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企業からの声

キヤノンシンガポール社長兼CEO シンガポール日本商工会議所 会頭 小西謙作氏

2016.01.08

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グローバル時代を迎えた今、企業が求める人材、教育とは何でしょうか。企業の担当者に聞きました。

御社は日本の代表的なカメラブランドとして世界中に知られていますが、複合機やプロジェクターなどのオフィス機器、更には医療機器や半導体製造装置など、精密機器の分野を広くカバーしていることも有名です。今日に至るまでの御社の海外進出の沿革と、現在の事業展開について教えてください。

キヤノンはもともと、日本発の高級小型カメラを作ろうと1937年に精機光学株式会社として創業しました。当時、精度の高いカメラといえばヨーロッパのライカなどが主流だった中、当初からこれらのブランドを意識して世界的に認められる質の高い小型カメラの開発と海外進出を目指していました。終戦の翌年には新製品の小型カメラが進駐兵士や来日するバイヤーに好評を博し、1955年には米国にニューヨーク支店を開設しました。62年に中南米、翌年にはヨーロッパに進出し、79年にこのシンガポールの地にアジアの統括拠点が作られました。キヤノンシンガポールは現在、東南アジアと南アジア地域の18ヵ国を管轄しています。

現在、海外での売り上げは全世界の総売り上げの80%にのぼり、日本有数の海外売上比率の高い会社です。近年ではアジアの成長率が目覚ましく、売上率でいうと世界全体の24~25%で、過去15年間、毎年1ポイントずつ伸びてきています。カメラのような商品は生活の必需品とは言えませんから、ひとり当たりのGDPがある程度伸びてからでないと、なかなか市場が広がらないという現実があります。そういう意味ではシンガポールは既に成熟した市場といえますが、インドなどはまだまだ拡大傾向にある市場です。

海外展開を早くから成功させていらっしゃいますが、その過程のでしょうか。

キヤノンの本社はあくまでも日本ですが、東京の本社には、海外における事業について決定したり審査したりすることを目的にした組織がないため、それぞれの現場がある程度自由に決定できる裁量を任されています。製品はグローバルで共通していても、営業や販売はあくまでもローカルの文脈の中で展開していかなければなりません。現会長自身が米国に25年以上駐在した経験を持つこともあり、当社には現場を尊重する文化があるように思います。

現在、全世界でキヤノングループは250社を超え、従業員は20万人近くいます。この内日本人は約7万人です。シンガポールが統括する地域では、約3,500人の従業員がおり、日本人は約50人です。これらの日本人職員は、ほとんどがシンガポールとインドに駐在していて、その他の国々における経営は現地の人に任されています。シンガポールでは私がCEOですが、2人の副社長はシンガポール人とインド人で、すべての幹部が日本人という訳ではありません。

キヤノンとして一番大切にしていることは、商品の「品質」です。各国のお客さまにはそれぞれ異なるニーズがあり、カメラを使う環境も国や地域によって大きく異なります。例えば国によっては多機能なカメラよりも、より頑丈で壊れにくいことが重視されることもあります。あるいは地域によっては簡単に修理できること、そのために部品が標準化されていることが求められます。当社のカメラは基本的に世界共通の仕様で、各国のニーズに合わせて個別の製品開発は行っていませんが、販売は各地のニーズに沿って戦略的に行うことが求められます 。

「品質」と同時にブランドの「イメージ」、そしてそれにつながる「サービスの質」も重要な柱です。アジア地域では特に、マーケティング部門のスローガンとして「Delighting You Always」を掲げ、カスタマー・サービスの質の向上を図る取り組みを行い、日本ブランドとして誇るべききめ細やかなサービスの浸透を図ってきました。

また、どこの国であれ会社を支えるのは、何と言っても「人」です。現地で採用された従業員たちも、キヤノンの精神を理解して頑張ってグローバル時代を迎えた今、企業が求める人材、教育とは何でしょうか。企業の方からお話をうかがいました。いる人には長く勤めていただきたいと考えています。毎年勤続表彰をしており、今年シンガポールで35年の表彰を受ける人が10人いました。会社としては、短期的な上昇志向が強い人よりも、キヤノンの考えに共感してチームワークを重んじながら、共通の目標に向かって頑張りたい、という人を求めています。

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