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海外子育て体験記

藤波 美知男さん「自分に誇りを持て」 と言い聞かせて

2013.04.15

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長年海外でお子さんを育ててこられた方にご登場いただき、これまでのご苦労や貴重な体験談をうかがいます。
皆さんも「海外で子どもを育てるヒント」を見つけてみませんか。

Q : ご自身の人生を振り返り、お子さんに伝えたい ことは何ですか。

 日系のゼネコン社員としてシンガポールに駐在 していた時、ここでの生活が日本人のライフスタ イルとあまりに違い、愕然としました。仕事は定 時で終え自分の時間も楽しむ。「これこそが自分の 生き方だ」と思いました。永住を決意した私は、 一旦日本に戻って退社し、再び単身でシンガポー ルに来ました。ローカル採用で日系の会社で働き ながら、1984 年に起業。日本で取得した 1 級建築 士の資格はシンガポールでは通用しないため、自 分一人で闘うからには社名に代わる「武器」が必要、 と考え当地で建築士の資格を取ることを決意しま した。仕事をしながら猛勉強し、2 度目の挑戦で見 事合格。1988 年シンガポールで「日本人初の建築 家」になりました。 裸一貫で渡星した私が今日までこれたのは、「こ の地で成功しよう、転んでもただでは起きない」 という熱い思いがあったからです。そして常に「自 分自身に誇りを持っていた」という点につきるで しょう。この精神は豊かな人生を送るために必要 だと感じ、子どもたちにも引き継ぎ、伝えたいと 思っています。

Q : お子さんを育てる中で、どのような点で苦労さ れましたか。

 シンガポールで子育てをして、一番苦労した点 は学校選択でした。日本とシンガポールどちらの 教育を受けるかで大変迷いました。結局子どもた ちは 3 人ともローカルの学校へ通いました。日本 の教育を受けさせたい気持ちもありましたが、子 どもたちはあまり日本語が話せず、難しいと考え たからです。 母語の確立にはやはり母親が話す言葉が大きく 影響します。妻は日本語が話せないため、子ども たちはおのずと英語に強くなりました。日本語が 上手く話せないことで、通っていた日系の幼稚園 でいじめにあい、それが大きな決め手になりました。 日 本 語 は MOELC(Ministry of Education Language Centre:シンガポール教育省語学センター)で学び、 日本語検定 1 級を取得しました。現在長男は早稲 田大学理工学部建築科で学んでいます。

Q : お子さんの将来についてはどのようなアドバイ スをされていますか。

 子どもたちは 3 人とも建築家の道へ進みたいと 言っています。それは私が故意に導いたのではなく、 親の背中を見て子どもたちが自ら選んだ道なので す。 ビジネスの視点で考えると、日本語・英語・中 国語の3カ国語ができれば最強です。そこで小さ い頃から学校の他にチューターをつけ、語学の習 得には力を入れました。お陰さまで 3 人とも 3 カ国 語を流暢に話しています。 日本の大学へ行くことは、長男の意思でした。 早稲田大学の授業は日本語ですが、問題なくつい て行けているようです。シンガポールは男子には 2 年間の兵役の義務があるため、兵役に行く前に日 本の大学を受け、休学して兵役に行きました。若 い親御さんであれば問題ないでしょうが、私の場合、 息子に早く家業を継いで欲しいと考えているため、 社会に出るのが 2 年遅れることの影響は大きいで す。

Q : お子さんとの関わりで心がけたことは何ですか。

 いつも子どもと一緒に過ごす時間をつくるよう 努めています。 親自身が一生懸命やって、前へ前へと向かう姿 勢を見せるのは良いことです。 親は子どもに尊敬される人であることが理想で す。尊敬されかつ、たくさん愛情を注ぐのが理想 ではないでしょうか。子どもの反抗期に悩む親御 さんもいるようですが、それは親の愛情が足りな いからだと思います。時には言葉に出して愛情を 伝えることも必要でしょう。

藤波さんから一言

 ローカルの学校でも、国際結婚であるがゆえに いじめられ、ひどい時は血を流して帰宅したこと もありました。不憫に思いながらもどうしてやる こともできませんでした。そんな時、子どもたち には常に「自分に誇りを持て」と言い聞かせました。 アジア人の中でも、世界で認められているのは日 本だと思います。何人かと聞かれた時に「日本人」 と答えた時の反応は明らかに違うと感じます。日 本人への評価は高いと肌で感じるのです。そのこ とを理解していた子どもたちは、いじめにあって も自分が日本人であるということを隠そうとはし ませんでした。かわいそうな思いもさせましたが、 ローカルの学校を選択したことに後悔はしていま せん。

藤波 美知男さん

プロフィール

【家族構成】妻(シンガポール人) 長男(21)次男(19)長女(16)

【海外滞在歴】32 年(シンガポール)

1981 年に日系ゼネコンの駐在員と して来星。定時に帰って自分の時間 を楽しむライフスタイルに感激し、 永住を決意。会社を辞め再び来星し 1981 年に当地で起業、以来「日本人 初の建築家」として活躍する。

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