シンガポールの公立校では、毎朝の国旗掲揚と国歌斉唱に続いて、必ず「国民の誓い」の言葉を唱えます。校内放送で校長の挨拶に続いて国歌が流れ始めると、先生も生徒もただちに動きを止めて「気をつけ」の姿勢をとり、国歌「マジュラ・シンガプーラ(進め、シンガポール)」をマレー語で歌います。
この後、”We, the citizens of Singapore, pledge ourselves as one united people…”で始まる誓いの言葉は、右手を胸に当てて英語で唱えます。日本語にすると「私たちシンガポール国民は、人種、言語、宗教にかかわらず一つの国民として、正義と平等に基づく民主国家を築き、国の幸福と繁栄、そして発展を達成することを誓います」という内容です。小学校低学年には少し難しい言葉ですが、生徒たちは入学後間もなく暗唱できるようになります。
民族間の争いが治安の悪化を招いた歴史を経て、多民族が平和に共存することへの願いが込められたこの誓いの言葉は、シンガポールがマレーシアから独立した翌年の1966年に教育省の主導で作成されました。当時は各教科の教科書やノートにも印刷されていましたが、現在は毎日の宿題や予定などを書き込む生徒手帳の冒頭に、公用語の各言語(英語、北京語、マレー語、タミル語)で記載されています。