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みんなが知りたい!「バイリンガル」の育て方 ~0歳から10歳までが大切な理由とは~

2016.06.24

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2020年度からの本格的な大学入試改革 、小学校での英語必修化など、日本では英語教育が新しい局面を迎えています。海外に住む保護者にとって、我が子が「海外生」「帰国子女」としていかに英語力をつけるかは最重要課題と言っても過言ではありません。今回は、母語と英語を両立した「バイリンガル」の子育てや、その留意点について、立命館大学大学院で第二言語習得論を研究する田浦秀幸教授にお話をうかがいました。

立命館大学大学院・言語教育情報研究科 田浦 秀幸 教授

立命館大学大学院・言語教育情報研究科 田浦 秀幸 教授

シドニー・マッコリー大学で博士号(言語学)取得。大阪府立高校および千里国際学園で英語教諭を務めた後、福井医科大学、大阪府立大学などを経て現職。 バイリンガルや日本人英語学習者を対象に言語習得・喪失に関する基礎研究に従事。その研究成果を英語教育現場に還元する応用研究も行っている。著書に「科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!」など。パートナーはオーストラリア人、二言語環境での子育ての大変さを痛感する父親でもある。

「バイリンガル」の定義は一つではない

「そもそもバイリンガルとは?」と訊かれることが良くありますが、実は研究者の間でも、バイリンガルの定義は一つではありません。一般的には、第二言語でも美しい発音で流暢に話し理解できる人のことを「バイリンガル」と考える方も多いでしょう。日常会話での流暢さは、2年程度と比較的短い期間で身につけられます。さらに、読み・書きに支障がなくなり、文化的な背景も理解できる「言語認知力」を習得するには、個人差はあるものの7~10年はかかると言われています。

完璧な「バイリンガル」は数%以下

完璧な日本語と英語(あるいは別の言語)の話者であり、いかなる状況でも両方の言語を使いこなし、新聞レベルを読解でき且つ投書もできるバイリンガルは、実は少数派です。世界中の多言語を話す話者のうち、そのようなバイリンガルは数%もいないと言われています。また、本帰国などをきっかけに言語環境が大きく変化すれば、バイリンガルの水準を維持することは容易ではありません。

胎児にも影響することばの環境

私の研究では脳の働きも調査しており、とても興味深いデータがありました(図参照)。片親が英語話者である場合など、胎児の段階から英語の音を聞く環境にいると、生まれてからも左脳を効率的に使い、右脳をあまり使わずに英語を楽々と使う力を身につけています。 妊娠3ヵ月の頃から胎児は聴覚を持つため、生まれる前からこのように環境が影響を与えています。図で示されているとおり、英語圏滞在開始年齢により、たとえ同じような流暢さに聞こえても、右脳の関わりが年齢と共に大きくなることがわかりました。

みんなが知りたい!「バイリンガル」の育て方

田浦秀幸著「科学的トレーニングで英語力は伸ばせる?」より

0~6歳は英語環境にいるだけでも効果的

生まれてから1歳までの間は、脳ではどんな言語でも聞き取れる回路が存在しています。ところが、ある言語を聞かなくなると、不要な回路が刈り込まれます。 ヨーロッパのように出生以降多言語に囲まれた生活環境では、4つも5つもの言語習得が可能なのはこのためです。

0~6歳までの未就学児には日本人のお子さんでも、家庭内外で英語環境にどっぷりと浸かることで、英語は自然と身につきます。そのため、乳幼児期初期を日本で過ごし、その後海外に出て英語中心の幼稚園に入園して適応することは、とてもたやすいことです。ただし、就学前のお子さんの言語喪失も非常に短期間に起こりますので、日本語の保持もとても大事になります。

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