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グローバル教育

この人からエール

山梨英和中学校・高等学校 校長 三井 貴子氏

2022.01.10

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「国際社会に貢献できる女性」の育成を目指して

はじめに

本校は1889年にカナダメソジストの女性宣教師によって設立され、開校当初から国際社会に貢献できる女性の育成に力を入れてきました。校訓に「敬神、愛人、自修(神を敬い、隣人を愛し、自らを律する)」を掲げ、キリスト教の精神のもと、英語教育を殊に重視しながら「国際的な視野に立ち社会に貢献できる自立した女性」を輩出しています。

新型コロナウイルスの感染拡大という未曾有の危機に見舞われた今日、改めて教育の在りようが見直されていると感じます。教育現場においもICT化が進んだ現代、環境さえ整っていれば学びに「地方」と「大都市」の差はありません。人として豊かに成長するための教育環境は極めて重要であり、どのような環境を重視するのかが教育現場や各ご家庭に問われています。

本校は山梨県甲府市にあり、澄んだ空気と美味しい水をはじめ大変豊かな自然に恵まれています。各教室のバルコニーから見える富士山は都会の喧騒からは無縁で、生徒たちは心が解放され、深い知性と品位を身につけながら一人の人間として自分らしく生きる準備をしています。私が母校でもある本校の教員になって、今年で34年になります。自ら体現した英語教育の大切さを実際の教育に反映しながら、世界に目を向け協働できる女子の育成に日々邁進しています。

山梨英和中学校・高等学校 校長 三井 貴子氏

ICT導入の先進校として

今でこそほとんどの私立校でICTが導入されていますが、本校の導入は2012年であり日本におけるICT教育の先進校として注目されました。そのきっかけは、姉妹校であるオーストラリアのメントン・ガールズ・グラマースクールを訪れたことです。同校がICT導入の準備をしているのを目の当たりにし、これからの時代はデジタルを駆使した情報共有や学習ツールの利用は新たな学びの形として定着すると直感したのです。その甲斐もあり、新型コロナウイルスの感染拡大による休校措置が取られた際にも、オンライン授業を迅速に開始することができました。2020年4月の段階で100%オンラインの双方向授業を開始できたのは全国でも一番早い取り組みと称され、NHKの全国ニュースでも取り上げられたほどです。

そのスタイルは、朝の礼拝から始まり学校の時間割をそのままオンラインで実行するというもので、生徒たちは学びを一切止めることなく学習し続けることができました。その成果は教員や生徒、保護者とのつながりにおいても発揮されました。コロナ禍でお互いの顔が見えず不安を抱きがちな中で、保護者とも密に連絡を取ることができ生徒の様子を把握できたことは大いなる安心をもたらしてくれました。体育の授業までもオンラインで実施していたところ、ヴァンフォーレ甲府(日本サッカーリーグ 二部)の監督や選手たちが本校の取り組みをテレビでご覧になり、出前授業で体育を担当してくださいました。コロナ感染という惨禍において心温まるご縁をいただき、生徒の喜びようは想像を遥かに超えたものでした。

「真のグローバル教育」とは

「グローバル」とは、その人が居る場所ではなく「意識」によるところが大きいと考えています。現在はICT化が進み、情報が瞬時に世界を駆け巡り、どこにいても必要な情報を得ることができるようになりました。「真のグローバル教育」に求められるのは、どのように生きていくのかという「意識」を育むことだと思っています。「隣人を愛しなさい」という聖書の言葉にあるように、遠い国で起こっていることが他人ごとであってはなりません。自分の目が届く社会だけを見るのではなく、どこにいても広い視野で世界に目を向け協働する社会の一員であるという意識を持たなければ、持続可能な社会の実現は不可能でしょう。その意識があるか否かでは、お子さまの将来において大きな差が出るのではないかと感じます。

本校は2012年にユネスコスクールに認定され、生徒たちはSDGsを常に認識しながら生活を送っています。海外に3つの姉妹校がありますが、中でも韓国の名門、梨花(イーファ)女子高等学校とは一年間の交換留学プログラムや双方の短期の交流プログラムを毎年行っています(現在はコロナ禍で休止)。海外姉妹校が3校とは決して多くはないですが、いずれの学校とも緊密に交流できていることを誇りに感じています。本校は小規模な学校ですが、豊かな海外プログラムを充実させることで生徒に広い視野を育み、国際社会の一員としての「意識」を確実に育んでいるのです。

「女子校」の強み
〜自立した女性を目指して〜

中学高校時代は人の成長の中でもとても大切な時期です。近年、多くの女子校で男女共学化の動きも見られますが、中学高校という多感な時期に異性の目を気にせず心が解放された環境に身を置くことであらゆることにチャレンジできると考えれば、それがどれほど大きな醍醐味かは想像にかたくありません。近年「ジェンダーフリー」という言葉をよく耳にしますが、女子には女子ならではの成長曲線があるのです。本校の教員たちは最適で効果的な学びについて日々研究し、生徒たちに最良の教育を提供するよう、努力をし続けています。

生徒たちも、女子だけのこの学び舎を自分たちが自分らしくいられる空間と捉えているようです。肩の力を抜いて自分らしくいることができる、自分の思ったことが素直に言えるこの環境に満足しており、毎年行われる「学校評価アンケート」では、実に95%が「学校生活を楽しんでいる」と回答しています。

一方で、生徒には性差にかかわらず「一人の人間として」いかに生きるかが重要であることも伝えています。本校には「ウォーカソン(ウォークとマラソンを合わせた造語)」という学校行事があります。これは30年以上前に、海外留学から帰国した生徒が、現地で行われていたチャリティーランに感銘を受け、自分たちにもできないかと発案したことで始まりました。生徒たちが事前にスポンサーを募り、20キロを完走したらご寄付をいただき社会のために有効活用します。東日本大震災の年はその寄付を被災者の方がたに役立てて手助けいただくために、また、近年はラオスやタイの学校に通えない子どもたちの奨学金として支援しています。生徒たちは自ら考え行動し、それが自分のためではなく「人の役に立つ」ということであれば一層のモチベーションを感じているようです。まさに本校のモットーである「国際的な視野に立ち社会に貢献できる自立した女性」が体現されており、本校の文化として根付き継承されているのです。

山梨英和中学校・高等学校 校長 三井 貴子氏

なぜ山梨英和なのか

日本国内では少子化に歯止めがかからない中、私立学校の多くが帰国生・海外生入試を実施しています。海外にお住まいのご家庭では選択に迷われることも多いでしょう。本校には、海外在住のお子さまが海外で培った英語力を維持・向上できる土壌が整っています。それは、英語教育に導入している「個別最適化教育」です。英語の一斉授業では、いくらネイティブ教員が授業をしても生徒が話す機会は非常に限られているのが現状です。しかし「オンライン英会話」であれば一対一のマンツーマンになり、会話力が向上することは言うまでもありません。「イングリッシュコーチング」というリーディングプログラムでは、個々の力に応じて海外の教材を与えています。毎日15分のリーディングを続け、1~2週間に1度ネイティブ教員が確認し適切なアドバイスをすることでリーディング力は格段に上がっていきます。生徒たちは楽しんで学び、喜びとともに手応えを感じています。2021年から大学入試が大きく変わりました。それまでのセンター試験では、英語の配点は筆記が200点、リスニングが50点でしたが、大学入学共通テストではリーディング100点、リスニングが100点と同比率になりました。個々の能力に最適な教育により、本校の生徒はさらに飛躍していくことでしょう。

昨年から加盟したUPAA(海外協定大学推薦制度)も、生徒の将来の選択を広げています。UPAAは、英語の学力試験で一定のスコアを取得することによってイギリスとアメリカの名だたる18大学の合格を手にすることができます。通常海外大学の出願にはかなりのプロセスを経ますが、この制度の活用で海外大学がかなり身近になりました。大学を国内か海外かで迷っている方にとっては併願ができ、海外か日本の大学かを最終段階で選ぶことができる利点は大きく、生徒の可能性を最大限引き出していると言えるでしょう。

海外に暮らすご家族へのメッセージ

在留期間中はいろいろなことに興味を持ち、貪欲に過ごしてくださいとお伝えします。海外でしか経験できないことは無限にあると思います。ぜひその貴重な時間を有意義に生かしてください。SNSなどがもてはやされ読書離れが叫ばれて久しいですが、読書は非常に尊いことです。日本語でも英語でもいろいろなジャンルの本を読み、異なる世界に出会っていただきたいと思います。

親御さんは、ぜひお子さまそれぞれが持っている「力」と「個性」を大切にしてください。教育改革が加速し、親御さんが受けた時代の教育とは価値観が異なっています。お子さまに対しては昔の常識を押し付けるのではなく柔軟な考えを持っていただき、常に新しい情報を入手しながらお子さまに合った教育環境をお選びいただきたいと思います。帰国後も、皆さんの活躍の場は無限に与えられると確信しています。皆さまの将来の希望が社会貢献と合致し、自信を持って人生を切り拓いてくださることを願ってます。

三井 貴子(みつい たかこ)氏

山梨英和中学校・高等学校、国際基督教大学(ICU)を卒業後、銀行に勤務。
その後、山梨英和中学校・高等学校の英語科教諭として奉職。
2010年より教頭、12年より現職。

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