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「シンガポール算数」がすごい理由 <算数・数学 国際比較で連続トップの成績> 前編

算数・数学 国際比較で連続トップの成績
「シンガポール算数」がすごい理由

世界の教育到達度ランキングで、毎回トップを争い注目を集めるシンガポールの算数教育。今、世界中でこの国の算数カリキュラムや教材を導入する学校が増えています。インターナショナルスクールでも「算数のカリキュラムはSingapore Mathを導入」と謳っているところも多く、興味を持たれた保護者も多いかもしれません。今回はこの国が世界に誇る「シンガポール算数」について解説します。

「シンガポール算数」とは

1970年代まで外国の教材を使っていたシンガポールの小学校教育で、独自の算数カリキュラムと教材が最初に開発されたのは1982年でした。多様な文化や言語を背景に持つ子どもたちが無理なく算数を理解し習得できるよう工夫が凝らされ、導入後間もなく、子どもたちの算数の成績が急激に伸びたと言われています。90年代には生活に密着した内容の文章題を取り入れるなど、数学的な思考を強化する改訂が進み、近年はさらに「論理的思考力・論理的推理力」そして「自分の思考を人に伝えるコミュニケーション力」にも重点を置いています。

この国独自のカリキュラムが海外で「シンガポール算数」として知られるようになったのは、90年代に米国のホームスクーリングの保護者たちの間で教材が広がったのがきっかけと言われています。2000年代には試験的に学校教材として採用する州も増え、「米国の小学校においても効果を上げるだろう」とする研究論文も発表され、導入が加速しました。

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世界トップレベル! シンガポール算数の実力

シンガポールは国際的な学力調査PISA※1やTIMSS※2の算数・数学で常に上位を維持しています。前回2019年の調査では、試験対象の小4・中2ともに2015年の前回に続き1位でした。

※1…PISA:Programme for International Student Assessment
経済協力開発機構(OECD)が実施する国際的な学習到達度に関する調査で、15歳児を対象に読解力、数学、科学の三分野について3年ごとに実施。2015年は72ヵ国・地域から約54万人が参加。
※2…TIMSS:Trends in International Mathematics and Science Study
TIMSSは、国際教育到達度評価学会(IEA)が、児童生徒の算数・数学、理科の教育到達度を国際的な尺度によって測定し、教育上の諸要因との関係を明らかにするため1995年から4年ごとに実施。2019年は、小学校は58か国・地域、中学校は39か国・地域が参加。

TIMSS算数の成績の推移(小学4年)

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TIMSS数学の成績の推移(中学2年)

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米セレブの子どもたちもシンガポール算数!

昨年、米女優のサンドラ・ブロックさんがアメリカのトーク番組でシンガポール算数に触れたことが話題になりました。

お子さんの宿題を手伝ったりしますか?
『新しい算数』とかやってません?

そうそう、うちの子たちがやっている『新しい算数』は『シンガポール算数』っていうのよ!私には理解できなくてお手上げなの(笑)

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ⓒThe Kelly Clarkson Show
Youtube公式チャンネルより
https://youtu.be/4y80DXQcGPY

シンガポール算数は過去20年で米国、カナダ、英国、イスラエルやフィリピンなどさまざまな国や地域の公立・私立の小学校のカリキュラムとして正式に導入され、各国の教育環境に合わせた教材も開発されています。

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インターナショナルスクールでも導入

シンガポール国内のインターナショナルスクールでも、シンガポール算数の教え方を導入している学校が増えています※

※シンガポール国内インターナショナルスクールのカリキュラムの詳細はSpring4月号のインターナショナルスクール・リストをご参照くださいhttps://spring-js.com/singapore/17941/

小学生のお子さんがインターナショナルスクールに通う日本人保護者Aさん
子どもたちが通う学校では、カリキュラムはIBですが算数の授業でシンガポール算数の教材や教え方を取り入れています。「つるかめ算」など少し難しい問題にも触れるので、日本に帰国後の受験も考えたら安心だと思いました。

シンガポール算数の特徴

特徴 ❶ 基礎力とともに、考える力を養成

シンガポール算数のカリキュラムでは、基礎的な学力の徹底と並行して応用的な問題に対する問題解決方法を発見していく「ヒューリスティクス(Heuristics)」という学習プログラムを組み入れています。日常生活の中で起こりうる複雑な問題に対して、どのように考えて試行錯誤をしていくべきかを学び、「思考力(Thinking Skills)」を養っていきます。「ヒューリスティクス」では、日本の中学受験で取り組むような特殊算や論理的思考を問うような応用問題も練習することで、さまざまな出題パターンに対応できるようになっていきます。シンガポールの小学校では、卒業試験で「全員が受験生」となるため、高学年になると標準カリキュラムの中で難易度の高い問題にも取り組むことが特徴的です。

特徴 ❷ 式の前に、「バーモデル」を書こう!

シンガポールの小学校算数がもっとも特徴的と言われているのは、「バーモデル(Bar Model)」と呼ばれるテープ図の活用です。低学年の授業では日本と同様にブロックなどの具体物を使って数や計算の概念を理解しますが、シンガポールでは具体物に続いて、問題を「バーモデル」に描いて表す練習を徹底して繰り返します。バーモデルを描くプロセスを挟むことで、問題文から抽象的な数式を立てることが容易にできるようになります。

算数・数学 国際比較で連続トップの成績 「シンガポール算数」がすごい理由

バーモデルを描くために小学生が購入する定規

例題❶
アッシュはノートを4冊と、さらに4ドルのファイルを一つ買ったところ、全部で16ドルでした。ノート1冊の値段はいくらでしたか。

<バーモデルを使って視覚化することによって、方程式を使うような問題も解きやすくなります。>

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上のように、バーモデルでは共通する単位を「ユニット」と見立てて、1ユニットの数を解いていきます。高学年になるとより複雑になる文章題も、バーモデルで視覚化することで解くことが可能で、慣れてくると徐々にバーモデルを描かなくても解けるようになります。

例題❷
ジョナとポリーが持っている色鉛筆の数の比は9:5です。ジョナがポリーに45本の色鉛筆をあげたら、2人の鉛筆の数の比は3:5になりました。
1⃣ 最初にジョナが持っていた鉛筆の数は何本だったでしょう。
2⃣ 最後にジョナが持っていた鉛筆の数は何本でしょう。

上の図では、最初の合計14ユニットと最後の合計8ユニットは同じ本数を表しているので、これをより小さな小ユニットに分けることで、1ユニットの大きさ(幅)を揃えます

14と8の最小公倍数(=56)を算出して、同じ幅の小ユニットの図に変換する。

算数・数学 国際比較で連続トップの成績 「シンガポール算数」がすごい理由

高学年になり文章題が複雑化してくると、「このようなタイプの問題には、この種類のバーモデルを描いて考えてみる」というさまざまなパターンを身につけることが鍵になります。

特徴 ❸ 単元と単元を関連づけながら、スパイラル方式で難易度を上げていく

日本では小学1年生で足し算引き算、2年生で掛け算、3年生で割り算、と順番に単元が進んでいきますが、シンガポールでは小学校1年生から、足し算、引き算に続いて簡単な掛け算と割り算の概念もイラストを使って学び、式の意味や書き方を学び始めます。

◆ かけ算の概念を学ぶ例題(小1)

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ただし、九九を実際に覚えるのは、小学2年生で2・3・4・5・10の段、3年生で6~9の段と段階的に記憶していき、最終的には11の段と12の段まで覚えます。ただし、その間にもさまざまな文章題を使って、かけ算やわり算の応用を学んでいきます。

早い時期から割り算まで学ぶのは負担が大きい気がしますが、九九を学びながら、同時に「かけ算と割り算の相関関係」を学ぶことで、かけ算とわり算をセットで理解し、分数や小数の学びへとつなげていきます。

◆ かけ算とわり算の関係をセットで学ぶ練習問題(小2)

日本では3年生で学ぶ「分数」の概念は、シンガポールでは2年生でわり算に関連付けて1/2、1/3、1/4などから学び始め、分母が同じ分数の簡単な足し算や引き算も練習していきます。

かけ算とわり算と分数が関連し合う概念であることを強調しながら、1年生から簡単なレベルを学び始め、次の学年で学習を深め、徐々に桁の大きい数や複雑な文章題で応用を繰り返す中で難易度を上げていく「スパイラル方式」の学びが特徴です。

特徴 ❹ 特殊算にも挑戦

日本では、中学受験の対策として勉強することが多い特殊算など多様な問題も、バーモデルで視覚化するなど工夫しながら標準カリキュラムの範囲内で学びます。

例題❸ 年齢算(小3)
ティナは9歳で、お母さんは43歳です。
お母さんの年齢は何年後にティナの年齢の3倍になるでしょうか。

特徴 ❺ 思考力育成のため、計算は必要に応じて「計算機」に任せる

計算機はインターナショナルスクールでも使う学校がありますが、シンガポールの現地校では小学5年生になる前に全生徒が「関数計算機」を購入して使い方を学び始めます。文章題が難化するこの時期、計算に時間を費やすのではなく、解法を考えることに集中することが狙いです。6年生で受ける卒業試験(PSLE)やセカンダリースクールの卒業試験でも使用するため、正式に使用が許可されている機種を学校経由で購入します。また中学3年生頃からはグラフィック関数計算機を使用し、ベクトルや微分積分、統計学などの課題にも活用します。

算数・数学 国際比較で連続トップの成績 「シンガポール算数」がすごい理由

シンガポール算数奮闘記

保護者の声

お子さんが現地校に通う日本人ママのNさん
シンガポールの算数では、小学生でも問題文がとても長くて複雑なことに驚き、まずは正しく問題を理解するための英語力や論理的な思考力が必要だと思いました。一見複雑な文章問題でもバーモデルをうまく使うことで順を追って解いていけることには感動しました。日系の塾で中学受験の算数を少しやっていたので、娘はあまり違和感なく取り組めたようです。ただ、バーモデルはあくまでも式を立てるための視覚的なツールなので最初は練習しますが、描かずに間違いなく解けるようになれば描かなくても良いそうです。

娘さんの声

Kさん(小6)
バーモデルを書くのは定規を使ってきれいに描けると嬉しいし、式の立て方が見えてくるので楽しいです。ただ、問題によってどんなモデルを描くかを最初に間違えてしまうと式もうまく作れなくて解けないので、そこが難しいと思います。あと、バーモデルを使わないで解く文章題もあるので、それを見極めるのが大事だと思います。

※シンガポール算数を採用するインターナショナルスクールの一覧はこちらhttps://spring-js.com/singapore/17941/

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