不安だった日々
私は小学2年生の7月にシンガポールへ渡りました。せっかくの海外生活だから英語に触れさせたいという両親の思いもあり、インターナショナルスクールへ入学しました。当初は英語が全く分からなかったので毎日不安で、クラスメイトとも上手くコミュニケーションが取れずに苦労したことを覚えています。最初は単語を並べ身振り手振りで会話をすることから始め、外に出る時には積極的に英語を使うように心がけました。毎日多くの英語に触れることで、いつの間にか英語で意思疎通ができるようになっていました。土曜日は補習校に通っていたので、同じようにインターナショナルスクールへ通う日本人の友人ができたことは心強く、補習校での時間は心安らぐひとときでもありました。
海外での思い出と将来の夢
それから1年後、日本人学校へ編入しました。生活にも少し余裕がでてきたのでソフトボールのチームにも入りました。ソフトボールを通じて沢山の友人ができたことで、学校生活も更に楽しく充実したものになりました。このチームでは優勝も経験し、良い思い出として今でも心に残っています。
私は鉄道がとても好きだったので、シンガポールでは憧れだったマレー鉄道に乗車できたことも忘れられない思い出のひとつです。その後4年生の時に、今度はミャンマーに引っ越すことになりました。近代的なシンガポールとは異なり、素朴な街の様子に最初は驚きましたが、日本人学校ですぐに友だちもできて充実した毎日を過ごしました。
海外生活で印象に残っていることの中に「医療」があります。シンガポールやミャンマーで体調が悪くなった時は、日本人の先生に診ていただきました。心身ともに弱って不安だったため、日本語で医療が受けられることは大変有り難く安心できました。満足に医療を受けられない地域を訪れた際は、日本とはあまりにかけ離れた現実を目の当たりにし、誰もが安心して医療を受けられるように貢献したいと強く思いました。この経験から、私は将来医師として、そのような地域で暮らす人々の力になりたいと思うようになりました。
中学受験、そして現在
私はシンガポールでもミャンマーでも日系の学習塾に通っていました。もともと男子校を志望していたこともあり、帰国生入試だけでなく一般入試にも対応できるように国・算・理・社の4科目全ての勉強をしました。そんな中、当時通っていたシンガポールの塾に海城中学校の先生が来てくださり、母が説明会に参加する機会がありました。そこで初めて海城中学校には帰国生が多く在籍すること、帰国生と一般生が同じクラスで学べること、そして英会話の取り出し授業も受けられることを知り、魅力を感じて志望しました。
入学後は、伝統ある男子校ならではの行事なども盛んで、思い描いていた通りの充実した学校生活にとても満足しています。
受験前の1年間は英語の学習を休んでいましたが、現在は英会話の取り出し授業や、その課題を通じて英語力の維持に努めています。好きな科目は地学と社会です。担任でもある地学の先生が、興味を引く内容を取り入れた授業をしてくださるのでとても楽しいです。
海外で生活している皆さんへ
私は東南アジアで過ごしたことで異文化や多宗教について、また国ごとに生活環境が異なることを学びました。この経験を通して、私自身も自分の与えられた環境を受け入れ、そこで努力し楽しみながら過ごすことができるようになったと思います。
海外での生活は慣れない環境で大変だと思いますが、困った時には抱え込まず、誰かに相談するのが良いと思います。勉強だけでなく、そこでしか経験できないことにチャレンジし、思い切り楽しんでください。
お母さまより
海外生活の中では、小さいながらも息子なりに悩み、感じるものが数多くあったようです。楽しかったこと、苦労したことは、今ではかけがえのない宝物になっていると思います。新しい発見や出会いを楽しみながら、ご家族で日々を笑顔で過ごすことが大切だと思います。
※海城中学高等学校に関する情報はこちら
https://spring-js.com/japan/939/
『海外生の今』バックナンバー
https://spring-js.com/global/global02/kaigaisei/