海外子育て・体験記・生活情報
【幼児編】「うちの子、大丈夫かしら?」 言葉の発達について

お子さんの成長は一人ひとり異なりますが、海外では相談できる機会も限られており心配に感じる方も多いでしょう。今回は「言葉の発達」について、言葉の専門家にお聞きしました。

Q. 2歳の娘がまだ単語しか話さず、発音もはっきりしません。言葉の遅れが心配です。

KiZroo & MaMaroo 言葉あそびクラス講師
大塚 あずみ 先生(言語聴覚士)

S. 子どもは1歳前後に意味のある言葉を話すようになり、話せる語彙が50~100語まで増えると、「ワンワン、いた」などの2語文が出てくると言われています。言葉の発達は個人差がとても大きく、言葉の増え方も、「徐々に増える」「急にたくさん話し出す」などさまざまです。

言葉は突然湧いて出てくるのではなく、話す準備は生まれた時からすでに始まっているのです。「聞く・見る・触る」などの感覚の発達や身近な人との愛着形成、コミュニケーション能力や認知機能の成長が大きな土台となって、言葉は発達していきます。言葉の発達を促すためには、これらのことを踏まえて子どもと関わっていくことが大切です。

一緒に物を見て、触って、語りかけ、その面白さを共有する中で「お話しするって楽しい、伝わると嬉しい!」という経験を積み重ねることにより、「もっと伝えたい」という気持ちが強化されます。こうして言葉をはじめ全般的な発達が促されていきます。

保護者としてはつい発語に目が向いてしまいますが、言葉を真似して言わせる前に、以下のような「やり取り遊び」や絵本の読み聞かせなどを通して、話し方のモデルを示してあげることも重要です。

おすすめ! 「言葉の発達を促す遊び」

● 絵本の読み聞かせ
● 手遊び歌
● ごっこ遊び
● 手先を使った遊び(お絵かき、ぬり絵、シール貼り、ひも通し、ねんど遊びなど)
● 楽しくお手伝い(できることから少しずつ)
● しりとり、かるた、「野菜には何がある?」「乗り物には何がある?」などの言葉あそび(できるようになる年齢には幅があります)

「うちの子、大丈夫かしら?」と思った時は、こんな視点で!
観察チェックリスト

□ 呼びかけに反応はあるか?
□ 伝えたことを理解しているか?
□ 言葉でなくても、発声やジェスチャー、指さしなどで伝えようとしているか?
□ 上手く伝えられなくて、フラストレーションは溜まっていないか?
□ 視線は合うか?
□ 人や物に興味を示すか?

発音は「発音しやすい音」と「難しい音」があります。正しい発音ができるようになる年齢は発音の難しさによってさまざまです。特に「さ行」「ら行」は難しく、すべての音が発音できるようになるのは5、6歳と言われています。4歳を過ぎて発音について心配がある場合は、専門家に相談してみましょう。

Q. もともと話し始めるのが遅めでしたが、ローカル幼稚園に通い始めてから、英語も日本語も他の同年齢のお子さんに比べて遅い気がして心配です。

S. 土台となる言語(母語)がしっかりと発達して、初めて第二言語が発達します。言語はコミュニケーションだけでなく、発達とともに思考や学習へと繋がります。言語が急速に発達する時期に、しっかりとした言語環境を整えることはとても重要です。園に通うようになると、同年齢の子どもたちや親以外の大人と接する時間が増えるので、その中でさまざまな言葉を学び、語彙が増え、表現力もついていきます。

海外生活や国際結婚のご家庭では、複数の言語環境に置かれることも多くなります。シンガポールでは、諸外国に比べ複数の日系幼稚園があり、比較的日本語環境が整いやすいでしょう。お子さんがローカル幼稚園やインターに通われている場合は、ご家庭ではできる限り日本語を使うように気を配りましょう。大人も海外で生活していると外国語を耳にする機会が多いため、つい子どもに対しても、日本語に英語が混ざった話しかけをしている場面を多く見かけます。子どもに話しかける際には常に「正しい日本語」で話しかけるようにしましょう。

複数の言語環境に置かれていると、言葉の遅れが「環境」によるものか、「発達の遅れ」によるものか判断が難しくなります。もともと発達の遅れがある場合は、さらに言葉の伸びがゆっくりになる可能性があります。

「もしかして…」と思ったら、上のチェックリストを参考にしていただき、心配がある場合は専門家へ相談しましょう。

『何でもQuestions & Suggestions』
バックナンバーはこちら
https://spring-js.com/expert/expert01/question-suggestion/

- 編集部おすすめ記事 -
渡星前PDF
Kinderland