グローバル教育
小学生から大学生まで必見!「英語4技能」試験特集 Vol.2

2020年度には、大学入試センター試験に代わる新テスト「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が予定され、日本の英語教育は各方面で変化しています。注目が高まる英語4技能試験について、今回は実用英語技能検定(英検)とTEAPの開発者・主催者にお話をうかがいました。

小学校低学年でも受けられる?
大学受験に必要な試験は?
受験するのは日本で?海外で?
うちの子に合っているテストは?

2016年度より4技能化・スコア導入
実用英語技能検定(英検®)

英検は1963年の設立以来半世紀以上にわたり、実用英語の習得及び普及向上に寄与することを目的に、制作・実施されてきました。 近年大学や高校入試で英語4技能を重視する傾向が顕著になり、外部資格検定の積極的な活用が進んでいます。このような傾向に対応し、英検は2016年度より以下のように改定されました。これにより4技能別に英語力を測定できるようになり、生涯にわたる英語力の伸長にも、より具体的な指針を示すことが可能になりました。

※英検2級まではシンガポールでも受験可能。

2016年度からの主な改定内容

◎従来の1級・準1級に続き「2級」にもWritingが導入され、4技能化
◎「4級」「5級」にSpeakingを導入することで、1~5級の全ての級でSpeakingを測ることが可能に
◎英検の級における合否結果に加え、「合格ライン」までどれほど近いかが明示される「英検CSE」スコアを導入

英検2級のライティングの出題例・英検4級のスピーキングの出題例・「英検CSEスコア」サンプル。「合格ライン」と自分のスコアが掲載され、具体的な対策の指針になる 英検2級のライティングの出題例・英検4級のスピーキングの出題例・「英検CSEスコア」サンプル。「合格ライン」と自分のスコアが掲載され、具体的な対策の指針になる

親しみを広げる育成型リスニングテスト
英検Jr.®

1992年に、文部科学省が小学校から英語学習を導入することを検討し始めました。その動きを受け、英検協会でも1994年に児童英検(現英検Jr.)をスタートさせました。

英検Jr.は、英語学習の入門期の児童を対象にした、英語に親しむことを目的とする試験で、合否ではなく、「どれほど正解したか」という正答率を図る育成型のリスニングテストです。英語の学習経験を目安に、3つのグレード、Bronze(初級)、Silver(中級)、Gold(上級)で評価されます。

英検テストファミリーにおいて小学生以下の志願者数は35万人を突破

昨今は、子ども向け英会話教室や英語学習を充実させた私立校が人気を集めるなど、低年齢からの英語学習への関心が高まっています。 英検テストファミリーにおいても、小学生以下の志願者数は年々増えています。

英検テストファミリーの受験状況

英検テストファミリーの受験状況

日本英語検定協会に聞きました

英検及び英検Jr.の今後の展望

小・中・高で英語の4技能をバランス良く習得することが求められている今、大学においては、外部検定試験の活用が進み、英検やTEAPなど、4技能試験の利用が増えています。改定された英検では、CSEスコアを活用することができ、よりきめ細かな英語力の測定を実現しています。

英検を認定している海外の教育機関や大学は、北米を中心に約400校にのぼります。国内では、大学・高校で1,700校以上が英検の資格を英語入試の免除や加点対象とするなど、優遇策を講じています。今後も、英検を通して総合的に英語4技能の力を向上させるとともに、進学や留学など、グローバルなステップアップに役立てていただけるよう、努力してまいります。

なぜ今、英語4技能が熱い?
小学校教育を取り巻く2大改革

小学校教育を取り巻く2大改革

上智大学と日本英語検定協会が共同開発
TEAP

高校2年以上対象、日本の大学入試を想定

TEAPは、大学教育レベルにふさわしい英語力を測定し、より実践的なグローバル人材を育成するために、上智大学と日本英語検定協会により共同で開発されました。日本の大学入試を想定しているため、学習指導要領で求められる高等学校での英語学習を踏まえた問題設計となっており、対象受験者は主に高校2年生以上です。

問題の特徴は、英語で資料や文献を読む、講義を受ける、意見を述べる、文章を書くことに重点を置いている点です。フィードバックも充実しており、技能別スコアとCEFR※1バンド、そしてTEAP Can-Doリスト、CSEスコア※2で試験結果と今後の学習指針を示しています。

試験会場用の様子

※1 CEFRとはCommon European Framework of Reference for Languagesの略で、語学能力を測る国際規格。詳細はこちら
http://4skills.eiken.or.jp/quali?cation/cefr.html

※2 CSEスコアとCEFRをA1レベルからC2レベルまでの範囲で英語4技能を各1000点満点として尺度化したもの。

2014年度ペーパー試験TEAP、2016年度より本格的に開始コンピューターで実施されるTEAP CBT

開催時期 : 年4回(TEAP: 7、9、11月。TEAP CBT:10月)
試験会場 : TEAP 国内12都市(TEAP CBTは2017年度より拡張予定)
種  類 : 出願大学の要件に応じ、2技能、3技能、4技能を選択可能
受験資格 : 高校2年以上
有効期限 : スコア取得後2年度の間(取得翌年度及び、翌々年度の大学入学に利用可能)

受験詳細はウェブサイトをご覧ください。
http://www.eiken.or.jp/teap/schedule/

ライティングの出題例ライティングの出題例。
図式や各情報を分析した上での解答(この問題では200ワード)が求められる。

 TEAP CBTのリーディングの出題例 TEAP CBTのリーディングの出題例。適切な答えを選択、ドラッグして解答する。

担当者に聞きました

公益財団法人 日本英語検定協会 制作部 部長 本間 充氏

4技能+インタラクションの能力を測る
TEAPのスピーキングでは対話をしながらの試験になります。英語4技能に加え、双方向のやり取りである「インタラクション」を加えたことで、「5技能」を測る試験とも言われています。今年度10月からはコンピューター化した試験TEAP CBTが本格的に実施されますが、そのスピーキングテストでも、オンラインで相手と対話する形式でインタラクションの力を測ることが可能です。

教育事業部 部長 塩崎 修健氏

採用大学は50以上へ
2020年の入試改革に向けて、英語教育は初等教育での早期化、中等教育での高度化、そして大学入学者選抜の4技能化が推進されます。TEAPは導入初年度の2014年度から翌15年度には志願者数が前年比で162%※となりました。採用大学も来年度は50以上と、 年々着実に増加しています。今後もより多くの高等教育機関が「大学での学びに必要な英語力」を正確に測定する試験として、TEAPを導入していくと予想されます。

※初年度となる2014年の第一回志願者数と15年の同期比。

採用大学 例

上智大学、早稲田大学、筑波大学、明治大学、関西大学、関西学院大学、立命館大学、広島大学、高知大学、立命館アジア太平洋大学、鹿児島大学、ほか合計約50大学が導入する

最新情報はこちら
http://www.eiken.or.jp/teap/group/list.html

※最新情報は、各大学のウェブサイト等をご覧ください。

開発者に聞きました

上智大学
言語教育研究センター長 吉田 研作氏

言語教育研究センター長 吉田 研作氏

TEAPが目指すもの
TEAPは、上智大学の各学部の英語入試を統一するための議論から始まりました。その後、他大学の入試に対象を広げ、英検と共同開発しました。英検は子どもから大人を対象とした一般英語、GTECは中高生対象、TOEFLや IELTSは海外大学への留学を主な目的としています。TEAPは国内の大学入試に照準を当てながら、入学後に求められる学術的な英語運用力を図ることを目指しています。

「知識」から「運用」へ
言語は、「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能を切り離して成り立つものではありません。TEAPは文章を読み聞くことで内容を理解し、書いて話すことで解答していきます。つまり4つの技能をまんべんなく組み合わせて活用する、言葉本来のあり方を捉えたテストと言えるでしょう。統合型の英語スキルが問われるため、従来の受験対策的な勉強では点数に反映されにくいかもしれず、今後は中学・高校の授業でも真の語学力・思考力を高める英語教育へと学習の形が変化していくでしょう。小学生や未就学児には、その下地として楽しくコミュニケーションをする喜びを感じ、自分の意見を発表できる準備をすることが奨励されます。
2020年には、大学入試が大きく変わります。英語入試の改革をどう進めるかが、今後の大学の生き残りに影響すると言っても過言ではないでしょう。

- 編集部おすすめ記事 -
渡星前PDF
Kinderland