私は、小学5年生から中学3年生までの5年間をシンガポールで過ごしました。在留が長期になることが予想されたので、できるだけ現地の生活に馴染めるよう、小・中学共に現地校を選択しました。
現地に根ざした生活を
最初の半年間は、さまざまなことに戸惑いました。宿題が多く、テスト形式や授業内容も全て日本と異なり、授業についていくだけで精一杯の毎日でした。中でも苦労したのは英語です。シンガポールに来てから最初の2ヵ月間は現地校の入学に向けた塾に週5日間通い、小学校生活が始まってからも、引き続き同校の英語個人クラスに2年ほど通いました。その後も家庭教師をお願いして勉強を続けていました。辛かったですが、この時期に頑張ったことで現在の英語力の基礎が築けたと思っています。
中学校では委員会に入り、他学年の生徒と切磋琢磨しながら、学校行事にも積極的に関わりました。部活では人生で初めて中国の琴にチャレンジしました。上手に弾けるようになった時の達成感はひとしおでした。学業の傍ら、バレエスクールにも4年半通い続けました。シンガポールのプロバレエ団と公演に出場できたことは、一番の思い出です。
シンガポールにはいろいろな国や文化で育った人が大勢集まっています。できるだけ現地の生活に近づきたい。そういった思いで始まった海外生活ですが、実際に現地校でシンガポール人の親友ができたり、バレエ学校で地元や多国籍の友人と毎日練習したりと、シンガポールならではの経験を積むことができたことは大きな糧となっています。
いざ迎えた日本への本帰国
帰国が決定した時は、嬉しさと共に不安もありました。帰国準備のために、一時帰国の度に学校説明会や個別相談などに参加したり、シンガポールの書店で買った日本語の問題集を解いたりしていました。
いろいろな学校を見学した後、自分の意思で自由学園への入学を決めました。入学前の説明会や学園イベントに参加することで、学校の雰囲気に魅力を感じ、この学校であれば自分がシンガポールで培った力をのびのびと活かすことができると思ったからです。また個別相談でもとても丁寧にアドバイスをいただけたことが、決め手になりました。
現在は先生方や友人にも恵まれ、想像していた以上に充実した日々を送っています。シンガポールで得た英語力を維持するために、帰国後の今も最低30分の英語の勉強を欠かさず、また学校では常に英語の先生方との英会話を心掛けるようにしています。
今は辛くても、きっと、どこかで楽しみがあるよ!
シンガポールに引っ越した当初は英語という壁にぶつかり、その英語にも慣れた頃、日本に帰国すると、今度は日本語に苦労しました。シンガポールでは現地校通いのため、中学の授業を日本語で理解することが大変でした。日本語を書くことすら稀だったので、板書一つとっても時間が掛かりすぎてしまう始末でした。
このように、辛いことはどこにいても避けることができません。しかし私は、苦しいことから逃げていてはダメだと思います。5年に及んだシンガポール生活は私にとって、人との接し方や、新しいことにチャレンジしようとする前向きな姿勢を学べる場でした。たくさんの挑戦を通して、シンガポールの授業についていけるようになりましたし、大切な友だちにも出会うことができたからです。そのため日本に帰国してからも、「最初は慣れないことだらけだけど、きっと今度もうまくいく」と思いながら前向きに毎日を過ごすようにしています。日本での生活も私にとって絶対良い経験になると信じて、今、自分の目の前にあることをやり遂げていきたいと思います。
※学校法人 自由学園に関する情報はこちら
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