海外生・帰国生へのヒント
横浜市立杉田小学校 6 年 江口 仁太 さん 母 直子 さん 談「楽しみながら学べるシンガポール」

手探りで始まったシンガポール生活

 「英語も学ばせたいけれど、日本語も疎かにしてはいけない」。赴任が決まった時に一番最初に思ったことは、まだ2歳になったばかりの我が子の教育のことでした。日本では情報収集する手だてもなくそのままシンガポールへ向かいました。年齢的には自宅で過ごしても良かったのですが、あえて入園させたのは人見知りで兄弟のいない息子にとっては多くの人にかかわる場が必要だと思ったからです。


 日系とローカルの幼稚園をいくつか見学しBrookvale Creche(Eureka School House)に入園を決めました。慣れるまでしばらくの間は半日だけ預けていました。人見知りで私のそばを離れなかった息子は、優しく情熱を持って接してくれる先生やスタッフの皆さんのおかげですぐに慣れていき、楽しく過ごせるようになりました。

異文化に触れる

 「英語と多様性のある文化に慣れ親しんで欲しい」と考えていたので、小学校はインターナショナルスクールを選びました。5年間の学校生活でさまざまな国籍の友だちがたくさんでき、いろいろな文化を学びました。また日本文化にも興味を持つようになり、日本人である自分を認識すると共に世界の広さを身をもって知ることができたように感じます。ステージでの発表では表彰されたことが励みになり、自己を表現する喜びを覚えていったようです。
    
 本の主人公の仮装をするブックキャラクターデーのコンテストでは自らアイディアを考え、衣装にこだわりを持って臨むほどの熱の入れようでした。私も衣装製作を手伝うなど、親子で楽しく取り組んだ楽しい思い出として記憶に残っています。

インター校で、クラスメイトと

 

試行錯誤した日本語学習

 インターナショナルスクールの授業は英語ですので、日本語を学年レベルで学習していくには個人の努力しかありません。幸いイートンハウスは第二外国語クラスと放課後のクラブ活動で日本語を選択することができ、息子には理想的な環境でした。「英語のレベル強化」「ローカルの園で覚えた中国語を保持する」という目標を持ち、3カ国語の言語学習に取り組みました。


 英語と中国語の能力は順調に伸びていきましたが、その反面日本語学習については大変苦労をしました。幼い頃から毎日本の読み聞かせをしていたものの、息子は自分で日本語の本を読むことがなかなかできませんでした。そこで外部の教育機関
に通い、少しづつ本を読む習慣を身につけました。早口言葉やニュース、季節の言葉など、普段あまり使わない言葉も覚えることができました。また漢字検定に合格すると自信が持てるようになり学習意欲も向上していきました。

 小学校 4 年生の途中から日本人小学校に転校しました。帰国は全く未定でしたが高学年になり日本で進学する可能性を視野に入れると、日本式の教育も経験させるべきだと考えたからです。転校してからは語彙も増え、日本語の能力が飛躍的に伸びました。

運動会で運営のお手伝い

 

現在の生活

 帰国後は毎夏に体験入学をしていた地元の小学校に通い、委員会活動、合唱とバスケットボールクラブに参加しています。シンガポール滞在中にバイオリンや水泳、バスケットボールを習っていたため学校行事で活躍できる場がたくさんあり楽しく活動しています。現在は特別な英語学習はしていないのですが、小学校のネイティブの先生に積極的に話しかけたり、英語の本を読んだり、映画を観たり、外国人の友人とメールをしたりと、毎日の生活の中で英語を使うことに努め、それが息子の生活の一部になっています。

シンガポールの皆さんへ

 シンガポールには特色のある教育機関が充実しています。選択肢が多い分、学校選びは迷いますが、お子さんにとって最適な学校を選ぶためには学校見学と家庭内での話し合いがとても重要だと思います。子どもが楽しみながら明るく学んでいける環境を与えてくれたシンガポールと、触れ合った人々に心から感謝しています。

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