シンガポール発海外教育情報誌サイト

シンガポールで教育 Singapore

シンガポール公立小学校 徹底解説

シンガポール現地校徹底解説【前編】

2017.04.25

LINEで送る
Pocket

国際的にも高く評価されているシンガポールの公教育。「教育のワールドカップ」とも呼ばれる経済協力開発機構(OECD)の国際的な学習到達度調査(PISA)※で2015年、シンガポールは参加した72ヵ国の中で、「科学的リテラシー」「数学的リテラシー」「読解力」の3つの分野すべてで世界第一位に輝きました。この突出した成果を生み出すシンガポールの現地教育事情に興味を持つ保護者の方も多いのではないでしょうか。シンガポールの公教育について、Springが徹底解説します。

経済協力開発機構(OECD)の国際的な学習到達度調査(PISA)※で2015年、シンガポールは参加した72ヵ国の中で、「科学的リテラシー」「数学的リテラシー」「読解力」の3つの分野すべてで世界第一位に輝きました。
出典:https://www.oecd.org/pisa/pisa-2015-results-in-focus.pdfより

※PISAでは、「科学的リテラシー」「数学的リテラシー」「読解力」の3分野で、「義務教育で得た知識をどのように応用できるか」を共通テストで測ります。

基本情報

【年度・学期制】
1月始まり・2期制

【長期休暇】
6月(4週間)・11月中旬~12月末(6週間)
※この他、3月と9月に1週間のお休みもあります。

【授業時間】
7:30~13:30
※学校や曜日により異なる場合もあります。
※学年によって午前(7:30~13:30)と午後(12:30~18:30)に分かれる2部制の学校も一部あります。

【1クラスの人数】
約30名

【1ヵ月あたりの学費】
小学校:$613
中学校:$970
※外国人(ASEAN以外の国籍)の場合。

【給食】
なし
※持参または食堂で購入できます。

シンガポール現地校徹底解説【前編】

提供:シンガポール教育省

2言語教育と理数重視の独自カリキュラム

小学校の科目: 英語・算数・母語・理科(3年生以上)・社会(3年生以上)・音楽・芸術・体育・PAL(Programme for Active Learning 1~2年生のみ)※

※PALは子どもの自信、好奇心、自尊心、判断力や協調性を養う目的で2009年に順次導入が始まった科目です。チームで行うスポーツやゲーム、屋外学習、自己表現や芸術活動などを通してバランスよく心身の成長を促します。

特徴 ① 英語と母語を学ぶ2言語教育

シンガポールの現地校では1年生から主言語の英語ですべての科目を学び、これに加えて、ほぼ毎日「母語」の授業を受けます。「母語」は児童によって異なり、一般的には北京語・マレー語・タミル語の中から選択します。学校によっては他の言語も提供したり、北京語のみしか提供していない場合もあります。母語の選択は入学時に保護者が選択理由を記載した申請書を提出して選択しますが、外国人児童や学習障がいがある児童は母語の履修免除の申請を認められる場合もあります。

特徴 ② シンガポール算数

国際的にも注目されているシンガポール教育省が独自に開発した算数のカリキュラムは、実生活に即した内容の文章題を「バー・モデル」と呼ばれる「テープ図」のような図に表してから解く解法が特徴的です。近年、シンガポール国内のインターナショナル・スクールや米国カリフォルニア州をはじめアジア諸国など多くの国や地域の公立校でもこの教授法や教材が採用されています。

シンガポール算数「バー・モデル」の解法例

特徴 ③ 科目ごとのレベル分け(高学年)Subject-Based Banding

シンガポールでは、ホームルームと担任教師は日本の学校と同様に決まっていますが、高学年になると、それぞれの科目ごとに「標準クラスStandard」と「基礎クラスFoundation」を選びます。4年生の後半の成績に基づき、5年生で得意科目は『標準クラス』で学び、苦手な科目は『基礎クラス』で学ぶことを、教育省は推奨しています。実際にどのクラスで学ぶかは科目ごとに科目担当の先生と相談して決めます。また、6年生進学の際には年度後半に受ける卒業試験(PSLE)で「標準レベル」「基礎レベル」のどちらの試験を受けるかを、各科目の先生と相談して決めます。

多彩なクラブ活動

小学3年生以上の児童は、放課後に行われるCo-curricular Activities(以下CCA)に参加することが必須になっています※。人気のサッカー、バドミントン、武術などの各種スポーツ、ブラスバンドやコーラス、ロボティクスやアートなど、学校によって多種多様な活動が用意されており、外部のコーチや講師が教える場合や有料の場合もあります。活動日は種類により週に1~3回程度で、中には低学年から参加できる場合もあります。

多彩なクラブ活動

提供:シンガポール教育省

※学校によっては放課後ではなく授業時間内にCCAが行われる場合もあります。

小学校卒業試験(PSLE)

義務教育である小学校6年間の最後にはPSLE(Primary School Leaving Exam)を全児童が受験します。その成績により、卒業できるかどうか、卒業できるなら、いずれの中学校(Secondary School)の、どのコースに進学できるかが決まります。小学校の高学年になると学期ごとの定期考査の形態や時間もPSLEと同様になり、学校によっては放課後や長期休暇中の補講なども行い、子どもたちは試験に備えます。

PSLE試験の概要(2017年の場合)
※第一試験と第二試験は内容が異なり、全員が両方を受けなければいけません。

教育制度概要

シンガポールでは基礎教育の重視と共に、中学生以上では学習ペースや将来の希望に合わせて多様な道筋が用意されています。

シンガポール教育制度概要
※この図は簡略しています。詳細は教育省(MOE)ウェブサイトにてご確認ください。
https://www.moe.gov.sg/education/education-system

中学入学まで

11月下旬PSLE結果発表→発表から1週間以内願書提出※→12月下旬教育省より進学先決定の通達→1月初め入学

※生徒たちは自分のスコアを志望する中学校の足切り点(Cut-off Point)に照らし合わせ、第1希望から第6希望までの志望校を記載した願書を教育省に提出します。

進学先の概要

2016年のPSLEでは、全受験者38,808人の内98.4%が「合格」して中学校への進学資格を得ました。この内66.4%はExpressコース、21.4%はNormal(Academic)コース、10.6%はNormal(Technical)コースへ進学資格を得ました。「不合格」となった場合は、6年生を留年して次の年に再受験します。または複数回すでに受験している場合などは、職業教育などを主な目的とした特別な中学校に入学できます。

進学先の概要

入学・編入手続き

■ 新小学1年生の入学手続き 2018年1月入学の場合

申し込み期間:2017年6月~8月

※申し込み時期は、シンガポール国民、永住権(PR)保持者、外国人とで異なります。国民とPR保持者児童の入学が決まった後に空席が残っている学校でのみ、外国人児童の願書を受け付けますが、入学の可否は教育省から通達されます。各国からの入学希望者が多いため近年は入学できない外国人児童も増えています。

※必要書類などの詳細はMOEのウェブサイトへ。
https://www.moe.gov.sg/admissions/primary-one-registration/

■ 小学2年生以上で編入を希望する場合

外国人の生徒で翌年1月から小学2~5年生※または中学1~3年に編入することを希望する場合、教育省が実施している統一試験Admissions Exercise for International Students(以下AEIS)、または年度途中の4~5月編入のためのSupplementary AEIS(以下S-AEIS)を受験します。なお、これらの試験に合格した場合も、編入できる学校は教育省が指定し、試験の結果により学年を下げることが条件になることもあります。

※6年生への編入は認められていません。

AEIS/S-AEIS基本情報

受験科目 :英語・算数
受験申し込み時期 :AEIS:7月 S-AEIS: 1月
試験実施時期 :AEIS: 9月または10月 S-AEIS: 2月下旬

※詳細はMOEのウェブサイトへ。
https://www.moe.gov.sg/admissions/international-students/admissions-exercise

取材協力:シンガポール教育省

次回後編では、現地校の「日本人保護者の本音」や「PISA好成績の背景」について解説をお届けします。

※2017年4月25日現在の情報です。最新情報は各機関に直接ご確認ください。

LINEで送る
Pocket

PAGE TOP