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シンガポールで教育 Singapore

インターナショナルスクールにおける母語教育

インターナショナル校で学ぶ日本語Vol.2
~ ISS International School と EtonHouse International School and Pre-School, Broadrick Road~

2013.07.07

  • 国際バカロレア(IB)
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シンガポールのインター校の中には、選択科目のひとつと して「日本語」を開講しているところがあります。その取り組みの様子を、前号に続きご紹介します。

ISS International School

「母語の教育」を重視するインター校として定評のある学校です。非英語圏の生徒のためにGrade6~8 では母語クラスが用意され、日本語力も強化することができます。国際バカロレア(IB)に沿って授業が進められています。   ■ G9・10 IB MYP(ミドルイヤープログラム) ○ 文学を理解し、論文の書き方を学ぶ 通読や抜粋した文章から、繊細な表現の美しさや人間の機微を読み取り、ディスカッションを通して生徒の文学的感覚を伸ばします。 ○ 歴史を学ぶ 日本やシンガポールの歴史、古典(枕草子など)にも触れ、時代背景が理解できるようにします。 ○ 時事問題に精通し、プレゼンテーションをおこなう 好きなトピックの新聞記事を時系列で追い要約する作業を通して、国語の力だけでなく専門知識も蓄積していきます。 ■ G11・12  IB ディプロマプログラム ○ 文学評論 4 つのアプローチで学びます。読書量の多さに特徴があります。 ① 翻訳文学(「変身」カフカなど)を3 冊読み、そのうちの1 冊について論文を執筆 ※いろいろな国の作品を扱い、文化も学習 ② 小説・評論・詩・戯曲を詳細に学習 (「三好達治詩集」、「近代能楽集」三島由紀夫など) ※口述試問あり ③ 小説を4 冊読み、比較研究 (「金閣寺」三島由紀夫、「個人的な体験」大江健三郎など) ④ 学校が自由に選んだ3 冊を学び、プレゼンテーション(自由形式) ※生徒がお互い評論しあい「心を動かすプレゼンテーション」を目指す ◎津村美穂先生より 一人ひとりのバックグラウンドが異なるため、生徒の日本語の力にはばらつきがあります。授業での様子を見ながら、生徒によって宿題を変えたり、自分で足りない分野を考えさせそれを宿題にしたりします。 課題は、400字詰め原稿用紙に手書きをすることで字数の感覚を体で覚えたり、時にパソコンで作成したりと、「書く手段」を混ぜてバランスをとっています。「スピード」も大切で、必要以上に時間をかけないよう指導しています。 日本語を学びたいという意欲のある生徒には、学年相当の力がなくても、工夫をして指導をするよう心掛けています。  

EtonHouse International School and Pre-School, Broadrick Road

Nursery 2(3 歳)からYear 6(11 歳)までの子どもたちが学ぶEtonHouse Broadrick は、シンガポールで唯一、小学校だけでなく幼稚園も国際バカロレア(IB)認定校となっています。日本語教育としては、授業の一環としての「日本語クラス」、クラブ活動としての「日本語クラブ」が用意されています。   ◎日本語クラス ESL(英語を第二言語とする生徒の英語補習クラス)を卒業した後に選択が可能なセカンドランゲージとして、中国語やヒンディー語と並んで提供れています。クラスの児童の多くは日本語を母語としていますが、中には母語が異なる児童もいるため、レベルに応じた指導をしています。今年度からはIB PYP(IB のプライマリープログラム)に対応した内容を取り入れています。 ■ Y2 ~ Y6(プライマリースクール)/週4 日、1 回45 分 ◯ 学年に応じた国語の教科書からの抜粋項目や漢字などの学習 ◯ 日記や作文、音読の宿題 ◯ IB PYP では、例えば「有名な日本人」といった課題のもと、リサーチからプレゼンテーションまでを段階的に学ぶ ◯ 詩の暗誦(「雨ニモ負ケズ」宮沢賢治など) ■ N2 ~ Y1(プレスクール)/週5 日、1 回30分 ◯ ひらがなカタカナを覚える ◯ 四季折々の行事を工作や折り紙などで学ぶ ◯ IB PYP では、例えば「嬉しい」「悲しい」などの自己表現を、幼児に親しみやすいアートを通して取り組む   ◎日本語クラブ ■ N2 ~ Y6 日本人児童対象※の放課後クラブ/週1回1時間 日本人児童だけが選択でき、プレスクールとプライマリースクールに分かれておこなわれています。折り紙や工作などを通して、楽しみながら生きた日本語を学ぶことができます。  ※国際結婚の児童を含む   ◎高松直子先生より 英語環境下での毎日の学校生活では、どうしても日本語の語彙が少なくなってしまいます。母語である日本語に抵抗を持つことがないように、幼少期から楽しんで本に触れられるように音読を推奨しています。  

編集部より

このように、各校が独自のカリキュラムで「日本語の維持と発展」に力を注いでいます。インター校ではとかく英語力の向上を優先しがちですが、日本人として母語をしっかり確立することは、その後のお子さまの人生において大変重要なことです。学校の授業の中で日本語の学習を積み重ねていく機会があることは、海外で育つ子どもたちにとって恵まれていることだと強く感じました。

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