海外生・帰国生へのヒント
明治大学法学部 法律学科国際関係法コース3年 土方 麻由佳 さん「シンガポールで過ごした高校生活」

親元を離れて

 1998年から家族でホーチミンに住んでいました。両親がバンコクに移ることになり、私はシンガポールで寮生活を送りながら早稲田渋谷シンガポール校に通うことになりました。

 始めは日本の高校に通おうと思っていましたが、早稲渋はアジアで唯一の日本の高校だったので興味を持ち、中学生3年生の夏休みに母と見学に行きました。日本の高校と比べて規模は小さいですが、先生方の熱意と生徒の素直さを肌で感じ、とても好印象を受けました。ここで学びたい、と迷わず思いました。

 新しい環境下での生活は慣れないことだらけで、とても不安でした。特に最初の半年間は、両親と離ればなれに暮らさなくてはならないということが一番寂しかったです。これから3年間、無事高校生活を送れるのか、仲の良い友達はできるのか、身の回りのことは一人で出来るのかなど不安を上げたらきりがありませんでした。

 高校生活は行事がたくさんあり、一緒に取り組む仲間にも恵まれたので全てが楽しかったです。私の貴重な青春の思い出ができました。中でも一番心に残っているのは修学旅行です。オーストラリアに行きファームステイを体験したことです。

日本での大学生活

 長年の海外経験から、興味のある分野はやはり国際関係でした。以前から社会が得意でしたので、社会科系の学部に行きたいと考え、今の大学に決めました。

 所属しているテニスサークルで、2年生の幹部の時に練習長を務めました。皆をまとめたり練習方法を考案したり、大変でしたが沢山の貴重な経験ができ、良い思い出になりました。サークル活動も貴重な大学生活の一部だと改めて思いました。

 

大学2年生、テニスサークルの仲間と

 

 勉強面では、1~2年で履修した法律科目に苦労しました。周りの友達は頭がよい人ばかりなので、ついて行くのが大変でした。成績と単位は絶対に落としたくなかったので、テスト前は図書館にこもって必死に勉強しました。現在3年生ですが、早めに頑張ったお陰で授業の単位数も落ち着いてきました。今は民法のゼミで、発表の準備に励んでいます。

 就きたい職業はまだ決まっていません。これから始まる就職活動が不安ですが、自分の可能性を信じ、幅広く企業分析をして、自分にあった企業を見つけたいと思います。

シンガポール生活を振り返って

 思い出に残っていることは、数々の学校行事です。早稲渋の皆は全てに対して全力で取り組むので、辛いこともありましたが、その分楽しさが味わえたと思います。

 寮生活のために近くに両親がいなかったことはやはり辛かったです。特に風邪をひいた時などは本当に辛かったですが、そんな時支えてくれた寮生の皆や、寮官の方への感謝の気持は今でも覚えています。助け合うことの大切さを学んだ日々でもあったと思います。

 私は、海外に住んでいたといっても、小学校も中学校も日本人学校で、高校も早稲渋だったので10年以上海外にいながらも日本に住んでいるのと変わらないような生活を送っていました。大学に入学した際も、あまりギャップは感じませんでした。

 しかし、周りの友達には“海外に住んでいた”という事実だけで、いろいろと興味深く聞かれることがあります。英語がネイティブ並みにしゃべれるとか、ベトナム語はペラペラだとか、そのような固定概念があるようです。私自身はそのような意識がないとしても、日本で生まれ育った人からは、「帰国子女」として見られているのだなあと感じます。

 

高校二年生の修学旅行(オーストラリア)にて

 

シンガポールの皆さんへ

 皆さんは、シンガポールが好きですか?私はシンガポールがとても好きでした。たった3年間しか住んでいませんでしたが、時々もう一度シンガポールで生活したくなります。本当に充実した楽しい日々でした。今やりたいこと思うことに全力で取り組み、楽しんで下さい。決して後で後悔するようなことがないようにして下さい。

お母様より

 シンガポールでは寮生活をしていたので、どんな苦労や楽しい事があったのかを、親の目からあまり確認できませんでした。今思うことは「とにかく自分で精いっぱいやるしかない」というのが現実だったのではないかと思います。その経験が活かされ、大学では何事にも一生懸命取り組んでいるようです。これからの人生においても、大いに役立つことでしょう。貴重な経験ができ、感謝しております。子供は親の見ていないところでは頑張れるものだと、痛感いたしました。

※明治大学に関する情報はこちら
https://spring-js.com/japan/894/

『海外生の今』バックナンバー
https://spring-js.com/global/global02/kaigaisei/

※本文は2012年3月23日現在の情報です。

- 編集部おすすめ記事 -
渡星前PDF
Kinderland