日本では、小学生になると子どもだけで学校に通い始めます。親の手を離れる寂しさや不安とともに、我が子の成長を感じる親御さんも多いことでしょう。一方シンガポールの公立小学校では、歩いて登校する子どもは決して多数派ではありません。学区制ではないため、中には徒歩圏内から通う児童の方が少ない学校もあり、特に人気校では遠方から通うケースが多く見られます。
どの小学校でも民間運営のスクールバスを利用できますが、運行範囲は限られており、月額のバス代も毎年値上がりしています。このため「親または祖父母が運転する車で送迎」「親、祖父母または住み込みのメイドさんが公共交通機関で付き添って送迎」という形も一般的です。
中学校ではスクールバスが運行されていないため、それに備えて小学校高学年からは一人で登下校する子どもも徐々に増えていきます。しかしシンガポールでは、高学年でも小学生の子どもだけで外を歩かせることには抵抗がある親御さんも多いようです。治安への不安以上に、道路を渡る際の車の事故を心配する声も聞かれ、徒歩のみで登下校する場合も大抵大人が付き添っています。
そうした中、数年前には18歳で兵役に入る男の子に小柄なメイドさんが兵役用の大きなリュックサックを背負って付き添う写真がネット上で話題になり、子どもの自立について議論が起こりました。「まずは学校に一人で通えることが、自立への第一歩」という認識も少しずつですが広がってきているようです。