学校・幼稚園コラム
第25回 現地校の「家庭科」

日本では小学校5年生から家庭科、中学校では技術・家庭科があり、調理実習や洋裁などの授業が行われます。シンガポールでは、小学校の間にはこのような教科はなく、中学1・2年生の2年間に「Food and Consumer Education(FCE)」という科目があります。直訳すると「食べ物と消費者教育」で、その目的は「多様化する家族形態や食文化の傾向を踏まえ、栄養や食の安全などについて学び、食事や消費に関して賢明な選択ができるようになること」です。共働きが多く、外食やメイドさんに頼り自らは調理を一切しない親御さんも多いお国柄なので、食事については「消費活動」の一部として学ぶのです。この科目では、他にお金の管理、消費者の権利や義務、外食ビジネスなどについても学習します。シンガポール公立学校の広場FCEの授業は、男女とも1学期間ほぼ毎週調理実習を行うため、基礎的な調理方法を学べる貴重な機会となっています。生徒たちは日頃から食べ慣れているローカルフードである「海南チキンライス」「ラクサ」の他、パスタ料理や「シェファーズ・パイ」などの洋食の調理やお菓子作りにも挑戦します。


多様な文化・宗教的背景を考慮して豚肉や牛肉はすべて鶏肉に置き換え、なるべく全員が食べられるように工夫されたレシピを使います。学期の終わりにはグループごとに独自のメニューを考えて調理やプレゼンテーションを競い合うコンテストが学期末考査として行われ、生徒にとっては創造性と美味しさを味わえる楽しみな授業の一つです。

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