グローバル教育
IBとは何か 【2】実践編

前回はIBの成立の経緯から拡大の背景と優位性についての概要でしたが、今回は具体的な内容に踏み込んだお話をしましょう。

キーワード

PYP (Primary Year Programme) :Pre-School ~ G5 に履修する初等教育のカリキュラム

MYP (Middle Year Programme) :G6 ~ G10 で履修する中等教育のカリキュラム

DP (Diploma Programme) :G11, G12 で履修する大学進学準備過程のカリキュラム

IGCSE (International General Certificate of Secondary Education):G9 ~ 10 で履修するイギリス式の中等教育カリキュラム

ESL (English as Second Language):英語を母語しない生徒のための英語補強クラス。学校によっては異なる呼称がある。

IBデイプロマ(DP)履修までの道

IB にはPYP(Pre-School‒G5), MYP(G6-G10), DP(G11-G12)の3種類のプログラムがありますが、なんといっても一番関心が高いのはDP です。大学進学準備課程のDP は成績次第で世界各国のトップレベルの大学に入学できるからです。DP を履修するにはそれまでにいくつかのハードルをクリアする必要があります。

1.MYP /IGSE を一定以上の成績で修了すること。

DP を履修するには、G10 でMYP 等の中等教育のカリキュラムを一定以上の成績で修了しなければなりません。学校によっては、MYP ではなく2 年間のイギリス式カリキュラムIGCSE を採用している学校も少なくありません。

2.前提科目群(Pre-requisites)を一定の成績で修了すること。

数学・化学・物理等の科目に関しては、MYP/IGCSE で関連科目を履修、一定以上の成績で修了しないと希望の科目履修ができないことがあるので要注意です。

3.ESL は可能な限り、早く抜けること。

DP にはESL はありません。DP を履修する学生には各分野の高度な内容を問題なく学習できる英語力が要求されます。少なくともG9 開始までにESL を抜けて、通常クラスで学習できることが望まれます。何故なら第2項で述べたように、DP の前段階のMYP/IGCSE でも好成績を取得することが必須だからです。

4.日本語(国語)力をきちんと保持する

DP では第一言語(母語)の履修が必須になります。後述のLanguage A, 日本人にとってはJapanese A が該当します。内容はかなり高度で大学の比較文学概論レベル。2年間かけて10 冊以上の文学を精読。エッセイを書かなければならないのでかなりのレベルの日本語(国語)力の保持が必須になります。

IBデイプロマの構成

DP は次の4つのコンポーネントから構成されています。DP を取得するにはこれらすべてを規定以上のレベルで修 了することが求められます。

1.6つの科目群から選択した6科目の学習

大学の志望専攻分野にかかわらず、原則的には6分野から1科目づづ計6 科目を選択しなければなりません。多くの科目にはHigher Level(以後略語HL)とStandard Level(以後略語SL)の二つのレベルがあります。HL は大 まかに言うと大学1~2年レベルの高度な内容で、2年間で240 時間以上の学習、SL は高校最終学年から大学1 年レベルの内容で、2年間で150 時間以上の学習が前提になっています。原則的にはHL を3科目、SL を3科目 履修することが義務付けられています。 コースカウンセラーが許可すれば HL 4科目、 SL 2科目という変則的受講も認められます。

またLanguage B を選択せずLanguage A を2科目(たとえばEnglish A とJapanese A) 履修することができ、修了すればバイリンガルディプロマを取得できます。

<各分野の科目例・・・学校によって開講科目が異なるなるので要注意>

○第一科目群 Language A(第一言語、母語) ・Language A( Literature) / Language A( Language and Literature)  日本人が履修を薦められるJapanese A はこの科目群に入ります。 (学校によって選択可能言語が限定されているので注意が必要)

○第二科目群  Language(第二言語) ・Language B(English, French, German, Spanish ,Mandarin 等) ・Latin / Classical Greek

○第三科目群 Individuals and Societies( 人文科学関連科目) ・Business and Management / Economics / History ・Geography / Information Technology in Global Society ・Philosophy / Psychology / Social & cultural anthropology

○第四科目群 Experimental Sciences( 自然科学関連科目) ・Chemistry / Biology / Physics / Design Technology ・Sports, Exercise and Health Science ・Environmental Systems and Societies(第三科目群としてカウント可)

○第五科目群  Mathematics and Computer Science(数学と情報科学) ・Mathematics Studies(SL)/ Mathematics( SL) ・Mathematics(HL)/ Further Mathematics(SL)

○第六科目群  Arts(芸術) ・Theater / Music / Visual Arts / Film Studies

<評価> 7段階評価、4が合格、全科目4以上が望まれる

2.課題論文(Extended Essay)の作成

平たく言えば、高校生の卒業論文に相当します。選択した6つ の科目の中から1つの科目(通常、大学で専攻したい科目)を選び リサーチのテーマを決定します。担当教員のアドバイスを受け、 最大4000語の論文を数ヶ月をかけて書き上げます。この論文 を作成することで対象の分析 ⇒ 知識・資料(データ)の統合  ⇒ 知識・資料(データ)の評価というリサーチの基本プロセスを 体得することになります。

<評価>全体の評価 5段階(A からE まで)

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