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「母語の確立Vo.1」こどもクラブ主任 山出亜弓さん

2012.04.25

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 「母語」とは、『ある人が幼児期に周囲の大人たち(特に母親)が話すのを聞いて最初に自然に身につけた言語』(三省堂大辞林より)です。

 私はこれまでに香港、シンガポールと約14年以上にわたり、国際結婚家庭のお子さん達を中心に、日本語による乳幼児からの知育、就学までの学習の基礎、小1~小6までの教科学習等に携わってきました。

 2言語以上の環境で生まれ育つと、発語が少しゆっくりである傾向も見られますが、これは殆ど心配する必要は無いようです。

 親御さんが苦労されるのは、やはり「言語の習得」についてでしょう。私が、いつも提案しているのは、下記の三つの事柄です。

1. 両親それぞれの母国語で話す。

  ( 例 日本人のお母さんは日本語、欧米人のお父さんは英語で)

2. 聞く力と話す力を別々に意識し、それぞれを伸ばす方法を実践する。

3. お子様の様子をよく見ながら、ストレスをためさせない工夫をする。

 1については、ほぼ実践しているご家庭が多いようです。しかし時々、お子さんが英語の方がよく理解できるのでと、日本人のお母さんが全て英語でお子さんに話しかけられているのを目にすることがあります。

 生まれる前からお子さんはお母さんの胎内で話しかけられる言葉を聞いています。母語は育つ環境の中で自然と身に付くものですから、より多くの時間触れている言語となってくるでしょう。お母さんとは日本語、お父さんとは英語など、小さい頃から家庭の中でしっかりルールを作り、そのルールを守るように親御さん自らがしっかり働きかける必要があります。

 2の「聞く力」については、日々の生活の中でなるべく多く絵本の読み聞かせをしたり、DVDを見せたりして、日本語を耳にする機会をできるだけ増やしてあげることが効果的です。

 「話す力」については、意識してお子さん自身に日本語を「話させる」「言葉に出して言う」ということを経験させることが大切でしょう。

 以前私が教えていた日本人のお子さん(当時2才半)で、ご両親は日本語、メイドさんは英語、幼稚園はローカル校(英語、広東語、中国語)で育った子がいました。

 あるとき、授業でリンゴの絵を見せながら、「これは何ですか?」と質問しました。彼は「apple」と答えました。私は「そうね、日本語では『りんご』と言います」と説明しました。しかし彼は「ちがう! appleなの!」と、聞き入れようとしませんでした。何故なら、その子の中では「りんご=apple」となってはいなかったからです。

 この様に、その言葉の意味が日本語でわからない場合は「apple」と答えたら「そう、英語では『apple』と言い、日本語では『りんご』と言うのよ」と、その都度しっかりと認識させていくことが大切です。さもないと、母語としての日本語の成長が妨げられてしまいます。

 私のクラスでも、1才児クラスから、動物やのりもの、色の名前等は必ず声に出して言わせるようにしています。2、3才児クラス、それ以上のクラスでも復唱して言わせる、または質問をしてどんどん子ども達の言葉を引き出す工夫をしています。

 ご家庭では、絵本やDVDを見た後に「それではここでクイズをしてみようね」と、お子さんに遊び感覚で質問をするのがお勧めです。絵を見せて、「これは何ですか?」と聞いたり、絵本のページを閉じて「くまさんの後に出て来たのはだれだった?」というように、記憶ゲーム等を織り交ぜながら、子どもの言葉を引き出して行く、口に出して言わせることがとても効果的です。お子さんが自ら話す経験を繰り返すことによって、話すこと自体が楽しくなり、語彙も増えていきます。

 3については次回にお話します。

 

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