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企業からの声

シンガポール髙島屋 前社長 安田 洋子 氏

2015.06.25

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グローバル時代を迎えた今、企業が求める人材、教育とは何でしょうか。企業の担当者に聞きました。

日本では長期にわたるデフレで、百貨店売り上げが低迷した時期が長くありました。東南アジアは、高い経済成長を続けながらも、シンガポールでは小売業の競争相手が多く、決して簡単に業績を伸ばせる環境ではなかったと思います。そのような中、右肩上がりで業績を伸ばし続けている御社は驚異的な存在だと感じます。まずは御社の紹介をお願いします。

当社は1993年に開業して以来、20年以上が経過しました。現地のランドマークとして親しまれ、メインストリートであるオーチャードのこの場所で現在も業績が伸び続けているという意味では、シンガポールの皆様にご愛顧いただいていることを実感しています。シンガポールの皆様から支持を受けなければここまでの歩みはなかったでしょう。

髙島屋としての創業は1831年にさかのぼります。以来180年以上にわたり、おかげさまで日本を代表する百貨店として存在しており、皆様には特にバラの花の包装紙で親しまれています。現在は国内に19店舗、海外はシンガポール、台北、上海の3店舗に加え、2016年夏にはベトナム、2017年にはバンコクに出店の予定で、アジアで5店舗を展開していきます。

シンガポールでのマネージメントで工夫されている点について教えてください。

現在は約400名の従業員がおり、その中で日本からの出向者は10名ほどです。日本の百貨店でありながら、お客様は多民族国家シンガポールらしく多種多様です。ここシンガポール市場で、いかに売り上げを伸ばすかが常に大きな課題となっています。そのため、基本的に「現地の人材を活用する」ことを心がけています。

当社にはシンガポール進出以来20年近く勤続しているローカルスタッフがたくさんいます。シンガポールはご存知の通り転職社会ですが、その中で当社の定着率は群を抜いていると言えるでしょう。そのスタッフが現在マネージャークラスで活躍し、現場をけん引してくれているのが強みだと思っています。新ブランドを導入するときなどの「節目」には、必ず日本人の目で厳しくチェックをしていますが、ローカルスタッフもしっかり日本人の考え方を理解してビジネスを行っており、「あうんの呼吸」で仕事ができてきていると感じます。

実際に日々の現場では、広告の仕方や包装の仕方に至るまで、現地スタッフにしかわからない感覚は多いものです。例えば、日本で当社員が基本として習う包装では、途中をテープで止めることをせず、折目正しく包んだ上で最後に小さくテープで止めることが高い美意識とされています。しかし現地では異なり、両面テープで隙間が空かないようぴったり貼り付けている方が良いという包装の仕方です。日本の包装の仕方を知っている方が見れば、違和感があるかもしれません。どちらが良いかという議論の過程では、後者の包装の仕方はタカシマヤ流ではないかもしれません。しかしながら、日本の私たちから見るとタカシマヤ流ではないと思うことも、日本人である我々の既成概念だけにとらわれても意味がありません。ローカルスタッフが「この方がシンガポールでは受け入れられる」と考えれば、それに従うこともあります。そのまま日本のやり方を押し付けたりするのではなく、現地に根付かせることを優先させることもあるからです。

日本の百貨店業界の売り上げが伸び悩んでいる時期でも、御社は業績を伸ばし続けていました。その秘訣とは何でしょうか。

22015年2月期(2014年度)の営業収益は6億5,600万Sドル(550億円)、前年比+2.6%でした。シンガポールにマリーナベイサンズをはじめ、新たな観光スポットが出来たことによる観光客の増加という大きな恩恵も受けていますが、独自の経営ノウハウとマネジメント力により、この業績を支えてきたと自負しています。ここ数年でも当地には次々とショッピングモールができており、既存の店舗が前年の売り上げを上回るのは決して簡単なことではありません。

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