海外生・帰国生へのヒント
啓明学院高等学校 1年  齋藤 あやさん

はじめての環境、はじめての英語

 シンガポールに来たのは小学4年生の4月で、日本人小学校のチャンギ校に編入しました。シンガポールにはさまざまなインターナショナルスクールがあります。海外の教育に憧れもありましたが、大人しく控えめな私の性格と父の赴任期間、帰国後の進路を考えた結果、日本人小学校を選択したのです。
 チャンギ校は広い芝生のグラウンドと常夏ならではの開放的な校舎に異国の情緒を感じました。素晴らしい環境で学べる喜びで胸がいっぱいになったのを今でもはっきり覚えています。シンガポールの日本人学校は毎学期ごとに生徒の転入転出があるためか、クラスメイトは皆とても優しく、何もわからない私に親切に接してくれました。そのおかげで、楽しく新生活をスタートすることができました。
 チャンギ校では、ネイティブの先生が英語で授業をするイマージョン教育が取り入れられていました。英語を学ぶのは初めてだったのでとても不安でした。しかし家庭教師につき、英会話教室に通うことで半年後には授業についていけるようになりました。また、放課後にシンガポール人の友だちと遊んだり、外国人と会話をする機会を意識して作る努力をしたため、少しずつ英語に自信が持てるようになっていきました。

全力で取り組んだ合唱コンクール

 シンガポールの学校生活の一番の思い出は、中学二年生の時に実行委員を務めた合唱コンクールです。賞を取ることはできませんでしたが、全力で取り組んだこの経験を通して、人をまとめるのがどれだけ大変かということを実感しました。最初は協調性もなくコンクールに対する温度差もバラバラだったクラスメイトたちが、同じ曲を毎日のように歌い、練習を積み重ねるにつれ、チームワークを築き一つにまとまっていくことに大きな感動を覚えました。この経験は今後、人間関係を築いていく基盤になるのではないかと思っています。

親元を離れて送る高校生活

 あと何年シンガポールに滞在するかが未定だったため、高校進学の選択は大変難しいものでした。ある時友人の紹介で啓明学院に興味を持ちました。啓明学院は関西学院大学の継続校でありシンガポールで受験ができるのが大きな魅力でした。学校見学に行った際、明るく元気な生徒の様子がシンガポールの日本人学校と似ているのが好印象となり、受験を決めました。それからは国・数・英の3教科と面接に力を入れて勉強し、無事合格をすることができまし
た。高校生になってからは、はじめての電車通学や授業科目の多さ、厳格な校則に新鮮な戸惑いを感じながらも楽しく通っています。今は土曜日に特別英語講座を選択し、英検準一級取得を目指して頑張っています。
 現在も両親と妹はシンガポールにおり、私は家族と離れ祖父母の家で暮らしています。離れて暮らすことは淋しい時もありますが、これが私たち家族にとってベストだと話し合い決めたことです。海外生活を経て一人帰国し、親元を離れることで多くの気づきがありました。今は家族の絆が一層強くなったと感じています。将来の夢はまだ見つかりませんが、シンガポール生活で得た英語の力と国際感覚が活かせる仕事につきたいと考えています。

シンガポールで暮らす皆さんへ

 シンガポールでは、日本ではできないことをたくさん経験してください。周りには簡単に外国人と触れ合える場が見つけられるはずです。できるだけ多くのコミュニケーションを積極的に取る努力をし、英語だけでなく多様な文化を知ることは、貴重な財産になり将来の自分に役立つと思います。

お母様より

 毎日のように娘から充実した日々の様子をメッセージで受け取ります。それを見ると親元を離れて暮らすという選択が間違っていなかったと確信できます。子どもにとってベストだと思う決断をした後は迷いを捨て、自信を持ち、日々を着実に歩んでいくことが大事だと思っています。小学校4年から中学校
3年までの一番多感な時期を海外で過ごした経験は、とても貴重なものでした。娘には自分は好機に恵まれたのだということを認識し、その豊かな経験を将来につないでいくためにも、充実した高校生活を送ってもらいたいと願っております。

※啓明学院中学校・高等学校に関する情報はこちら
https://spring-js.com/japan/1451/

『海外生の今』バックナンバー
https://spring-js.com/global/global02/kaigaisei/

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