グローバル教育
第3回 オーストラリア編

オーストラリアは日本との時差が少ない英語圏で、治安の良さ、美しい大自然と洗練された都市など、多くの魅力にあふれています。今号ではオーストラリアの大学をご紹介します。

在日オーストラリア大使館 レオニー・モルドゥーン公使(商務) からのメッセージ

 オーストラリアは、国民の25%が外国で生まれているだけでなく、 大学で学ぶ学生の「5人に1人が留学生」という世界でも群を抜いた国際的な環境が整っている国です。そのような環境のもと、グローバル社会で通用する英語を習得し、異文化理解やコミュニケーション能力など「グローバル人材」として必要とされる力を育むことができるのです。

  また、留学生の権利を守るための国家法(ESOS法1)を制定している唯一の国でもあります。政府奨学金「エンデバー奨学金2」も提供し、留学生を応援しています。

  「世界で最も暮らしやすい国」といわれる安心の環境で、一生の財産となる最高の大学生活を実現してください。

 1 ESOS法:Education Services for Overseas Students Act 2000

留学生を受け入れるすべての教育機関に対して、教育の質と経営面に関する管理基準を設け、留学生にオーストラリア人学生と同じ高い質の教育と消費者保護を保証するための国家法。

 2 エンデバー奨学金

オーストラリア政府が提供する返済不要の奨学金。 詳細は http://australia.or.jp/endeavour/ を参照。
オーストラリア政府の教育関連公式ウェブサイト Study in Australia www.studyinaustralia.gov.au/japan

在日オーストラリア大使館主催 オーストラリア留学フェア2014
日時:10月12日(日)11:00 ~ 18:00
場所:御茶ノ水ソラシティ ※詳細は http://afuee.jp/ をご覧ください。 

オーストラリアの主な大学

2013年度QS世界大学ランキング上位100位以内

オーストラリアの大学の特色

世界でもトップレベルの教育水準

 大学が41校(うち38校が国公立大学)ある中で、2013年度QS世界大学ランキングのトップ100にランキングされている大学数は、アメリカ、イギリスに次いで3番目に多い。

国を挙げて海外からの学生をサポート

 留学生を受け入れるすべての教育機関は、政府への登録を義務づけられている(CRICOS制度※)。教育内容、施設・設備やサポート体制などの質が保証されているため(前述のESOS法)、大学間格差は小さい。

 ※CRICOS : Commonwealth Register of Institutions and Courses for Overseas Students

入学への経路が多数ある

 各大学で入学試験が行われることはなく、英語力や高校時代の成績などの総合評価で判定される。高校卒業後すぐ進学する場合(国際バカロレア⦅IB⦆ディプロマ取得者・HSC※取得者など)、大学のファウンデーションコース(日本の高校を卒業した生徒などが対象。下記参照) を経由する場合など、さまざまなルートがある。

 ※HSC : Higher School Certificate  オーストラリアの学校システムの高等学校修了証・大学入試 資格認定基準。New South Wales州での呼び方。

 ● 大学進学準備課程(ファウンデーションコース)とは?

  英語力などが希望する大学の入学要件を満たしていない場合は、大学のファウンデーションコースに進み、大学進学を目指すことができる。

 ○ 暫定的に大学の学部に在籍し、ファウンデーションコースで学ぶ。 英語力によっては、その前に大学附属語学教育機関に通う。
 ○ 規定の成績を満たした場合、同コース修了後に大学の学部課程 (1年生から専門課程)に進む。
 ○ 進学準備として、大学学部の専門英語と必要なスキル(ディスカッ ションや研究方法、レポートの書き方など)を学ぶ。

卒業後のキャリアを考えた政策

 卒業後はPost Study就労ビザを取得でき、学士号取得者は2年間の在留が許可される。オーストラリア国内で就労し、実務経験を積むことができる。(詳細は www.immi.gov.au/students を参照。)

授業料について(目安)

ファウンデーション・コース A$9,000 ~ A$14,000 /年
大学学部 A$14,000 ~ A$35,000 /年

※各情報は2014年9月現在Spring調べによります。詳細は各大学に直接お問い合わせください。

取材協力: 在日オーストラリア大使館
参考文献: オーストラリア留学ガイドブック2014 (発行:恵文社 協力:オーストラリア大使館・(総)領事館)

編集部が聞きました

クイーンズランド大学(UQ) 進学の夢に向かって

榊原 麗さん

 UQ(1年生)でコミュニケーション学を専攻。
浦日本大学中等教育学校(中高一貫校)で学ぶ。

 

Q : 大学進学前の海外体験は。
A : 短期留学もホームステイ経験もなく、中学と高校の学年旅行でイギリス・アメリカのボーディングスクールを体験したくらいです。

Q : 高校ではどのように学びましたか。
 A : 日本のカリキュラムですが、英語の授業には「海外進学コース」があったため、高2から選択しました。少人数制のクラスで留学用の英語試験、UQが推奨しているIELTSやオーラルコミュニケーションに重点が置かれていてレベルアップできました。

Q : UQの志望理由は。
 A : 英語が好きで、海外で働くことに憧れを持っていました。そんな折、学校での説明会で母校がUQに特別推薦枠を持っていることを知ったのが直接のきっかけです。他にもオーストラリアは国際生を歓迎していること、UQの多民族多文化性、欧米の大学と比較すると費用が安い、といった点も魅力でした。

Q : UQファウンデーションコースの奨学金取得までの道のりは。
A : 高校の成績・活動とIELTSの点数が重要でした。IELTSの問題集をひたすら解いたり、専門塾に短期間通ったりしました。志望理由書は高校の先生と相談しながら何度も書き直し、奨学金のインタビューに向けても練習を重ねました。12年間続けていたモダンバレエのこと、そしてジャズダンスの全国大会で3位に入賞したことは、持続する力と目標に向かって努力する力をアピールする材料に なったと思います。

Q : UQの学生生活を通して後輩に伝えたいことは。
A : 絶対に日本では得られない経験を毎日のように体験でき、辛いことも楽しいことも全て人生の糧になっていると思います。エッセイを書く量が尋常でないことには驚きましたし、同級生が積極的に議論をし洞察力のある分析をしていたのはカルチャーショックでした。海外の大学に入るのはすごくハードルが高いようにも見えますが、思いを持ち続ければ道が開けると思います。

 

 自信になった大学での学び

永井 子貴(ナガイ ミキ)さん
モナッシュ大学卒。日本にてフランス系 デジタルマーケティング会社勤務。 Australian International School Singaporeで学ぶ。

 Q : 大学進学の準備について教えてください。
A : オーストラリアへの進学を決めたのは、G12の終わりごろでした。日本への進学も検討しましたが、今の自分にはオーストラリアの大学生活が理想に近いと考えました。オーストラリアの大学へ出願する際に共に重要なHSCと学内の勉強に注力しました。

Q : モナッシュ大学を志望した理由は。
A : 文学部で評価が高いことと、知り合いが多く芸術的な都市メルボルンという立地が決め手になりました。

Q : モナッシュ大学での専攻は。
A : 入学当時専攻を決めかねていた私は、1年生で幅広く科目を選択し、2年生では自分に向いていると感じたメディア学と中国語のダブルメジャーをとることを決めました。途中、上海外国語大学へ短期留学もしました。ストレートで卒業できるのは4割程度と聞いていたため、無事卒業できたことは自信につながりました。

Q : オーストラリアでの生活はいかがでしたか。
A : 専攻の勉強が厳しかったので在学中は勉強に集中し、卒業後に本格的に就職活動をしました。在学中はカフェでのアルバイトを続ける一方、 町中のカフェ巡り、ロードトリップなども楽しみ、オーストラリアの雄大な自然とおおらかな時間を堪能しました。

Q : 大学を卒業して感じていることは。
A : 大学では専攻内容だけでなく、世界の広さや選択肢の多さ、そして自分自身について学べたと実感しています。現在の仕事では言語や異文化力を活かすことができ、やりがいを感じています。

編集部より

 世界有数の恵まれた環境のもと、どの学生も充実した大学生活を通して、世界でのキャリア形成に必須の力を体得できるのではないか、と思いました。日本人の学生にとっては、英語力に応じた入学方法が数多く提供されていることは、大きな魅力だと感じました。

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