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この人からエール

ISS インターナショナルスクール教員 津村 美穂 氏

2012.01.20

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海外で育つ子どもたちはどのように未来へ向かって歩んでいけばよいのか、親が出来ることとはいったい何なのか。専門家から進路や将来を見据えたアドバイスをいただきます。

はじめに

 私がシンガポールに来たのは約18年前のことです。日本で外国人に日本語を教える教員として働いていたころ、息子の教育で親として悩む日が続きました。当時の状況を無理にでも変える必要から一つの転機になれば良いと思い、子供3人を連れてシンガポールでの新生活を決意しました。来た当初は英語もままならず大変苦労しました。しかし女性として自立することを目指しており、子供たちをしっかり育てたいという強い思いが私を強くしてくれました。

 ISS で教えるようになって15年、今では一番古い教員になりました。2000年から本格的にIBが始まり、現在はIBコースの日本語を担当しています。当時はIBのワークショップのために欧州まで行き、トレーニングを受けました。今でも2年に1回は欧州へ行き、最新のIB教育習得に励んでいます。日本で開催される際は、リーダーを務めることもあります。IBは素晴らしい教育プログラムだと、日々教えながら実感しています。日本の大学や日本の皆さまにもIBの良さを伝えるのを楽しんでいます。気分はIBの伝道師です。

シンガポールからの視点

 シンガポールでは日本を外から客観視することができて、外国として見ることができます。何気ない会話の中でも「日本ではどうですか」と問われることは多く、日本を改めて観察する気持ちになると思います。BBCなどを見ても、日本がどう見られているかが自然と分かって来ます。日本にいたらそういう見方にはならないでしょう。テレビなど日本のメディアが少ない分、子供が学校で話す内容も日本の子供たちのそれとは異なります。広い世界に目を向けようという意識が養われると思います。日本で大学受験を目指してやっている子が持つ視点とはかなり違うと思います。

 小さいころから海外にいる子は、学校にも勧められるので学校外の活動にも積極的に参加するようになり、ますます自分自身と地域、自分自身と日本ということを意識するようになります。そういう子は、将来日本へ帰っても、あるいは海外で勉強したり働くことになっても、日本のことを考え、日本のために活躍してくれることでしょう。

 子どもは、それまで日本の教育を受けていた場合、日本語で持っている知識を英語に変える必要がありますが、親も教師も代わりにしてあげることはできません。子どもが自分でやるしかないのです。大変な作業ですが、自分で選んだ道ならやり遂げられるでしょう。インター校への入学相談を受ける際は、必ず本人が希望しているかを聞いています。

 最近、学生の日本語力の低下を感じます。ぜひ保護者の方には、家庭内でお子様との会話の時間を大切にしていただきたいです。テレビで見たこと、新聞の記事、歴史、政治のことなどを、しっかりと日本語で会話してください。その時、「それ、どういう意味?」と聞かれるぐらいの言葉もたまには使い、お互いの会話のレベルを少しずつ上げていかれるようおすすめします。

皆さん全員が大使です

 一人一人が日本大使として他の国の人に向き合うことが大切だと痛切に感じます。本物の大使同様、自分自身の人格、日々の行動を好きになってもらうことで日本を好きになってもらうことが重要だと信じています。学生の中にはそのような意識を持っている人も既にいて、この意識は、外国にいるからこそ会得できるセンスと言えます。何故なら、教室でもスポーツでもスピーチでも、自分の行動や発表で、「日本人の○○さん」と見られるという経験をするからです。大人も子どもも、一人一人が日本大使です。そして日本にいる時には考えもしなかった人々との出会いを楽しんでいただきたいです。

「この人からエール」バックナンバーはこちら

https://spring-js.com/expert/expert01/yell/

※本文は2012年1月20日現在の情報です。

 

津村 美穂氏

1994年よりシンガポール在住。

1997年よりISSインターナショナルスクール教員。

IBの日本語を担当する傍ら、日本人向けにカウンセリングも行う。

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