海外生・帰国生へのヒント
聖心女子学院高等科卒/早稲田大学国際教養学部1年 勝部 万貴さん 「一つひとつの壁を乗り越えて」

「言葉の壁」を乗り越えて

私は両親の仕事のため、小学校5年生から中学校2年生までを台湾で過ごしました。当初から「世界共通言語である英語を習得したい」と思い、最初に通ったのはインターナショナルスクールでした。そこで言葉の壁にぶつかりましたが、毎日先生や友だちが話しているのを聞き、だんだんと英語が理解できるようになっていきました。その後、中国語も習得したいと考え、小学校6年生の時に現地校へ編入しました。

現地校では、台湾人と同じ授業を中国語で受けましたが、最初は授業はもちろん日常会話すらできず、正直とても辛かったです。しかし、クラスメートが英語やジェスチャーを使って私とコミュニケーションをとろうとしてくれたおかげで徐々に中国語にも慣れ、学校生活を楽しむことができました。

学校以外でも、家庭教師に勉強をみてもらったり語学学校に通ったりして、長い時は放課後に4時間連続で中国語を学ぶ日もありました。インターナショナルスクールで基礎を培った英語も、引き続き家庭教師や語学学校で会話力を鍛えていきました。

「現地校で学ぶ」という貴重な経験

台湾で現地の教育を受けたことで、当地の文化や人々の考え方をより深く理解できたと思います。学内唯一の日本人でありながら、皆から他の台湾人と同じように接してもらえたことはとても貴重な経験でした。なかでも特に忘れられないのが小学校6年生の時の卒業旅行です。丁度誕生日と重なっていたのですが、先生方が最終日にサプライズで誕生日ケーキを用意してくださり、本当に嬉しくて「この学校に入って良かった」と心から感じました。

聖心女子学院高等科卒/早稲田大学国際教養学部1年 勝部 万貴さん 「一つひとつの壁を乗り越えて」
湾聖心の同級生と

 

台湾聖心から東京の聖心へ

台湾では英語と中国語を重点的に学んでいたため、帰国後を念頭に特に日本語の読解力向上を図りました。毎日日本語の新聞を読み、日本人向けの塾で読解問題を解き、作文を書く練習をしました。

そして帰国後の編入先として私が選んだのは、台湾で通っていた学校の姉妹校である東京の聖心女子学院でした。聖心は世界30ヵ国に146校ある姉妹校との交流が盛んです。世界各国の姉妹校に留学する機会も数多く得られることに、とても魅力を感じました。また、緑豊かで広大なキャンパスの中で、1学年3クラスできめ細やかに指導していただける環境が整っていること、模擬国連や英語演劇部などグローバルな視点を養える機会が豊富にあることも決め手になりました。特にお世話になった先生は古文の先生です。中学の大半を台湾で過ごし編入した私にもわかるように、先生が基礎から優しく面白く教えてくださったおかげでテストの点数が伸び、とても感謝しています。

私には双子の姉がいますが、姉も東京の聖心に進学し、今でも二人で英語や中国語で話しています。また、台湾の友だちと時々中国語で話したりすることで語学力を維持しています。

聖心女子学院高等科卒/早稲田大学国際教養学部1年 勝部 万貴さん 「一つひとつの壁を乗り越えて」
心女子学院での卒業式

 

台湾についての学びを深める

AO入試を終え、この4月から姉妹ともに早稲田大学国際教養学部に進学し、新たな目標を持っています。それは、大学で台湾の政治や他国との複雑な関係について学ぶことです。台湾駐在中に見た「ひまわり学生運動」※や、帰国後に聖心女子学院で参加した模擬国連を通して、台湾の人たちの立場や現地の学生の考えをより深く知りたいと思っています。また、将来は中国語や英語を生かして台湾に留学するなど、より深く学びたいと考えています。

※2014年に、台湾の与党が採決した中国との「サービス貿易協定」に反発して、学生たちと多くの市民が審議のやり直しと中台交渉を外部から監督することを求めた非暴力の運動。

海外で生活している皆さんへのメッセージ

海外では通っている学校が現地校、インターナショナルスクール、日本人学校などで皆さんそれぞれ状況が異なると思いますが、共通して重要なのは「今いるその国について、もっと積極的に知ろう」と思うこと、その国の人と関わってみようと思うことだと感じます。また、海外生活という貴重な機会を無駄にしないよう、吸収できることは今吸収するという姿勢も大切だと思います。海外生活では、何かの壁にぶつかることもあるでしょう。しかしそこで諦めず、焦らず、一つひとつの壁を頑張って乗り越えてください。そうすれば、必ず良い結果が得られると思います。

お母さまより

小学校6年生で現地校に編入させるということは、親の私たちにとっては非常に覚悟のいるものでした。娘たちも苦労はしましたが、幸い現地の友人に恵まれ、語学力を身につけることができたことで、苦労が報われたと思っているようです。現地での学習環境や帰国後の進路など、非常に悩まれると思いますが、あえてリスクをとって、海外ならではの経験をさせることも一つの有意義な選択肢だと思います。

※聖心女子学院 初等科・中等科・高等科に関する情報はこちら
https://spring-js.com/japan/9362/

『海外生の今』バックナンバー
https://spring-js.com/global/global02/kaigaisei/

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