてきた経験を有しています。それに対し日本のオフィスは、日本人かつ新卒以来、当行で勤めてきた人が依然大部分を占めています。

日本では大きな意思決定をする際、事前に関係者間で丁寧なやり取りや議論を積み重ねていることもあり、時間はかかりますが一旦方向性が決まれば「阿吽の呼吸」や「以心伝心」で実務もスムーズに進みます。その一方で、急激に大きな事業環境の変化への対応を決断しなければならないときには、誰もが同じような発想になりがちで、機動的、大胆な打開策に踏み切りにくいこともあります。かつての高度成長期の頃のように、単純に事業規模を拡大すれば自然に成長できた時代と異なり、現在、私たちを取り巻く事業環境は不確実性も高く、状況も刻々と変化しています。こうした環境の下では、事象をさまざまな角度から捉えられる視点の「多様性」や、迅速に行動し環境変化にも適応できる「俊敏性・柔軟性」が、組織文化に浸透していることが大切と感じています。

シンガポールの多彩なメンバーと仕事をしていて感じるのは、「なるほど、そういう方法もあるか」と思わせるような新しい発想が出てくることが強みだという点です。シンガポール支店の同僚と議論し合意形成していくために、日頃からじっくり相手と話す機会を作り、その人の主張や考え方の背景、価値観をよく理解したうえで、意思決定をするように心がけています。

Q. 変化の大きな時代にはどのような対応が必要でしょうか。

変化の激しい時代においても、やはり長い歴史の中で積み重ねてきた当行に対する「信頼」を守っていくことが何よりも大切だと考えています。

当行には「Do the right thing」というモットーがあります。ただ儲かれば良いということではなく、顧客・株主・従業員はもちろん、地域社会・地球環境など、当行を取り巻くさまざまなステークホルダーにとって「正しい」と思われることをビジネスとして成立させることが我々のミッションなのです。ときには「慎重すぎる」というイメージを持たれることもありますが、「一旦決めたらとことん付き合ってくれる」というお客さまからの評価は守り続けていきたいものです。

新型コロナウィルスの影響で、デジタルシフトや多様な働き方への移行など、本来10年かけて変わろうとしていたことが一気に変化しつつあり、能動的かつ柔軟に変化に対応することが求められています。シンガポールは人材に積極的に投資し、意思決定をスピーディに進め新しい技術やプロジェクトに果敢に取り組むことでアジアのハブとなっています。我々も従来の強みを大切にしながらも、「シンプル」「スピーディ」「トランスペアレント(透明性)」をキーワードに、時代に即したダイナミックな組織運営を目指しています。

Q. どのような人材が必要とされていますか。

まずは「人と社会に関心があること」が大切だと感じています。担当させていただく企業やお客さまを一生サポートする心構えでベストなご提案をするためには、ニーズをしっかり理解し最適な解決方法を探るための丁寧な準備が必要です。そこでは相手への興味と共感する力、世の中に対する好奇心が強い人ほど良い仕事ができると思います。

そのような感性を磨くためには歴史など幅広い教養を身につけておくことが必要です。知識の引き出しが多ければ多いほど相手や社会への感度が高まります。また歴史を学ぶことは「先を見通す力」にもつながります。幅広い「リベラルアーツ」を学んでおくことは、変化を先取りする力、新しいアイディアに対するオープンな姿勢、さまざまな意見の人と合意形成する力などにつながり、社会で大いに役に立ちます。学生時代だけでなく、私も含めて社会人になってからも学習を続けていく必要があると考えています。当行では仕事に直結するようなスキルの研修も充実していますが、時事的なことも含めてリベラルアーツを学べる研修なども用意されており、年齢を問わず総合的な「人間力」を磨き続けることを奨励しています。

Q. 海外で暮らすご家族へのアドバイスをお願いします。

海外では、意識しなくてもさまざまな言語が耳に入り自然と異文化に触れる機会があります。それがお子さんの学びや成長のチャンスになるよう、積極的に周囲に関心を持つよう心がけることが大切だと思います。どんな相手にでも論理的な説明ができる力に加えて、異なる背景の人の立場に立って物ごとを見る力がついていると、将来グローバルに活躍する上では必ず強みになると思います。

また、海外に限らないことですが、親子でたくさん会話をすることが大切です。対話の中ではお子さんがついもっと話したくなるような良い「聞き役」になることを心がけたいものです。話の途中でアドバイスしたくなることもあると思いますが、そこを我慢して「聞き上手」であることに徹すると、本当の意味でお子さんの関心や悩みが見えてくるように思います。それが見えて初めて、本人らしく力を伸ばす方法を考えたり、悩みに対して適切なアドバイスもできるようになるのではないでしょうか。限られた海外でのひとときを有意義に過ごされることを、願ってやみません。

会社概要

三菱UFJ銀行

三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の日本のメガバンクの一つ。充実したグローバル・ネットワーク、高度な金融技術、グループの総合力を結集した質の高い多角的な金融商品・サービスを提供している。本業である金融機能を通じて、多様なステークホルダーのニーズに応えると共に、ESG(環境・社会・ガバナンス)の視点から、持続可能な環境・社会の実現を目指し、気候変動リスクへの対応や、環境に配慮した社会インフラの整備にも積極的に取り組んでいる。

田中 琢哉 氏

1991年 京都大学卒業、三和銀行入行。

96年 米国エモリー大学経営大学院MBA修了。

2009年 三菱東京UFJ銀行香港支店次長、法人業務部次長、法人企画部次長、経営企画部副部長、17年より三菱UFJ銀行執行役員。大企業営業推進部長、コーポレートバンキング企画部長を経て、19年より現職。

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