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笑顔になれるコラム

vol.2 「仲間のいる環境」「やる気は笑顔と共に」

2015.11.25

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古今東西、お子さんの年齢を問わず子育ての悩みは尽きません。学校選択、言語環境や文化の違い、帰国後の不安など、海外ならではのストレスが加わり、お子さまが適応しきれず不登校になったり、身近に気軽に相談できる人も少ない親御さんの悩みは深くなりがちです。
これまでシンガポールで数多くのご家族を見守り、アドバイスをしてきた専門家の方たちにお話をうかがいました。その温かいメッセージをシリーズでお届けします。

シンガポール日本語補習授業校 伊藤 敏一 校長

「仲間のいる環境」

海外生活をされるうえで、一番大きな悩みの一つはお子さんの「学校選び」でしょうか。当地では、日本人学校、ローカル校、インター校などの選択肢が多様なので、迷う親御さんも多いようです。新1年生の補習校の説明会にいらっしゃる保護者の方には、お子さまの能力や性格に合わせて最適な学校選択をしていただきたいと丁寧にお伝えするようにしています。あるお子さんにとっては良い学校でも、別のお子さんにとってはなじめない学校かもしれせん。今一度、「負けず嫌いなうちの子はこの学校で頑張れそう」「内気なこの子には、あの学校が居心地よさそう」と、お子さまの視点で選んであげてほしいと思います。

世界中の補習校に共通している課題は、海外の多様な教育環境の中でいかに日本語の能力をつけていくかということです。低学年の間は順調に進んでも、小学3年生以上で急に増える漢字や、算数や理科に関連した学習用語(「垂直」「平行」「沸点」など)のために、読書や音読などの家庭でのサポートが必要になってきます。漢字の練習などは時に苦痛なことですが、お子さんたちを見ていると、お互いに「同じように大変だけど頑張っているお友達がいる」という刺激を受けて、前向きに頑張れているお子さんも多いようです。

世界の補習校には、高等部まで開講しているところもあります。例えば北米のある補習校では、高等部入学当初は「自分はアメリカ人なのか、日本人なのか」と悩むお子さんが多いようです。しかし卒業するころには、「自分は英語も話せる『日本人』なんだ」と、アイデンティティがしっかり確立して、自信をもって卒業していくそうです。悩んでいる過程で立ち直るきっかけは、やはり「仲間」です。親や先生の存在よりも、同じ方向を向いている「仲間」の存在こそが大きな励みになるのです。「悩んでいるのは自分だけではない」、「話をきいてくれる仲間がいる」、ということは、成長に欠かせない土台となるのです。

海外のさまざまな環境で頑張っているお子さんには、一般的な日本の学校の尺度にはおさまらない経験をしているお子さんも多いはずです。今はすぐに形としてその経験が自分のプラスになるかわからなくても、親御さんはぜひ「あなたは日本の宝なのだ」と繰り返し伝えてあげてください。

個別指導WAO 川中 大和 先生

「やる気は笑顔と共に」

うちの子は成績が良くない、と感じたとき、頭ごなしに「もっと勉強しなさい!」と叱ってしまう親御さんは多いと思います。しかし、叱る前に、なぜ勉強ができないのか、またはしないのかを、一度冷静に考えてみることも大切です。実際に思わぬ理由が潜んでいて、ふとしたきっかけで学習に対する気持ちが改善されることがあるからです。このような例がありました。

幼稚園までは元気に楽しく生活をしていたお子さまが、小学校に入ってから学業面で他の子と差が出てきました。親御さんも勉強をみたり塾を試しましたが、改善されませんでした。次第にその子は沈みがちになりました。ある時、学校の担任の先生が、その子の耳が聞こえにくいことに気付きました。母親と共に専門医を訪ねると、その子は軽度の難聴と診断されたのです。成績が悪い理由は、授業の内容が聞き取れていなかっただけなのに、自分はダメだとやる気を失っていたのでした。原因が分かって対策を講じた後は、気持ちも新たに楽しく学校に通うようになり、成績もぐっと伸びていきました。

とかく「成績が良くないのは勉強していないから」「塾に行けばなんとかなる」と考えて、お子さまを塾に通わせるだけで安心してしまう方もいます。しかし一番大切なことは、お子さまの状況をしっかり理解して問題点を追及し、できることを褒め、やる気を引き出すことなのです。能力を知り、興味がある分野を見つけ、より深めることができれば、子どもは目標を持ちやる気を出していくでしょう。

お子さまの多くは勉強に自信がなく、苦手意識を持っています。嫌いなことはやる気が出ず、進んでやろうとしません。しかし、そんな子どもたちも褒められとやる気を出します。まずはどんな小さなことでも、前進したら褒めることが大切です。難問にぶつかったときは、寄り添いながらできるまで何度も挑戦するよう励ましましょう。そうして少しずつ自信がついてくると勉強が好きになり、自ら進んでできるようになるのです。

お子さまのやる気には、必ず「笑顔」が伴います。「学校が楽しい」「勉強が好き」「褒められて嬉しい」など、きっかけは、何でも良いのです。お子さまの「笑顔」をぜひ大切にしてあげましょう。

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