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企業からの声

パソナ・エデュケーション社長
株式会社 パソナグループ 執行役員 青田 朱実 氏

2018.01.10

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社会に貢献できる人材を育成する。
「愛国心」を持ち、日本人としての強みを生かしながら
努力を重ねる人であってほしいと思います。

グローバル時代を迎えた今、企業が求める人材、教育とは何でしょうか。企業の方からお話をうかがいました。

パソナ・エデュケーション社長 株式会社 パソナグループ 執行役員 青田 朱実 氏

パソナ・エデュケーション社長
株式会社 パソナグループ 執行役員
青田 朱実 氏

Q. 御社についてご紹介ください。

パソナグループは76年に「家庭の主婦の再就職を応援したい」という思いから、人材派遣システムを提供する会社として創業されました。新たな就労機会や雇用のあり方を社会に提案し「さまざまな社会の問題点の解決」「人を生かす=ライフプロデュース」を企業理念として掲げ、特に女性・若者・シニアにおける人材派遣を国内外で幅広く行なっています。

私が代表を務めるパソナ・エデュケーションは、香港における「語学教育」と「社員教育」をメイン事業に、人材育成と社会の成長支援を目指す会社です。設立当初は語学スクールとしてスタートしましたが、今ではアジア各国・地域の架け橋となるべく社員教育を通じてビジネス全般を幅広くサポートしています。また社会人だけでなく、中高生や大学生を対象に、未来を担う若手人材の育成にも取り組んでいます。設立時には200名程度だった生徒は、現在では社会人教育を含めて5,000名以上に増加し、日系企業における人材育成サポートも年々増え続け、香港最大手の教育機関と呼ばれるまでに成長しました。

日本の高校生や社会人を香港に招き、当地の学生や社会人との意見交換を通して日本の若者のグローバル化を促す「香港滞在型研修」、当社の語学コースで日本語を学習している生徒を淡路島に連れて行き、地元の人と触れ合いながら日本語会話を習得する「淡路島文化体験教室」などを開催しています。中でも国境や人種を越えた実践的な国際交流の場である淡路島の活動は、地方創生の取り組みとしても注目されています。

Q. 国際社会で活躍するために、日本人に必要な資質とは何でしょうか。

30年間グローバル人材の育成に関わる中で、成功するビジネスパーソンに求められる資質は、グローバルな英語力はもちろん、先見性や協働力、そして多様性を受け入れる力量だと思います。それらに加え、日本人としての強みを発揮するには、「愛国心」を持つことではないかと考えます。

「愛国心」という言葉は誤解されがちですが、単に母国への思いや考え方だけのことではありません。自国の文化や歴史を深く学び理解し、現在直面している課題を見つけ、それを克服するために知恵を集めて行動し、より良い社会をつくりあげて後世に残していくことだと考えます。その過程でグローバルなコミュニケーションを広く図っていくことは、お互いの「愛国心」への理解につながります。そのためには、他国の文化や歴史、宗教を学び理解することも重要です。そういったコミュニケーション基盤作りのためにも、まず自国について学ぶことが最重要ではないかと痛感するのです。

香港での研修で、日本人の学生が外国人である香港の学生から日本の伝統について教わるケースもあります。外国の人から見た日本の姿を知ることもとても興味深いです。皆さんには、ぜひ若いうちから自国についての見識を深め「愛国心」を身につけ、将来海外で仕事をする際の基礎力をつけていただきたいと思います。

Q. 学校での学習は、社会に出てからどのような意味を持つのでしょうか。

目先の成績や受験勉強も大切ですが、長期的な視野で学習の目的を考えることが一層重要だと思います。優秀なお子さんたちと接する中で、私が強く感じるのは「考える力」の礎となる「数学」「英語」「国語」の重要性です。

「数学」では論理的思考力、そして正確さが養われます。仕事の上では論理的な議論や迅速で正確な実務が評価されますので、数学に強いお子さんは社会人になってからもそれらの能力を発揮できる傾向があります。「英語」は、グローバルコミュニケーションの道具であり基礎教養の要でもあります。シンガポールに既にお住いの方は、それを体感されているでしょう。「国語」は論理的思考力と情緒への感受性の両方を育みます。その過程で読解力や文章での表現力を身につけます。日本語の学習は、第二言語の習得にも大きく関わっていますので、特に海外にお住まいのお子さんはしっかりと母語を学ばれることをおすすめします。

部活を含む「体育や運動」も、精神力とマネージメント力につながる重要な教科だと感じます。学生時代に部活動を熱心に続けてきた人は活躍できる人が多いことは皆さんもご存知でしょう。また、学校の科目以外にも得意分野のある人は実社会に出てからも存在感を発揮するように思います。仕事、趣味、学問など複数のネットワークを持っている人の可能性や個人の多様性に企業の採用者は注目しています。

<グローバル人材のための「必修4教科」>

数学 集中力・論理的思考能力 →論理的議論。効率的な実務。
英語 コミュニケーションの道具・基礎教養の要 →グローバル化に不可欠。
国語 読解力・文章での表現力 →論理的思考力、情緒への感受性。
体育 精神力・バイタリティ →協調性、協働力、タイムマネージメント力。

Q. 今、私たちが考えるべき「教育の目的」とは何でしょうか。

パソナグループの一員として「世界に貢献できる人材の輩出・育成」という企業理念に基づき、教育活動を続けてきました。私は、実社会における「良い仕事」とは、「人の役に立つ仕事」であると考えています。そして、そう考える人間に育てることを「教育の目的」と位置づけ、日々お子さんに接することが本質だと強く感じます。

小さいときから「人の役に立つことは価値がある」と言われて育ったお子さんは、人が見ていないところでも頑張ろうと努力し「役に立とう」とします。幼少期からこのような「自助努力」の精神というものが身についていれば、人生や仕事で逆境や困難に直面したときにも他に依存するのではなく、自ら解決法を見出し、リスクを恐れず問題を乗り越えることができるでしょう。そのために、親御さんご自身も常に何かに貢献し、チャレンジを楽しむ姿をお子さんに見せていただきたいと思います。

Q. 海外で暮らす日本人のご家族に、メッセージをお願いします。

私はこれまで、中学生から大学生、社会人に至るまで10万人以上もの方々の語学教育や人材育成研修をサポートしてきました。お子さんの中には、自分のやりたいことがはっきりと見えている子もいれば、そうでない子もいます。お子さんの未来を考えたとき、人生が早く1本の道になっていくことを望んではいけないと思います。多様な選択の中で苦しみ、もがき、悩みながら自ら進む道を見出していくところに人間の糧、人生の楽しさがあるのではないでしょうか。

世界の情勢は刻一刻と変わり、企業が求める人材も多様化しています。今後、専門知識やスキルを持った人材へのニーズは世界各国で確実に増えていくでしょう。それでも、「より社会に貢献できる」人材という点は不変です。世界のどこにいても、日本人としての「愛国心」を軸にしながら活躍できる人間であってほしいと願っています。日本人であることの誇りと自信、そして海外での貴重な体験の中で育んだ柔軟な感性と価値観が、皆さんの「財産」になることを願っています。

会社概要

Pasona Education Co. Ltd
アジアにおける人材育成のリーディングカンパニー

パソナグループで香港を拠点とした教育機関として84年に設立。以来、人材育成のリーディングカンパニーとして語学教育をはじめアジア全域で社員研修、人材育成などのプログラムを数多く提供。教育を通して世界に貢献できる人材を輩出し、より豊かな社会を築くことを目指す。昨年パソナグループと共に、次世代を担う世界の若者を対象に「Awaji Youth Federation(AYF)」プロジェクトを淡路島でスタート。

青田 朱実 氏

1987年にパソナ香港入社。

1990年より現職。語学学校を運営する傍ら、日系企業の社員・幹部研修を香港、シンガポール、マレーシアなどアジア各地で実施。

多数のグローバル人材を国際社会に輩出。説得力のある研修は、各方面から高い支持を得ている。

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