学校・幼稚園コラム
第35回 小学校卒業試験(PSLE)の改革

日本では今年度から大学入試改革が始まりましたが、シンガポールでは小学6年生が全員受験する「小学校卒業試験 Primary School Leaving Examination(PSLE)」の改革が今年から始まります。大きな改革点は「スコアのシステム」です。

第35回 小学校卒業試験(PSLE)の改革

PSLEでは英語、算数、科学、母語の試験が行われ、これまでは4科目の偏差値と志望校リストを元に進学先が振り分けられてきました。偏差値の計算はその年の平均点や標準偏差を元に算出されるため変動しますが、例えば人気校であれば、毎年足切り点が250~260点台で推移してきました。今年からは偏差値ではなく、試験の点数を元に8段階のみの「Achievement Level(AL)」で成績が出されます。例えば算数で90点以上なら「AL1」、85~90点は「AL2」とされ、4科目でALの合計4が「PSLEの最高点」になります。4科目でAL 30を超えると「不合格」です。
また志望校リストも、これまでは志望順位よりも点数が重視されていましたが、今後は同じ「レベル(AL)」の複数の生徒から選抜する場合は「シンガポール国民」を優先し、それで決まらない場合は「志望校順位が高い生徒を優先すること」が義務付けられました。ただしそれでも決まらない場合は最終的に抽選で選ばれます。

第35回 小学校卒業試験(PSLE)の改革

改革により「偏差値1点の差に一喜一憂する必要がなくなる」と説明されていますが、「同点の生徒数が多くなり、抽選による合否決定の増加は必須」とも言われており、何を公平と考えるべきか議論は続きそうです。

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