シンガポールでは小学校4年生から、IQテスト上位1%の生徒だけが入れる選抜プログラム「Gifted Education Programme(GEP)」が行われています。3年生の学年末の試験で選ばれた生徒は、4年生からGEPプログラムが実施される9ヵ所の小学校のいずれかに移ることを教育省からすすめられ、毎年500名ほどの生徒が実際に転校してGEPに入ります。
教育省は、一人ひとりの能力が異なること、特別な能力に恵まれた「ギフテッド」の生徒には高いレベルの知的な刺激が必要であるとしています。そして、適切な環境を与えなくては「学ぶ楽しみを感じられず、やる気を失う可能性がある」という理由から、ドイツやイスラエルの例を参考にして1984年にこの制度を導入しました。
GEPでは、通常のカリキュラムを更に深める学習活動が英語、算数、科学の授業で行われ、20名前後と比較的少人数のクラスで生徒一人ひとりの強みを伸ばすための指導が行われます。6年生では他の生徒と同様に全国共通の卒業試験(PSLE)を受けますが、多くの生徒は中高一貫方式のセカンダリースクールの自己推薦枠(Direct School Admission)を受験し、入学します。
GEPのために4年生から転校する必要があることや、選抜テストの対策をする塾が増えている点などへの批判もありますが、政府は「人材だけが唯一の資源であるこの国の発展と繁栄のためにも、ギフテッドの生徒は大切に育てる必要がある」とその意義を強調しています。