海外生・帰国生へのヒント
名古屋国際学園(NIS)12年(高校3年)大尾 穂乃香 さん「英語で学習する楽しさを教えてくれたシンガポール」

アメリカ、カナダ、そして日本からシンガポールへ

 私は今まで日本以外に3 ヶ国に住んだ経験があります。アメリカに行ったのは5歳の時でした。今まで全く英語との接点がなかった私は、英語だけの環境が怖かったことを覚えています。アメリカで小学校1年生の時、クラスで先生に質問され、質問の意味が分からず泣き出してしまったほどです。英語の家庭教師について勉強した甲斐あって、カナダに移った8歳の頃にはすでに英語でのコミュニケーションが容易にできるようになり、クラスへの仲間入りもスムーズでした。その頃はいずれ日本に帰国することも念頭に補習校に毎週土曜日通っていました。

 

 カナダ トロントにて

 

 その後、日本で小学校高学年、中学と5年間を過ごしました。シンガポールに移ることが決まったのは、中学3年生の時でした。当時、私はブラスバンド部の副部長でもあり、今まで5年間でできた日本の大切な友達、そして思い出全てを置いて新たなスタートを踏まなければならず、不安も大きかったです。

国際バカロレア(IB)に奮闘中、日本の大学へ

 ISSで学んだことで、さまざまな国籍や価値観のある環境にとても刺激を受けたので、帰国後は、愛知県で唯一、国際バカロレア(IB)※のコースを提供している名古屋国際学園(NIS)に編入することを決めました。シンガポールで勉強していたIBの科目と、NISで取得できる科目が異なっていたため、途中で科目を替えなければなからなったのは、最も辛い点でした。 この難しい移行をのりきる秘訣としては、あまり周囲に惑わされずただ自分のペースで頑張ることだと思います。今は12年生と最終学年のため、毎日課題にとても忙しいですが、AO入試により、早稲田大学国際教養学部と国際基督教大学(ICU)に合格することができました。9月入学のため、もう少し時間をかけて考え、将来の夢により近付ける選択をしたいと思っています。

※ 国際バカロレア(IB):国際バカロレア機構が提供する、国際教育プログラム。

 

NISクラスメートと

 

シンガポール生活を振り返って

 シンガポールの学校生活を通して、また学校の外で出会った様々な考え方や異なる見方によって、自分の世界観も大きく変わったように思います。苦労していたはずの英語を強みに、今度は日本に帰国してからも名古屋国際学園(NIS)というインターナショナルスクールで残りの高校生活を続ける決心がつきました。シンガポールで学んだように英語で学習し、多面的にアプローチするカリキュラムが私には合っていると感じています。

 シンガポールで思い出に残っていることは、一昨年チンゲイパレードに日本人会の一員として参加したことです。もともと踊ることが好きで、ずっとバレエを続けて来たので、異国の地でみんなの心が一つになって踊れたことは、とてもよい経験でした。ISSでバンドのメンバーとしてエスプラネードシアターで演奏したことも、かけがえのない思い出です。

 

シンガポール チンゲイパレード

 

シンガポールの皆さんへ

 皆さんはシンガポールを楽しんでいますか?シンガポールは、国 土は狭いですが、本当にたくさんのことを学べる国だと思います。 私 はシンガポールを含む海外での生活を通し、改めて自分のアイデン ティティを持つことの大切さ、そして世界のグローバル化に気づかさ れました。大学では国際教養を身につけ、将来は日本人として世界に 貢献したいです。

お母様より

 色々な人種、文化が共存するシンガポール、そこに住む人たちの生活スタイル、考え方は娘へ多くの影響を及ぼしたと思います。アメリカ、カナダで英語との出会いがあり、シンガポールでアジアの奥深さを知ると共に、自分は英語で学習していくということを選択するに至りました。その前後に経験した日本での学校生活は、日本人としてのアイデンティティをしっかり持つ意味で貴重でした。今後もシンガポールで培った、多様性を受け入れる気持ちを持ちながら、日本人として色々な国の人たちと関わっていってほしいと思います。

※名古屋国際学園に関する情報はこちら
https://spring-js.com/japan/543/

『海外生の今』バックナンバー
https://spring-js.com/global/global02/kaigaisei/

※本文は2012年4月25日現在の情報です。

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