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専門家の声 Specialist

この人からエール

早稲田大学系属早稲田渋谷シンガポール校 校長 小口彦太氏

2012.11.23

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海外で育つ子どもたちはどのように未来へ向かって歩んでいけばよいのか、親が出来ることとはいったい何なのか。専門家から進路や将来を見据えたアドバイスをいただきます。

はじめに

 20世紀後半、産業や経済、金融などのあらゆる場面で頭角を現し始めた中国やインドを始めとするアジア諸国が、その勢いをさらに加速させて一躍世界経済の主役となったことにより「アジアの時代」は幕を開けることとなりました。しかしその一方で、アジア地域における日本人子女に対する教育環境は決して充分とは言えず、とりわけ高等学校段階の教育の場が不足しているという現状は、日本人の海外赴任に対する消極的要素の一つとなっていました。

 早稲田大学はそうしたアジアの現状と将来の飛躍の可能性に早くから注目し、アジア地域における日本人子女教育の必要性を感じていました。中でも「アジアのハブ」と呼ばれるシンガポールは国際的な日本人子女教育実践の場としてふさわしい地であると確信しています。

「地球市民」に求められるもの

 グローバル化が進む現在、国を隔てる国境線は限りなく薄まりつつあります。「地球市民」という新たな概念が生まれ、多くの民族と文化・風俗が多様に入り交じってカオスの様相を呈する中、新たな価値観やニーズが生まれ、それらを受けた産業が次々と生まれています。多民族国家シンガポールは、まさにこうした現代世界の縮図といえるのではないかと思います。

 この目まぐるしく変化する国際社会で、お子さまが「地球市民」の一員として生きるには、好奇心のアンテナを伸ばして貪欲に知識を吸収し、物怖じせず積極的に行動する能力が求められることでしょう。しかし、こうした姿勢というのは一朝一夕に身に付くものではありませんし、誰かから付与されるものでもありません。そうした環境に身を置き、五感を用いて日々鍛え上げていくものと言えます。

 皆さんが生活するこのシンガポールは、様々な民族と文化が入り交じり、世界の複数の宗教が上手に絡み合い、中国語、マレー語、英語といった多くの言語が飛び交っています。日本にいては味わうことのできない、新鮮な驚きと感動、そして多様な理解と意識の共有を肌で感じるというこの経験は、お子さまの人間性を豊かにしてくれるばかりでなく、世界をより身近に感じるためのモチベーションとなるはずです。

 日本ではグローバル化への対応として2011年度から小学校での英語の必修化が実施されましたが、この成果が現れるにはまだしばらくの月日がかかるでしょう。一方でお子さまがシンガポールで学んでいる英語は日本の生徒が学ぶそれとは異なり、より実践的で汎用性に富んだものであることは疑うべくもありません。つまり、英語環境に身を置く皆さんは、現在の日本において即戦力となり得る貴重な存在なのです。慣れてしまうと当たり前のように思われるシンガポールでの生活ですが、こと「国際化」の波が絶えず押し寄せる現代にあっては、グローバル社会の最前線で「生きた英語」を学ぶことができるという大変恵まれた環境なのです。このことを自覚し、英語力と国際的な視野の習得に力を注いでほしいと願っています。

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