日本からシンガポールへ

私は 4歳の時にシンガポールへ渡り、日系幼稚園を経て日本人学校小学部に入学しました。両親はインターナショナルスクールや現地校にも魅力を感じていたそうですが、母語を大切にしたいとの思いから日本人学校へ通わせることを決めたそうです。

当初は学校や街中で日本語以外の言語が常に聞こえ、不安と戸惑いの連続でした。また、学校でも毎日のように英語の授業があり、シンガポール人の先生の指示が全く分からずに苦労しました。しかし、同級生が授業の通訳をしてくれ、徐々に英語が聞き取れるようになりました。

将来の夢を見つけたシンガポール生活

シンガポールでは英会話と水泳のレッスンを週1回受けていました。英語でのコミュニケーションに自信が持てたのは、この英会話レッスンがあったからだと思っています。また、水泳のコーチはとても優しく熱心に指導してくださり、レッスンの日が毎回楽しみでした。タイムが縮むと嬉しくて、更に練習に熱が入りました。水泳のおかげで、努力し続けることの大切さを実感しました。

シンガポールの生活にもすっかり慣れた小学校3年生の終わりに病気になり、入院しました。異国の地で入院生活を送るということに、不安と寂しさで押しつぶされそうでしたが、現地の看護師さんが優しく話しかけてくれたこと
で安心して治療に専念することができました。当時は英語もある程度理解できるようになっていたので、とても嬉しかったことを覚えています。病気で苦しかった時に励ましてくれた看護師さんには、今でも感謝しています。また、その時の経験から、将来は私も病気で苦しんでいる人の力になれるように「医療分野に従事したい」という夢を持つようになりました。

田園調布学園を目指して

シンガポールでは日系の学習塾に通っていました。塾の送迎バスがあったので、遅い時間まで安心して勉強に集中でき、日本と変わらない受験対策ができたことが有り難かったです。

志望校を田園調布学園にした理由は、通学に便利な立地だけでなく、理系教育が充実しその分野への進学実績が良かったからです。

シンガポールでは、現地の社会について授業で学ぶことが多く、地元ならではの学びができました。その一方で、日本の社会についてはあまり勉強する機会がなかったので、帰国後は歴史や地理を一から勉強しました。授業などで分からない点は、学校の先生が丁寧に教えてくださいました。

楽しい理数系の授業

田園調布学園では、中学3年間で80もの理科の実験を行い、その上、土曜日は通常の授業ではなく数多くの体験型のプログラムが用意されています。友だちと一緒にさまざまな体験を楽しむことができ、人生を豊かにしてくれる学校だと実感しています。

数学の授業は、身近な生活に関わるテーマのもとで学ぶことが多く、とても楽しいです。数学は特に好きな科目でもありませんでしたが、先生方の分かりやすく楽しい授業を受けるにつれ、今では一番好きな科目になりました。
難解な問題に取り組み、解けた時の達成感は何ものにも代え難いです。将来の夢である医療分野に進むためにも、これからも理数系の授業を楽しみながら勉強に励んでいきたいと思います。

海外で生活している皆さんへ

現地にいる時は「何で海外にいるのだろう」「何の意味があるのだろう」と思うこともあると思います。しかし、この経験は近い将来必ず役に立つと信じて、いろいろなことにチャレンジしてください。

私はシンガポールで英語に触れ、外国の方とのコミュニケーションに抵抗がなくなりました。一歩外に出ると多言語で溢れているシンガポールは、とても恵まれた環境だと思います。ぜひ沢山の言語に触れてコミュニケーションを楽しんでください。

お母さまより

幼少期を日本と文化の違うシンガポールで過ごした娘にとって、異文化や外国人は特別な存在ではないようです。今でもシンガポールが自分の故郷だと言うほど愛着を持っています。貴重な海外での生活をご家族皆さんで「楽しむ」ことが一番大事なことだと思います。

※田園調布学園中等部・高等部に関する情報はこちら
https://spring-js.com/japan/12962/

『海外生の今』バックナンバー
https://spring-js.com/global/global02/kaigaisei/