海外生・帰国生へのヒント
市川高等学校2年 名川 幹 さん「異文化に肌で触れ活きた英語に接しよう」

初めての海外生活

 僕にとっては初めての海外生活でしたので、シンガポールに来た当初は新しい土地への好奇心や期待にあふれていました。多民族国家のシンガポールでは、色々な異なる文化行事や食べ物がたくさんあり、 見るもの聞くもの全てがとても新鮮でした。学校では、周りの先生や 友達が日本人だったので、始めからすんなり溶け込めました。学外での活動の場も積極的に広げました。

 受験を意識し始めたのは中学三年の春休み頃でした。市川高校に決 めた理由は2 つありました。図書館の蔵書数が十二万冊もあるということが本好きの僕にはたまらなく魅力的だったことと、両親と妹がシンガポールでの生活を続ける中、僕ひとりが先に日本に帰国することになったため、学校の敷地内に寮があるということでした。実際の入試問題では英語の長文 読解が難解でしたし、数学も点が伸びず苦労しました。入試は帰国子女入学試験で三科目(英・国・ 数)でした。日本人学校 でしたが体育、家庭科、 美 術、音楽などの技能教 科はイマージョン教育といって、ネイティブの先生 による英語の授業を受けることができたので僕の中で自信につながっ ていました。また、シンガポールにいた期間に英検なども積極的に受 験し二級を取得できていたのは大変良かったと思います。

 

 運動会にて

 

高校生活スタート

 無事入学でき、生まれて初めて親元を離れての寮生活が始まりまし た。寮生活をする友達はあまり多くなかったため、始めはとても孤独 でした。また、掃除、洗濯、お金の管理など今までは親任せだったことをすべて自分でしなくてはならないことは本当に大変でした。家族 が日本に戻った今、寮生活を振り返ると、孤独に感じることが多かった分、家族のありがたみを改めて感じることが出来た大変貴重な機会だったと思います。自分で自分を律することや管理することの大変さも学びました。寮長さんや先生方にもとてもお世話になり、人々に感謝する気持ちも以前より芽生えたと思います。

 現在の学校生活は一言でいうと「とても楽しい」に尽きます。帰国 子女もたくさんいるので色々なタイプの友達と接することができ、毎 日が本当に楽しいです。また学力のレベルが非常に高いので日々とて も刺激を受けています。勉強の進度がとても早く、試験が多いのは正 直とても大変ですが・・・。

 今学校で習っている英会話の授業では、シンガポールで培った語学力を十分に活かすことができ大変有利だと感じています。

シンガポールを振り返って

 約三年間のシンガポール生活を通して様々な異文化に触れることができ、日本では経験できないことをたくさん経験できたと思います。

 日本人学校では生徒会国際委員長を務めたので、シンガポールの人と交流を深めることができたのはとても良い経験でした。

 家族で訪れたタイ、ベトナム、カンボジアなど近隣諸国でも貴重な体験ができました。特にカンボジアでは、過去の内戦で国内がまだまだ貧しい状態であるのを目の当たりにし強い衝撃を受けました。アジアの国々を旅行したことで、シンガポールだけでなく、ほかのアジア諸国への興味が広がり、ニュースや新聞の記事などにもより関心を持つようになったと思います。

 将来は是非海外で仕事をしたい、という気持ちが強くなりました。何事も前向きにチャレンジできるようになったのは、シンガポールでの経験があったからだと思います。

 

日本語を学ぶシンガポールの学生と共に

 

幹さんから一言

 海外で学習するということは英語を習得するチャンスはたくさんあると思います。せっかくの機会ですから、自分から積極的に地元の人と交流し、異文化を肌で触れ活きた英語に接するよう心がけることが大切だと思います。それらの体験の全ては帰国してからの大きな財産になります。是非シンガポールでしかできないことをたくさん経験して充実した生活を送って下さい。

母 淳子さんより

 駐在した当時、長男は中1、長女は小5 でしたが、多感な時期での海外での生活は、子どもたちにとってとても有意義な期間だったと思います。日本を出れば他民族がいて、様々な文化があることを身をもって体験できたからです。息子だけ先に帰国し、一人で生活が始まった当初は戸惑いも多々ありました。しかし寮生活を終えた今振り返って思うことは、あの期間があったからこそ、会うたびにとても頼もしく成長している息子の姿をあんなにまで実感することができたのだと思います。寮生活を経て、親子の絆がより一層深まったと実感しております。これからの人生で、大きな岐路に立つことが多々あると思いますが、シンガポールで培った前向きなチャレンジ精神で乗り切ってくれることと信じています。

『海外生の今』バックナンバー
https://spring-js.com/global/global02/kaigaisei/

※本文は2011年12月23日現在の情報です。

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