海外生・帰国生へのヒント
国際基督教大学(ICU)卒業生 髙橋 花海さん「輝く思い出があるからこそ」

3ヵ国で過ごした「海外生活」

生まれも育ちも海外だった私は、在住した3つの国では現地校やインターナショナルスクールに通っていました。スペイン語圏であるパナマからアメリカに引越ししたため、最初はスペイン語で英語を教えてもらっていました。
シンガポールに来た時は「英語には問題ない」と思っていましたが、シンガポールで話されている英語はアメリカとは全く違っており慣れるのに苦労しました。それまで米語だけが英語だと思い込んでいた私の勝手な解釈を広げることができた、とても貴重な経験だったと思っています。

人生初「日本での学生生活」

社会人になる前に「自分の母国をもっと知りたい」という思いから、日本の大学に進学することを決めました。オープンキャンパスで見た日本の大学の中で、ICUはそれまでの環境に近かったことと、文系・理系の区別なく学ぶことができるリベラルアーツの学びによって、将来の自分の視野が広がるという大きな魅力を感じ入学を決めました。入学当初は、はじめて日本で生活することに自信がなく、不安な気持ちでいっぱいでした。しかし、ICUの多様性にあふれたキャンパス環境や、4年間過ごしたキャンパス内にある寮生活は私の大きな支えとなり、仲間との生活を通して信頼関係を築きながら正しい日本語も徐々に身につけることができました。

国際基督教大学(ICU)卒業生 髙橋 花海さん「輝く思い出があるからこそ」
ICUの寮で 「イニシエーション」というイベント

 

将来は「インターナショナルスクールの先生」に

SAS在学中に、小学校の先生の助手をするプログラムを選んだことがありました。生徒がみんな素直でたくさんの元気とエネルギーをもらえたと同時に、帰国子女として辛いことも楽しいことも経験しながら外国の学校に通う生徒たちの気持ちが、私自身の経験と重なりました。それ以来「この子たちの大きな夢を叶える力になりたい」と強く思うようになり、将来は、インターナショナルスクールの先生になるという目標ができました。この目標を叶えるために、大学では教育学を主専攻、言語教育を副専攻で学びました。教育学では教職課程の授業が多かったので、日本の教育に関して学びを深めることができ、自分が受けていたインターナショナルスクールでの教育と比較することもできました。また、言語教育では、インターナショナルスクールでは英語を第二言語として習得している生徒も多いので、「言語習得」についても興味深く学びました。

国際基督教大学(ICU)卒業生 髙橋 花海さん「輝く思い出があるからこそ」
SASの卒業式 スペイン語の先生と共に

 

海外で暮らす皆さまへ

私は3ヵ国で教育を受け、その度に引越しをして先生や友だちとの別れを繰り返しました。「なぜ自分ばかりがいつも辛い思いをしないといけないのだろう」と思い、人知れず涙を流したこともありました。しかし、転校を通してさまざまな人や文化と触れ合うことができ、自分の世界が大きく広がりました。現地で得たたくさんの輝く思い出があるからこそ、「もう無理だ」と思ったことも諦めずに乗り越え、いつしか前に進んでいる自分がいたのだと思います。

皆さんも、新しい環境では苦労や悩みがあることでしょう。しかし、こうした経験は必ず将来の自分の支えになります。帰国子女としての貴重な経験をもとに自己理解を深め、自己肯定感を高め、どんな環境でも「自分らしく」いられるよう頑張ってください。

お母さまより

目の前のことをこなしていくだけで精一杯の駐在生活でした。その度ごとに、小さいながらも環境に適応していく姿は、我が子ながら立派だったと感じています。海外での教育には心配が尽きないと思いますが、大変なこともきっと笑顔で振り返ることができる日が訪れます。無駄なことなど何一つありません。健康で有意義な駐在生活を送れるよう、心より応援しています。

※国際基督教大学(ICU)に関する情報はこちら
https://spring-js.com/japan/7288/

『海外生の今』バックナンバー
https://spring-js.com/global/global02/kaigaisei/

 

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